この記事では「憂さ晴らし」について解説する。

端的に言えば憂さ晴らしの意味は「気晴らし」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「憂さ晴らし」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「憂さ晴らし」の意味や語源・使い方まとめ

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「憂さ晴らし」という言葉をご存知ですか。聞いたことがある、使ったことがあるという方もあると思います。どんな意味を持つ言葉でしょうか。それでは早速「憂さ晴らし」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「憂さ晴らし」の意味は?

まず初めに、国語辞典で「憂さ晴らし」の意味を確認してみましょう。「憂さ晴らし」には、次のような意味があります。

苦しさやつらさを、何かで紛らして除いたり忘れたりすること。気晴らし。気散じ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「憂さ晴らし」

「憂さ晴らし」の詠み方は「うさばらし」です。「いやな気分をまぎらすこと」を意味しています。気晴らしするということですね。「憂さ晴らし」は「憂さ晴し」と書くこともありますよ。同じく「気晴らし」も「気晴し」と書くこともあります。気持ちが晴れない時、苦しい時、辛いことがある時、他の何かをすることで憂鬱な気持ちをまぎらせ、取り除いたり忘れたりすることを表す言葉なのです。

「憂さ晴らし」の語源は?

次に「憂さ晴らし」の語源を確認しておきましょう。

「憂さ」とは「気持ちが晴れないこと」や「物事が思いのままにならないでつらいこと」を表す言葉です。「備えあれば憂いなし(そなえあればうれいなし)」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。日頃から非常時の準備をしておけば、緊急の事態が起こっても心配する必要はないという意味の言葉ですね。この「憂い」が、「良い」と「良さ」、「濃い」と「濃さ」と同様に変化して「憂さ」となったのです。「物憂さ(ものうさ)」の「憂さ」も同じですね。

「晴らす」は文字通りの意味で「不快な気持を取り去って晴れ晴れさせる」ことを表しています。「憂さ」を「晴らす」、つまり「思いのままにならず辛い気持ちを晴れ晴れさせる」という意味の言葉として成り立っているのです。

「憂さ晴らし」の使い方・例文

「憂さ晴らし」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「憂さ晴らし」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.今日はお酒を飲んで憂さ晴らしだ。
2.このレクリエーションセンターには、憂さ晴らしにぴったりの娯楽がたくさんある。
3.彼女は、憂さ晴らしのために友達を誘って食事に出かけた。

「憂さ晴らし」はいやな気分をまぎらすこと、つまりストレスを発散させることを表現する時に使う言葉です。ストレスを発散する方法は人によって様々でしょう。仕事帰りに同僚と居酒屋でお酒を飲むこと、買い物をすること、散歩をすること、旅行に出かけること、音楽を聴くことなどいろいろありますね。何らかの愉しみを見出して心に刺激を与え、心身に溜まった不満を発散、解消させることを「憂さ晴らし」と言うのです。

「憂さ晴らし」の類義語は?違いは?

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「憂さ晴らし」の類義語を見ていきましょう。

その1「気散じ」

「気散じ(きさんじ)」は「心の憂さをまぎらすこと」を意味する言葉です。「気晴らし」のことを表し、まさに「憂さ晴らし」と同じ意味を持っています。また、「気苦労のないこと、気楽、のんき」のことも意味していますよ。その点が少し違うところですね。「気散じな旅をした」などというように用います。

その2「気慰み」

「気慰み(きなぐさみ)」は「気持ちがなぐさめられること」を意味する言葉です。「気晴らし」の意味もありますから、「憂さ晴らし」と似ていますね。「気慰みに菜園を作る」などというように用いますよ。

その3「ストレス解消」

「ストレス解消」とは「心身に加わったストレスを解消、発散させること」を言います。ストレスとは心身に加わる圧力や刺激のことです。これが溜まり続けると、もとに戻ろうとする働きを維持できない状態になり自立神経失調症やうつ病、睡眠障害等を引き起こす原因となります。ストレスを解消し、発散することはとても大切なことですね。

\次のページで「その4「命の洗濯」」を解説!/

その4「命の洗濯」

「命の洗濯(いのちのせんたく)」とは「日ごろの束縛や苦労から解放されて、のんびり気ままに楽しむこと」を言います。日頃抱えている苦労から解放されて、寿命がのびるほど思う存分のんびり楽しむことを言うのです。「憂さ晴らし」よりもさらにすっきりできそうな言葉ですね。

その5「御慰み」

「御慰み(おなぐさみ)」は「その場の楽しみ、お楽しみ、座興」のことを表し、たわむれや皮肉の気持ちを込めていう場合に使われます。「うまくできたらお慰み」などというように用いますよ。「心遣り(こころやり)」や「娯楽」と同じような意味を持っており、気晴らしをしたり楽しんだり刺激になったりするような活動のことを表しますので、「憂さ晴らし」と似た意味を持つ言葉であると言えますね。

「憂さ晴らし」の対義語は?

「憂さ晴らし」と反対の意味を持つ言葉について見ていきましょう。

その1「気塞ぎ」

「気塞ぎ(きふさぎ)」は「気分がふさいで、晴れ晴れとしないこと」を表す言葉です。「気持ちがふさぐ」と言うことがありますね。気分が晴れず、すっきりしないことを表す言葉なのです。「気塞ぎな一日を送る」などというように用います。

その2「鬱屈」

「鬱屈(うっくつ)」は「気分が晴れ晴れしないこと、心がふさぐこと」を表す言葉です。気持ちがもやもやしていて元気がないこと、憂鬱になることを表します。「鬱屈していたものが爆発した」などというように用いますよ。

「憂さ晴らし」の英訳は?

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「憂さ晴らし」を英語に訳すとどのように表現できるか見ていきましょう。

その1「recreation」

「recreation」は「気晴らし、娯楽」や「休養、保養」を意味する単語です。カタカナでも「レクリエーション」と言いますね。この単語を「憂さ晴らし」の英訳として用いることができますよ。

\次のページで「その2「diversion」」を解説!/

その2「diversion」

「diversion」は「わきへそらすこと、転換、(資金の)流用」といった意味を持つ単語ですが、「気晴らし、娯楽」の意味も持っています。この単語も「憂さ晴らし」の英訳として用いることができますよ。

その3「to forget one's worries」

他にも、「to forget one's worries」(悩み事を忘れるために)「to get out of the dumps」(抜け出すために)「let off steam」(蒸気を出す)などの表現で「憂さ晴らし」を表すこともできますよ。

What do you do for recreation?
憂さ晴らしのために何をしますか?

Sport is the best diversion.
憂さ晴らしにはスポーツが一番いい。

I went to see a movie to forget my worries.
憂さ晴らしに映画を観に行った。

I usually go for a jog to get out of the dumps.
憂さ晴らしのために、いつもジョギングをしている。

She does yoga after work to let off steam.
彼女は仕事の後にヨガをして憂さ晴らしをしている。

「憂さ晴らし」を使いこなそう

この記事では「憂さ晴らし」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「憂さ晴らし」は「いやな気分をまぎらすこと」「気晴らし」を意味する言葉でしたね。「憂さ」ににんべんをつけると「優しい」になります。憂さ晴らしをするにも、人や物に当たったりするのではなく、優しい気持ちを持って自分の心と向き合うことができたらいいですね。みなさんはどんな風に憂さ晴らしをしますか?憂さ晴らしできてすっきりしたところで、「憂さ晴らし」という言葉、ぜひ使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

「憂さ晴らし」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「憂さ晴らし」について解説する。

端的に言えば憂さ晴らしの意味は「気晴らし」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「憂さ晴らし」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「憂さ晴らし」の意味や語源・使い方まとめ

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「憂さ晴らし」という言葉をご存知ですか。聞いたことがある、使ったことがあるという方もあると思います。どんな意味を持つ言葉でしょうか。それでは早速「憂さ晴らし」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「憂さ晴らし」の意味は?

まず初めに、国語辞典で「憂さ晴らし」の意味を確認してみましょう。「憂さ晴らし」には、次のような意味があります。

苦しさやつらさを、何かで紛らして除いたり忘れたりすること。気晴らし。気散じ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「憂さ晴らし」

「憂さ晴らし」の詠み方は「うさばらし」です。「いやな気分をまぎらすこと」を意味しています。気晴らしするということですね。「憂さ晴らし」は「憂さ晴し」と書くこともありますよ。同じく「気晴らし」も「気晴し」と書くこともあります。気持ちが晴れない時、苦しい時、辛いことがある時、他の何かをすることで憂鬱な気持ちをまぎらせ、取り除いたり忘れたりすることを表す言葉なのです。

「憂さ晴らし」の語源は?

次に「憂さ晴らし」の語源を確認しておきましょう。

「憂さ」とは「気持ちが晴れないこと」や「物事が思いのままにならないでつらいこと」を表す言葉です。「備えあれば憂いなし(そなえあればうれいなし)」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。日頃から非常時の準備をしておけば、緊急の事態が起こっても心配する必要はないという意味の言葉ですね。この「憂い」が、「良い」と「良さ」、「濃い」と「濃さ」と同様に変化して「憂さ」となったのです。「物憂さ(ものうさ)」の「憂さ」も同じですね。

「晴らす」は文字通りの意味で「不快な気持を取り去って晴れ晴れさせる」ことを表しています。「憂さ」を「晴らす」、つまり「思いのままにならず辛い気持ちを晴れ晴れさせる」という意味の言葉として成り立っているのです。

「憂さ晴らし」の使い方・例文

「憂さ晴らし」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

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