この記事では「泣きっ面に蜂」について解説する。

端的に言えば泣きっ面に蜂の意味は「不運が続くこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「泣きっ面に蜂」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「泣きっ面に蜂」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「泣きっ面に蜂(なきっつらにはち)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「泣きっ面に蜂」の意味は?

「泣きっ面に蜂」には、次のような意味があります。

泣いている顔をさらに蜂が刺す。不運や不幸が重なることのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「泣き面に蜂(なきつらにはち)」

「泣きっ面に蜂(なきっつらにはち)」とは、痛みや悲しみで泣いているところをさらに蜂が刺すことを表したことわざ。ただでさえ不幸であるのに、さらに不幸が立て続けに起きる不運な状況を表現した言葉です。本来は「泣き面に蜂(なきつらにはち)」だったものが、「泣きっ面に蜂」という促音で強調した言い方になりました。

災難や不幸が連続して起き、ただの不幸よりさらに不幸であると強調するときに一般的に用いられます。

また「泣きっ面を蜂が刺す(なきっつらをはちがさす)」という言い方もありますが、これも同じ語句です。

「泣きっ面に蜂」の語源は?

次に「泣きっ面に蜂」の語源を確認しておきましょう。「泣きっ面に蜂」は、日本の江戸時代のいろはかるたに由来しています。

いろはかるたとは、江戸時代中期に南蛮貿易から伝わったカードゲームを日本風にアレンジしたもの。いろは四十七文字に「京」の字を加えた、全部で48の文字から始まることわざが記されています。このいろはかるたは、江戸・京都・大阪の3種類の形で発展していきました。そのなかでも江戸いろはかるたの「な」から始まったのが「泣きっ面に蜂」です。

なお京都いろはかるたでは「習わぬ経は読めぬ(ならわぬきょうはよめぬ)」、大阪いろはかるたでは「なす時の閻魔顔(えんまがお)」がそれぞれ「な」の札にあたります。

\次のページで「「泣きっ面に蜂」の使い方・例文」を解説!/

「泣きっ面に蜂」の使い方・例文

「泣きっ面に蜂」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.傘を電車に忘れて土砂降りのなか泣きそうになりながら帰宅を急いでいたけれど、通りかかったタクシーに歩道に泥水を思いきりかけられ、まさに泣きっ面に蜂だった。
2.思いっきり転んで捻挫しただけでなく、泣きっ面に蜂と言わんばかりにその拍子にスマホまで壊れてしまった。
3.彼氏に別れ話をされ泣いていた友人だが、さらにそのままお酒を飲んで酔った勢いで財布を失くしてしまったらしい。泣きっ面に蜂で気の毒としか言いようがなかった。

「泣きっ面に蜂」とは、災難が立て続けに起こること。連続した不運や不幸に見舞われたときに用いる言葉です。そのため基本的にはネガティブな状況を指して「泣きっ面に蜂」と表現します。

ただし「泣きっ面に蜂」は状況を指したものなので、いずれも不幸とそこに含まれる感情はさまざま。悲しみや憂鬱、無力感のほか、自暴自棄になった感情や、場合によっては怒りになっていることもあるでしょう。また例文4のように人を気の毒に思うこともあります。どういった感情で用いられているのかは、前後の文脈やニュアンスで読み取るようにしましょう。

「泣きっ面に蜂」の類義語は?違いは?

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次に「泣きっ面に蜂」の類義語を紹介します。

その1「踏んだり蹴ったり」

「踏んだり蹴ったり(ふんだりけったり)」とは、“重ね重ねひどい目にあうこと”を指した言葉。立て続けに災いに見舞われたりと、災難が重なる状況を表したことわざです。

立て続けの不幸という意味で、「泣きっ面に蜂」と同様の意味で用いられる言葉のひとつ。まさしく「泣きっ面に蜂」の類義語と言えるでしょう。

\次のページで「その2「弱り目に祟り目」」を解説!/

その2「弱り目に祟り目」

「弱り目に祟り目(よわりめにたたりめ)」とは、“弱っているときにさらに災難にあう”こと。「弱り目」は弱っている状態、「祟り目」は祟り(たたり)にあうような状況を指し、困ったことや不運がいくつも重なる様子を表現しています。

この言葉も「泣きっ面に蜂」と同様に、災難が連続して起こることを意味し、類義語として使われる用語です。関連語句として覚えておきましょう。

「泣きっ面に蜂」の対義語は?

次に「泣きっ面に蜂」の反対の意味について考えてみましょう。「泣きっ面に蜂」とは“不運が連続して起こる”こと。つまり非常に不幸な状況で使われる言葉です。そのため、非常に幸運な状況を指す言葉は反対の意味と言えるのではないでしょうか。

ここではそのような意味を持つ言葉を「泣きっ面に蜂」の対義語として紹介します。

「棚からぼた餅」

「棚からぼた餅」とは、“思いがけない幸運を得る”こと。棚の下で寝ていたところ、なにかの拍子で落下してきたぼた餅が口に入ったという昔話に由来することわざです。かつてぼた餅は非常に贅沢なお菓子であったことから、労せず良いものを手に入れて非常に幸運だった、という意味を表す言葉となりました。

「泣きっ面に蜂」が立て続けに不幸に見舞われた様子であるのに対し、予想せずラッキーなことが起こる「棚からぼた餅」は反対の意味と言えます。

「泣きっ面に蜂」の英訳は?

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最後に「泣きっ面に蜂」の英語表現についても確認しておきましょう。

「It never rains but it pours.」

「It never rains but it pours.」とは、直訳で“土砂降りせずに雨は決して降らない”という意味。「pours」とは“土砂降り”を指す英単語で、“降れば土砂降り”と訳される英語のことわざです。

これは雨を災難にたとえたもので、“災難が来るときは必ず重ねてやってくる”という意味を持ちます。「泣きっ面に蜂」と同じように、不幸が続くことを表現したい時にはこのことわざを用いるのが良いでしょう。

なおこのことわざは「二度あることは三度ある」の英訳としても用いられることもあります。

\次のページで「「泣きっ面に蜂」を使いこなそう」を解説!/

「泣きっ面に蜂」を使いこなそう

この記事では「泣きっ面に蜂」の意味・使い方・類語などを説明しました。不幸が続く「泣きっ面に蜂」な状況には、誰だって望んでなりたくはないものです。そのためにも日ごろからできることは予防したり、リスクを考えて準備しておくようにしましょう。

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【ことわざ】「泣きっ面に蜂」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターライターがわかりやすく解説!

この記事では「泣きっ面に蜂」について解説する。

端的に言えば泣きっ面に蜂の意味は「不運が続くこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「泣きっ面に蜂」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「泣きっ面に蜂」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「泣きっ面に蜂(なきっつらにはち)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「泣きっ面に蜂」の意味は?

「泣きっ面に蜂」には、次のような意味があります。

泣いている顔をさらに蜂が刺す。不運や不幸が重なることのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「泣き面に蜂(なきつらにはち)」

「泣きっ面に蜂(なきっつらにはち)」とは、痛みや悲しみで泣いているところをさらに蜂が刺すことを表したことわざ。ただでさえ不幸であるのに、さらに不幸が立て続けに起きる不運な状況を表現した言葉です。本来は「泣き面に蜂(なきつらにはち)」だったものが、「泣きっ面に蜂」という促音で強調した言い方になりました。

災難や不幸が連続して起き、ただの不幸よりさらに不幸であると強調するときに一般的に用いられます。

また「泣きっ面を蜂が刺す(なきっつらをはちがさす)」という言い方もありますが、これも同じ語句です。

「泣きっ面に蜂」の語源は?

次に「泣きっ面に蜂」の語源を確認しておきましょう。「泣きっ面に蜂」は、日本の江戸時代のいろはかるたに由来しています。

いろはかるたとは、江戸時代中期に南蛮貿易から伝わったカードゲームを日本風にアレンジしたもの。いろは四十七文字に「京」の字を加えた、全部で48の文字から始まることわざが記されています。このいろはかるたは、江戸・京都・大阪の3種類の形で発展していきました。そのなかでも江戸いろはかるたの「な」から始まったのが「泣きっ面に蜂」です。

なお京都いろはかるたでは「習わぬ経は読めぬ(ならわぬきょうはよめぬ)」、大阪いろはかるたでは「なす時の閻魔顔(えんまがお)」がそれぞれ「な」の札にあたります。

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