この記事では、「拍子抜け」について解説する。
『意気込んできたのに「拍子抜け」だったな』なんて形で使われるよな。しかし拍子っていやあ『リズム』のことだと思うが、『リズムが抜ける』って言われると、なんだかわかったようなわからないような、微妙な感覚に陥るぜ。どんなシチュエーションが語源になったんでしょうな。
今回は「拍子抜け」された経験が豊富なライターであるぷーやんを呼んです。「拍子抜け」の意味と使われ方について、説明してもらう。

ライター/ぷーやん

webライター歴6年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。他人に期待されるほどやる気をなくす難解な性格を持つ。

「拍子抜け」の意味って?

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それではさっそく「拍子抜け」の意味をみていきましょう。ちなみに「拍子抜け」の読み方は「ひょうしぬけ」です。

まずは「拍子抜け」を辞書でみてみよう!

「拍子抜け」は国語辞典では以下のように書かれています。

[名](スル)張り合いがなくなること。「難問が簡単に解決して―する」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「拍子抜け」

「拍子」とは、桜木先生の仰る通りリズムのことです。音楽の授業で『四分の四拍子』などと聞いた記憶は、誰にもあるでしょう。規則正しく刻まれるリズムが突然抜けて無音になったとき、ノリノリな勢いも萎えてしまうのは、想像に難くありません。「拍子抜け」とはまさに、そのようにスカを食らったような気分を表現した言葉といえそうです。

「拍子抜け」の使い方を例文でみてみよう

辞書で言葉の意味を調べたら、実際に使ってみたくなるのが人間というもの。次に「拍子抜け」を用いた例文をご紹介します。

1.彼とは切磋琢磨しながら高み合っていけると思っていたのに、突然やる気をなくしたようだ。それを見て私も「拍子抜け」して目標を見失ってしまった。
2.あのチームは前評判ではとても強いと言われていたが、蓋を開けてみればうちの圧勝でとんだ「拍子抜け」だ。

どちらの例文も、緊張や期待で昂ぶっていた精神が、ハシゴを外されたようにガラガラと崩れいく様子を描いていますね。「拍子抜け」はときに、残念な気持ちとセットになることも多いのでしょう。

「拍子抜け」の類義語3選!

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まずは「拍子抜け」の類義語から。ここでは3つご紹介します。

のれんに腕押し:手応えがない

「のれん」は居酒屋などの玄関に吊り下げられている、日よけや目隠し用の布のことです。固定されずに垂れ下がっているだけの布なので、これを腕で押してもなにも手応えがありませんよね。

肩透かしを食う:気勢をそがれる

『肩透かし』は相撲の決まり手の1つで、相手の押しの勢いをかわして肩をはたいて転ばせる技。転じて、気張ったり期待したりする気持ちをかわされてしまったときに、「肩透かしを食らった」などと言います。

毒気を抜かれる:熱い気持ちをはぐらかされる

「毒気」は、「どくけ」あるいは「どっけ」と読みます。殺伐とした気分のときに天真爛漫な人と話すと、思わず「毒気が抜かれる」ものですよね。

「拍子抜け」の対義語はなにがある?

類義語の次は対義語をみていきましょう。

\次のページで「気後(きおく)れする:その場の雰囲気にのまれてひるむ」を解説!/

気後(きおく)れする:その場の雰囲気にのまれてひるむ

相手と自分との間に、大きな力の差を感じてしまったときなどに使われますね。また甘く見て臨んだ会議などで、思いがけず張り詰めた空気を感じたり、鋭い質問を浴びせられたりしたときにも直面する感覚です。

気圧(けお)される:精神的に圧倒される

相手の勢いが思いがけず強く、押されて圧倒される様子を表現しています。ものすごい剣幕でまくし立てられた場面などを表すのに、ピッタリな言葉ですね。

やり甲斐がある:挑戦するのに適している

「甲斐」は「やるだけの値打ち」という意味。したがって「やり甲斐がある」は、「やってみる価値がある」「いい効果を得られる」というニュアンスがあります。

「拍子抜け」は英語ではなんという?

類義語と対義語に加えて、「拍子抜け」の英語表現もみてみましょう。日本語が英語でどのように言われるかを知ることは、意外と日本語の理解に役立ちます。

let down:がっかりした

「がっかりした」「気落ちした」状態を英語でいうときには、「let down」を使います。この場合の「let」は、「故意ではなく自然に○○させる」という意味ですね。

disappointment:失望

「失望させる」という意味の「disappoint」の名詞形。「拍子抜け」の「張り合いがなくなる」ことを「失望する」とやや意訳した表現です。

\次のページで「期待しての「拍子抜け」は独り善がり」を解説!/

期待しての「拍子抜け」は独り善がり

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『お前には期待している』『期待を裏切るな』『期待されているんだからがんばらないと』…。こういったセリフは、学校の先生や会社の上司あるいは先輩、ひょっとしたら友達からすら、とてもよく聞かれるものです。人によってはこうした言葉が重圧になり、気に病むこともあるかもしれません。この記事の最後に、人が人に期待して「拍子抜け」することについて、すこし考えてみたいと思います。

「拍子抜け」と期待はどんな関係?

たとえば家でお弁当をつくってもらい、学校や会社でそれを開ける前に、『きっと唐揚げは入っているよね』と期待していたとしましょう。そしていざ開けてみたときに唐揚げはおろか肉類がなかったとしたら、「拍子抜け」してしまいませんでしょうか。

やや例が極端ですが、このように期待と「拍子抜け」はしばしばセットになります。反対になにも期待していなかったとしたら、どう感じるでしょう。もしかしたら肉類のないお弁当にも、『体を気遣ってヘルシーにまとめてくれたのかな』と感謝の気持ちが湧くかもしれません。

「拍子抜け」は個人の感想!

先述のお弁当の例では『肉類の入っていないお弁当』という1つの事実に対して、『期待して「拍子抜け」』する自分と、『期待せずに感謝』する自分とがあります。どちらが幸せかは一目瞭然でしょう。

自分が誰かに期待される側だったとしても、結果は同じです。『あなた自身にできること』という事実の前に、他人が勝手に期待をして「拍子抜け」したり、感謝したりします。このことからあなたが誰かに、逆に誰かがあなたに期待することは、幸せになれる考え方ではないといえないでしょうか。これはつまり、『誰かの期待に応えようとする必要はない』ということです。

「拍子抜け」にまどわされないように

この記事では「拍子抜け」について、意味と使い方を包括的に解説しました。また期待することと「拍子抜け」の関係を考察しています。

人が人を無理やり変えることはできませんし、思い通りに操ることもできません。たとえば恐怖で相手を支配して一時的に言うことを聞かせられたとしても、そのような関係はいつか最悪な結果をともなって破綻を迎えるでしょう。過度な他人への期待は、相手も自分も不幸にする結果を生むことに。このことは反対に、他人の期待に無理に応えようとしないことが、自分が不幸にならないために必要であることを示しています。『期待に応えないと嫌われるかも』という怖い気持ちもわかりますが、勇気をもってNOを突き付けることも、ときには必要ということですね。

この記事が「拍子抜け」の理解を助け、自分らしく生きることに役立てば幸いです。

英語の勉強には洋楽の和訳サイトもおすすめです。
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国語言葉の意味

「拍子抜け」は音楽用語?言葉の意味・例文・類語・対義語・英語をwebライターがわかりやすく解説!

この記事では、「拍子抜け」について解説する。
『意気込んできたのに「拍子抜け」だったな』なんて形で使われるよな。しかし拍子っていやあ『リズム』のことだと思うが、『リズムが抜ける』って言われると、なんだかわかったようなわからないような、微妙な感覚に陥るぜ。どんなシチュエーションが語源になったんでしょうな。
今回は「拍子抜け」された経験が豊富なライターであるぷーやんを呼んです。「拍子抜け」の意味と使われ方について、説明してもらう。

ライター/ぷーやん

webライター歴6年。鍛えられた語彙と文章力は本業でも発揮され、社内ルールの書き換え担当に。他人に期待されるほどやる気をなくす難解な性格を持つ。

「拍子抜け」の意味って?

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それではさっそく「拍子抜け」の意味をみていきましょう。ちなみに「拍子抜け」の読み方は「ひょうしぬけ」です。

まずは「拍子抜け」を辞書でみてみよう!

「拍子抜け」は国語辞典では以下のように書かれています。

[名](スル)張り合いがなくなること。「難問が簡単に解決して―する」
出典:デジタル大辞泉(小学館) 「拍子抜け」

「拍子」とは、桜木先生の仰る通りリズムのことです。音楽の授業で『四分の四拍子』などと聞いた記憶は、誰にもあるでしょう。規則正しく刻まれるリズムが突然抜けて無音になったとき、ノリノリな勢いも萎えてしまうのは、想像に難くありません。「拍子抜け」とはまさに、そのようにスカを食らったような気分を表現した言葉といえそうです。

「拍子抜け」の使い方を例文でみてみよう

辞書で言葉の意味を調べたら、実際に使ってみたくなるのが人間というもの。次に「拍子抜け」を用いた例文をご紹介します。

1.彼とは切磋琢磨しながら高み合っていけると思っていたのに、突然やる気をなくしたようだ。それを見て私も「拍子抜け」して目標を見失ってしまった。
2.あのチームは前評判ではとても強いと言われていたが、蓋を開けてみればうちの圧勝でとんだ「拍子抜け」だ。

どちらの例文も、緊張や期待で昂ぶっていた精神が、ハシゴを外されたようにガラガラと崩れいく様子を描いていますね。「拍子抜け」はときに、残念な気持ちとセットになることも多いのでしょう。

「拍子抜け」の類義語3選!

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まずは「拍子抜け」の類義語から。ここでは3つご紹介します。

のれんに腕押し:手応えがない

「のれん」は居酒屋などの玄関に吊り下げられている、日よけや目隠し用の布のことです。固定されずに垂れ下がっているだけの布なので、これを腕で押してもなにも手応えがありませんよね。

肩透かしを食う:気勢をそがれる

『肩透かし』は相撲の決まり手の1つで、相手の押しの勢いをかわして肩をはたいて転ばせる技。転じて、気張ったり期待したりする気持ちをかわされてしまったときに、「肩透かしを食らった」などと言います。

毒気を抜かれる:熱い気持ちをはぐらかされる

「毒気」は、「どくけ」あるいは「どっけ」と読みます。殺伐とした気分のときに天真爛漫な人と話すと、思わず「毒気が抜かれる」ものですよね。

「拍子抜け」の対義語はなにがある?

類義語の次は対義語をみていきましょう。

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