

端的に言えばなけなしの意味は「ほんのわずかしかないこと」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んだ。一緒に「なけなし」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/ハル
日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。
「なけなし」の意味や語源・使い方まとめ

「なけなし」という言葉をご存知ですか。聞いたことがある、使ったことがある方もあるかもしれませんね。どんな意味を持つ言葉でしょうか。それでは早速「なけなし」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。
「なけなし」の意味は?
まず初めに、国語辞典で「なけなし」の意味を確認してみましょう。「なけなし」には、次のような意味があります。
あるとはいえないほど少ないこと。ほんのわずかしかないこと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「なけなし」
「なけなし」は、あるかないかであること、ほとんどない中で辛うじてあること、それしかないこと、極めてわずかしかないこと、ほんの少ししかないことなどを表す言葉です。いっそ「無い」と言ってしまった方がいいくらい、ほんの少ししかないことを表します。少なさだけでなく、その貴重さを強調したいときによく用いられる表現ですよ。「なけなしの金をはたいて買った」などという風によく使われる言葉ですね。
「なけなし」の語源は?
次に「なけなし」の語源を確認しておきましょう。
「楽しそう」「うれしそう」といったことを、「楽し気」「うれし気」と表現することがありますね。「なけ」は「無い」にその「気」が付いて「無気」。つまり、「無さそう」という意味を表すのです。また、言葉の末尾につく「ない」には、「限りない」「意気地ない」といったように名詞について否定の意味を含む形容詞を作る「ない」と、「切ない」「はしたない」といったように状態を表す語に付いて意味を強調した形容詞を作る「ない」があります。「なけなし」の「なし」は後者に当たり、「無気」が「無い」という意味ではなく「無気」を強調する接尾語なのです。つまり、「とってもなさそう」、現代風に言えば「すごく無さ気」といったことを表す言葉として成り立っているのですね。
「なけなし」の使い方・例文
「なけなし」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。