この記事では「面映い」について解説する。

端的に言えば面映いの意味は「決まりが悪い」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員のminを呼んです。一緒に「面映い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターを目指して勉強中。

「面映い」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「面映い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「面映い」の意味は?

「面映い」には、次のような意味があります。

おも‐はゆ・い【面▽映ゆい】

[形][文]おもはゆ・し[ク]《顔を合わせるとまばゆく感じられる意》きまりが悪い。てれくさい。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

おもはゆい」と読み、「照れくさい」「恥ずかしい」「きまりがわるい」という意味で用いられます。読み方、意味はもちろんのこと、送り仮名にも注意して覚えるようにしましょう。

「面映い」の語源は?

次に「面映い」の語源を確認していきます。漢字の意味にフォーカスして分析してみましょう。

「面」は「面会」「対面」という形で用いられる様に「面と向かって」「顔を向けて」という意味を持つ漢字です。「映」の方は、もともと「他から光を受けてそのものが本来持つ色彩がもりあがり、はっきり見える」様子が元になった漢字と言われています。そこから「うつる」「はえる」といった意味を持つ様になったということですね。

そんな2つの漢字がセットになった「面映い」ですが、こちらは古語でも「おもはゆし」という形で使われていました。「相手の顔がまぶしく感じて、見るのが恥ずかしい」というニュアンスで用いられていたそうです。そこから現代の「決まりが悪い」「恥ずかしい」といった意味に発展したと言われています。

古文の世界では貴族の女性は相手に顔を見せることに恥じらいを持っていたそうです。そんな独特のシチュエーションだったからこそ、こうした表現が生まれたのかもしれませんね。

\次のページで「「面映い」の使い方・例文」を解説!/

「面映い」の使い方・例文

「面映い」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.大勢の前で褒められるのは、嬉しくも面映い気持ちになる。
2.彼は面映い様子で、彼女をデートに誘った。
3.久しぶりに再会した二人は、少し面映い様子だった。

「恥ずかしい」「決まりが悪い」様子を表す言葉として使用可能ですが、1つ注意点があります。類語のところでも詳しく説明しますが、「面映い」ですので、「恥ずかしい」というシチュエーションの中でも「人前で顔を合わせるのが恥ずかしい」という場面で使うことが適切です。こうした細かいニュアンスまで理解しておくようにしましょう。

「面映い」の類義語は?違いは?

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次に、「面映い」に関連する類義語をいくつか紹介していきます。それぞれの言葉との意味や使い方の違いをチェックしてみましょう。

その1「恥ずかしい」

「面映い」の類義語として挙げられる言葉に「恥ずかしい」があります。普段の生活の中でも使用頻度の高い言葉ですね。「面映い」の意味を説明する場でも頻繁に登場し、「決まりが悪い」という意味で「面映い」と共通しています。


「恥ずかしい」は詳しく見てみると「いいことでも悪いことでも他人の前に出ることができないような感情」を示す言葉です。それに対して「面映い」は「面と向かって何かをするのがなんとなく恥ずかしい」という意味ですので、「面映い」の方が「恥ずかしい」よりも「面と向かって」というシチュエーションに限定されています。


細かい意味の違いではありますが、せっかくなので使い分けができるようにしておきましょう。

\次のページで「その2「照れ臭い」」を解説!/

その2「照れ臭い」

こちらも「恥ずかしい」と同様に「面映い」の意味を解説する場合によく使われる表現です。「照れ臭い」も「決まりが悪い」という意味で、「面映い」と同義語となります。

「照れる」という言葉に注目して意味の違いを見てみましょう。「照れる」は「決まりが悪い」という場面の中でも、「人に褒められて」「周りから注目されて」といった場合に用いられることがほとんどです。「恥ずかしい」は基本的にどんな場面でも使えますし、「面映い」は「顔を合わせる」という前提がありましたが、「照れ臭い」の場合は褒められたり冷やかされたりして気恥ずかしく感じた場面で用いるのが適切でしょう。

同じ意味でも場面や前後の文脈による使い分けが求めれらるので、少し複雑ですがしっかりマスターしておきたいですね。

その3「こそばゆい」

最後に「こそばゆい」という表現を紹介します。こちらも大きく捉えると「恥ずかしい」という感情を表す言葉です。


ただし「こそばゆい」も使う場面が限られています。「こそばゆい」は「自分の力以上の評価を受けたときの恥ずかしく思う気持ち」と解釈される言葉です。「褒められすぎてこそばゆい」といった形で用いられ、自分が思っている以上の評価を誰かに受けたときに、気恥ずかしく感じてしまう様子を示す表現になります。


「面映い」の類義語としては挙げることができますが、こちらも使用するシチュエーションには注意しましょう。

「面映い」の対義語は?

「面映い」は大きく捉えると「恥ずかしい」「決まりが悪い」という意味でした。では、対義語として挙げられる言葉にはどんなものがあるでしょうか。

面映いの対義語「堂々」

「恥ずかしい」様子の対義語としては、「堂々」という言葉が当てはまるのではないでしょうか。意味は「外見や物腰などにどっしりとした立派さを感じさせるさま、びくびくしておらず威厳を感じさせる様子」となっており、決まりが悪い様子とは逆の態度を表す言葉になるかと思います。

その他、場面によっては「誇らしい」という表現も対義語として挙げることができるでしょう。こちらも合わせてチェックしてみてください。

「面映い」の英訳は?

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最後に、「面映い」の英語表現についての解説していきます。

面映いは英語で「embarrassed」

「面映い」の意味である「顔を合わせることが恥ずかしい」という意味に完璧に対応する1語の英単語はありませんが、意味を大きく「決まりが悪い」と捉えると、「embarrassed」という英単語に置き換えることができます。

使い方としては「feel embarrassed」「be embarrassed」といった形で表現が可能です。「面映い」を英訳する場合はこの単語を、逆に「embarrassed」を和訳する必要がある場面で「顔を合わせることが恥ずかしい」といったシチュエーションで用いられている場合には「面映い」と訳すと良いでしょう。

以下に例文を用意しましたので、最後に確認してみてください。

\次のページで「「面映い」を使いこなそう」を解説!/

I wanted to dance with him, but I felt embarrassed to ask.
彼と踊りたかったけれど、申し込むのが面映かった


I feel too embarrassed to ask her for a loan.
彼女にローンのことを相談することはあまりにも面映く感じてしまう。

「面映い」を使いこなそう

この記事では「面映い」の意味・使い方・類語などを説明しました。

類義語で紹介した「恥ずかしい」という表現は便利で、「面映い」よりも汎用性が高く、わざわざ「面映い」と言わなくても「恥ずかしい」で事足りる、と思う方も多いかもしれません。しかし、あえて「面映い」という言葉を使用することによって、より自分が伝えたいニュアンスを正確に相手に伝えることができるようになるという利点もあり、それが日本語の面白いところと言えます。

知らない言葉に出会った場合は、意味を調べて知識として終わるのではなく、積極的にその言葉を使ってみるということもぜひ意識してみてください。

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国語言葉の意味

「面映ゆい」の意味や使い方は?例文や類語を元国語科教員がわかりやすく解説!

この記事では「面映い」について解説する。

端的に言えば面映いの意味は「決まりが悪い」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員のminを呼んです。一緒に「面映い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターを目指して勉強中。

「面映い」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「面映い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「面映い」の意味は?

「面映い」には、次のような意味があります。

おも‐はゆ・い【面▽映ゆい】

[形][文]おもはゆ・し[ク]《顔を合わせるとまばゆく感じられる意》きまりが悪い。てれくさい。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

おもはゆい」と読み、「照れくさい」「恥ずかしい」「きまりがわるい」という意味で用いられます。読み方、意味はもちろんのこと、送り仮名にも注意して覚えるようにしましょう。

「面映い」の語源は?

次に「面映い」の語源を確認していきます。漢字の意味にフォーカスして分析してみましょう。

「面」は「面会」「対面」という形で用いられる様に「面と向かって」「顔を向けて」という意味を持つ漢字です。「映」の方は、もともと「他から光を受けてそのものが本来持つ色彩がもりあがり、はっきり見える」様子が元になった漢字と言われています。そこから「うつる」「はえる」といった意味を持つ様になったということですね。

そんな2つの漢字がセットになった「面映い」ですが、こちらは古語でも「おもはゆし」という形で使われていました。「相手の顔がまぶしく感じて、見るのが恥ずかしい」というニュアンスで用いられていたそうです。そこから現代の「決まりが悪い」「恥ずかしい」といった意味に発展したと言われています。

古文の世界では貴族の女性は相手に顔を見せることに恥じらいを持っていたそうです。そんな独特のシチュエーションだったからこそ、こうした表現が生まれたのかもしれませんね。

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