

端的に言えば得てしての意味は「ややもすると」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
自治体広報紙の編集を8年経験した弘毅を呼んだ。一緒に「得てして」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/八嶋弘毅
自治体広報紙の編集に8年携わった。正確な語句や慣用句の使い方が求められるので、正しい日本語の使い方には人一倍敏感。
「得てして」の意味は?
「得てして」には、次のような意味があります。
(意図や期待に反して)ともすると、そうなる傾向に陥りやすい様子。
出典:新明解国語辞典第七版(三省堂)「得てして」
「得てして」は前の文を受けて結論を述べる場合に使います。肯定的な褒め言葉を受けてこれを否定する傾向があり、幾分ネガティブな使い方をすることが多いものです。「得てして」だけでは意味が通じません。必ず前後あるいは後ろに物事の状態を表す言葉が配置されます。その場合「得てして」のあとに続く文章や言葉はなんらかの傾向を表すものとなるでしょう。
「得てして」の語源は?
次に「得てして」の語源を確認しておきましょう。「得てして」は非常に古い歴史をもっています。古代、可能を表す言葉は「え」という副詞だけでした。これに助詞「て」をつけた「得て」が「とかく」とか「その傾向がある」という意味になり、さらに近世以降「して」をつけて現在使われている「得てして」になったのです。なお「え」は「得(う)」が転じたもので「得」だけで動詞として完結しています。例えば古い法律では「請願ヲ為スコトヲ得」と普通に記載されているのです。
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