この記事では「論より証拠」について解説する。

端的に言えば論より証拠の意味は「証拠で示すことが重要である」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「論より証拠」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「論より証拠」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 35287465

それでは早速「論より証拠(ろんよりしょうこ)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「論より証拠」の意味は?

「論より証拠」には、次のような意味があります。

あれこれ論じるよりも証拠を示すことで物事は明らかになるということ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「論より証拠」

「論より証拠」とは、議論するよりも証拠を出すことがはっきりすること。物事の良し悪しや何かを説明するときは、いくら上手に話すよりも実際に証拠を出すのが手っ取り早い、という意味を指して使われます。現在でも日常会話、ビジネス問わずによく使われることわざです。

また、言い訳に対してだけ使うのではなく、具体的な説得性を持たせるには証拠を見せるのが早いという意味でも使われます。

「論より証拠」の語源は?

次に「論より証拠」の語源を確認しておきましょう。「論より証拠」は、江戸時代中期に広がった江戸いろはかるたに由来します。

江戸時代中期に大衆に広がったいろはかるた。いろは四十七文字に「京」の字を加え、全四十八文字を頭にしてことわざの内容を記したものです。このいろはかるたは、江戸・京都・大阪の3種類でそれぞれ発展していき、その江戸いろはかるたの「ろ」から始まることわざが「論より証拠」でした。

この札では、お家騒動の芝居のなか、相手が言い訳もできないような証拠をつきつける決め台詞として描かれたのが「論より証拠」。抽象的で曖昧な議論は面倒くさい、というニュアンスを持っています。

\次のページで「「論より証拠」の使い方・例文」を解説!/

「論より証拠」の使い方・例文

「論より証拠」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.昨日の息子の様子を見たら論より証拠だった。いつまでも子どもだと思っていたが、もう立派に成長したのだと認めざるを得なかったよ。
2.論より証拠だ。この写真がある以上、先輩がどんなに説明しても無駄だろう。
3.ドラマのラストシーンで真犯人が言い訳をしていたが、探偵役に論より証拠だと犯行現場の写真を突き付けられていた。
4.信じられないというなら、まずは私の言うとおりに一週間やってみてください。論より証拠でお見せしましょう。

論より証拠とは、あれこれ議論するより証拠を出すのが手っ取り早いという言葉。いくら順序だてて議論しようとしても根拠はなく、実際の真実や事実を示すものが重要であるという状況で使われます。議論に時間をかけても無駄であるというニュアンスも持っており、例文2や3のように相手を追い詰めるシーンで用いることも可能です。

ビジネスでも日常でもよく用いられる言葉のため、正しく意味は抑えておきましょう。

「論より証拠」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

続いて「論より証拠」の類義語について紹介します。

その1「百聞は一見にしかず」

「百聞は一見にしかず(ひゃくぶんはいっけんにしかず)」とは、“人から何度も聞く事より、自分の目で一度見た方が確かである”という意味のことわざ。中国の歴史書のひとつ、『漢書』趙充国(ちょうじゅうこく)伝にある将軍趙充国の言葉に由来します。百回聞いても一度実際に見ることには及ばないという意味合いで、何事も自分の目で確かめるべきという教えです。

議論するよりも事実を見た方が早いという点で「論より証拠」と似たニュアンスで使われます。類義語のひとつと言えるでしょう。

なお「百聞は一見にしかず」は四字熟語で「百聞一見(ひゃくぶんいっけん)」と表現することもあります。

\次のページで「その2「鯛も鮃も食うた者が知る」」を解説!/

その2「鯛も鮃も食うた者が知る」

「鯛(たい)も鮃(ひらめ)も食うた者が知る」とは、「百聞は一見にしかず」に通じることわざ。鯛とヒラメの味を理解し違いがわかるのは、実際に食べたことがある者だけだという意味で、“実際に経験しなければ物事の本質はわからない”という意味を持っています。

いくら見ても聞いても実際の経験には及ばないという点を、議論よりも経験という確実な証拠が物を言うと考えると「論より証拠」と同じ意味合いで用いることが可能です。この言葉も「論より証拠」の類義語のひとつとして抑えておくのがいいでしょう。

「論より証拠」の対義語は?

「論より証拠」とは、証拠が重要であるという意味。そのため反対の意味は存在しません。「論より証拠」には類語は多くある一方、対義語はないのです。

このことからも、時代や国を問わずに証拠の重要性がわかりますね。

「論より証拠」の英訳は?

image by iStockphoto

最後に「論より証拠」の英語表現についても確認しておきましょう。

その1「The proof of the pudding is in the eating.」

「The proof of the pudding is in the eating.」とは英語のことわざのひとつ。「proof」とは“証拠”「pudding」はお菓子の“プリン”のことで、直訳すると“プリンの味は食べることで証明できる”という意味。つまり“プリンの味は食べてみないと分からない”となり、転じて“物事の本質は実際に試してみないとわからない”という意味合いで使われます。

「論より証拠」をことわざとして英語で表現するときは、この英語訳で充分伝えることが可能です。英語訳のことわざとして覚えておくのが良いでしょう。

その2「Example is better than precept.」

「Example is better than precept.」も英語のことわざのひとつ。「precept」“教訓”という英単語で、“実例は教訓に勝る”という意味を持ったことわざです。

この言葉は“あれこれ口で話すよりも行動で示すべき”というニュアンスを持っています。そのため「論より証拠」のように、“議論するよりも証拠を見た方が良い”という表現で使用することが可能です。

状況や伝えたい内容に応じて使い分けることや、読み取ることができるようにこちらのことわざも抑えておきましょう。

\次のページで「「論より証拠」を使いこなそう」を解説!/

「論より証拠」を使いこなそう

この記事では「論より証拠」の意味・使い方・類語などを説明しました。「論より証拠」の類義語や語源を見るだけでも、いつの時代でも、あれこれ想像で議論するよりも、実際の証拠や経験が重視されてきたことがうかがえます。物事の説明が言い訳のようにならないよう、しっかり形で示せるものも残しておくように心がけたいものですね。

" /> 【慣用句】「論より証拠」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「論より証拠」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「論より証拠」について解説する。

端的に言えば論より証拠の意味は「証拠で示すことが重要である」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「論より証拠」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「論より証拠」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 35287465

それでは早速「論より証拠(ろんよりしょうこ)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「論より証拠」の意味は?

「論より証拠」には、次のような意味があります。

あれこれ論じるよりも証拠を示すことで物事は明らかになるということ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「論より証拠」

「論より証拠」とは、議論するよりも証拠を出すことがはっきりすること。物事の良し悪しや何かを説明するときは、いくら上手に話すよりも実際に証拠を出すのが手っ取り早い、という意味を指して使われます。現在でも日常会話、ビジネス問わずによく使われることわざです。

また、言い訳に対してだけ使うのではなく、具体的な説得性を持たせるには証拠を見せるのが早いという意味でも使われます。

「論より証拠」の語源は?

次に「論より証拠」の語源を確認しておきましょう。「論より証拠」は、江戸時代中期に広がった江戸いろはかるたに由来します。

江戸時代中期に大衆に広がったいろはかるた。いろは四十七文字に「京」の字を加え、全四十八文字を頭にしてことわざの内容を記したものです。このいろはかるたは、江戸・京都・大阪の3種類でそれぞれ発展していき、その江戸いろはかるたの「ろ」から始まることわざが「論より証拠」でした。

この札では、お家騒動の芝居のなか、相手が言い訳もできないような証拠をつきつける決め台詞として描かれたのが「論より証拠」。抽象的で曖昧な議論は面倒くさい、というニュアンスを持っています。

\次のページで「「論より証拠」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: