この記事では「毛嫌い」について解説する。

端的に言えば毛嫌いの意味は「理由もなく嫌いなこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元予備校校舎長で国語の指導歴が長い教育系ライターのみゆなを呼んです。一緒に「毛嫌い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「毛嫌い」の意味や語源・使い方まとめ

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毛嫌い」という言葉は日常会話でも登場しますね。「毛ぎらい」とひらがなで表記されることもあります。「嫌うこと」だろうと意味は何となくわかるものの、どうして「毛」がつくんだろう?と考えたことはありませんか?今回は「毛嫌い」の「毛」が何を指すのかまで解説しますから、正しく使いこなせるようになりましょう。

それでは早速「毛嫌い」の意味や語源・使い方を見ていきます。

「毛嫌い」の意味は?

まず辞書で調べてみると、「毛嫌い」には次のような意味があります。

これという理由もなく、感情的に嫌うこと。わけもなく嫌うこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「毛嫌い」

毛嫌い」は、理由があって嫌いだというときには使いません。これと言った理由もないけれど、なんとなく嫌いだというときに使う言葉です。特別な理由はないが生理的に受け付けない、感情的に好きになれないというものに対して「毛嫌い」と表現することができますよ。

「毛嫌い」の語源は?

次に「毛嫌い」の語源を確認しておきましょう。

「毛嫌い」の「毛」は鳥獣の毛を指しています。鳥獣は相手の毛並みによって、好き嫌いを判断するとのこと。子孫を残すため、あるいは種族を守るために、毛並みから本能レベルで好き嫌いを判断しているそうですよ。その様子から派生した言葉が「毛嫌い」です。これといった理由はないけれど、不快を感じて嫌だというときに使います。

「毛嫌い」の使い方・例文

「毛嫌い」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「毛嫌い」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.A課長は隣の課のB課長を毛嫌いしている。同期入社したときからずっとそうらしい。
2.あの出来事があってから、2人はお互いを毛嫌いするようになった。顔を合わせても挨拶すらしていない。
3.虫の中でも毛嫌いされるナンバーワンといえば、きっと毛虫だろう。あの毛を見ているだけで痒くなりそうだ。

「毛嫌い」はわけもなく嫌うという意味でしたね。人や物、生き物、食べ物、その他何に対しても使えます。

例文1と2は人について「毛嫌い」したときを表す文章です。A課長はB課長と馬が合わないのかもしれませんね。これと言った理由は思い当たらないのですが、お互いに嫌い合っているという様子がわかります。例文2は2人がお互いに「毛嫌い」しあっているという表現です。このように「毛嫌い」は一方的に嫌うときだけではなく、双方向で嫌う場合にも使えます。

例文3は虫について触れてみました。虫こそ、特に明確な理由はないけれど見るのも嫌だという人は多いですよね。まさに典型的に「毛嫌い」される例だと言えます。

「毛嫌い」の類義語は?違いは?

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「毛嫌い」の類義語を見てみましょう。「嫌う」という言葉の類義語は多数ありますが、中でも「毛嫌い」に近い意味を持つものをご紹介します。

その1「厭う」

「毛嫌い」の類義語1つ目は「厭う(いとう)」です。「いやがる。いやがって避ける。きらう」という意味で、嫌になった結果「避けたい」という気持ちになった状態を指します。

その2「忌み嫌う」

「毛嫌い」の類義語2つ目は「忌み嫌う(いみきらう)」です。「毛嫌い」の「嫌い」の部分の類義語で、「嫌って避ける。ひどくいやがる」という意味になります。「嫌う」度合いは高めですね。

その3「嫌悪感」

「毛嫌い」の類義語3つ目は「嫌悪感(けんおかん)」です。「嫌いだと感じる気持ち」全般に使えます。

\次のページで「その4「虫が好かない」」を解説!/

その4「虫が好かない」

「毛嫌い」の類義語4つ目は「虫が好かない」という慣用表現をご紹介します。「毛嫌い」同様、これと言った理由はないけれども「なんとなく気にくわない」というときに使える表現です。

「毛嫌い」の対義語は?

「毛嫌い」の対義語を見てみましょう。「毛嫌い」が「理由もなく嫌い」という意味ですから、反対の言葉ということは「好き」が基本概念になります。いくつ思い浮かびますか?

その1「愛好」

愛好(あいこう)」は「物事を愛しいとおしむこと、そのことが好きで楽しむこと」という意味です。嫌いに理由がないように、好きにも理由はいりませんよね。理由もなく、とにかく好きだというときに使えます。

その2「恋い慕う」

恋い慕う(こいしたう)」という言葉も「毛嫌い」の対義語だと言えます。「恋い慕う」は文字通り「恋しさいっぱいで、寄りすがりたいように慕う」という意味です。嫌いで近寄りたくもないのが「毛嫌い」ですから、まさに対義だと言えますね。

「毛嫌い」の英訳は?

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何かを嫌うという感情は世界共通のもの。「毛嫌い」を意味する英単語にはどのようはものがあるでしょうか。

その1「antipathy」

antipathy」は「根強い反感、毛嫌い、相容れない性質、性に合わないこと」といった相手を嫌う、遠ざけたい感覚を示す言葉です。まさに「毛嫌い」だと言えますね。カタカナ英語にもなっている「シンパシー(sympathy)」という言葉がありますが、こちらは「同情、思いやり」という意味で、「antipathy」とは対義になります。

He have an antipathy to cats.
「彼は猫を毛嫌いしている」

\次のページで「その2「instinctive dislike」」を解説!/

その2「instinctive dislike」

instinctive dislike」という英語表現もあります。こちらは「本能的な嫌い」という意味で、「毛嫌い」と訳されることが多い言葉です。「instinctive」が「本能的」、「dislike」が「嫌い」という意味ですね。

They instinctive dislike against some teachers.
「生徒たちはある先生を毛嫌いしていた」

「毛嫌い」を使いこなそう

この記事では「毛嫌い」の意味・使い方・類語などを説明しました。

これといって理由はないのに嫌いだという感情が生まれるのは、脳が勝手に好き嫌いを判断するからという最近の研究結果があるそうです。脳の「扁桃体」という部分が、これまでの経験や過去のデータと照合し、初めて会った人でも瞬時に「好き・嫌い」というレッテルを張るのだとか。脳の自動反応なのです。自分のわがままや思い込みではないので、その後の接し方等で印象が変わることもあるかもしれませんね。

人付き合いが難しい時代ですが、周りの人とはうまく付き合っていきたいものですね。

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国語言葉の意味

「毛嫌い」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校校舎長がわかりやすく解説!

この記事では「毛嫌い」について解説する。

端的に言えば毛嫌いの意味は「理由もなく嫌いなこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元予備校校舎長で国語の指導歴が長い教育系ライターのみゆなを呼んです。一緒に「毛嫌い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「毛嫌い」の意味や語源・使い方まとめ

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毛嫌い」という言葉は日常会話でも登場しますね。「毛ぎらい」とひらがなで表記されることもあります。「嫌うこと」だろうと意味は何となくわかるものの、どうして「毛」がつくんだろう?と考えたことはありませんか?今回は「毛嫌い」の「毛」が何を指すのかまで解説しますから、正しく使いこなせるようになりましょう。

それでは早速「毛嫌い」の意味や語源・使い方を見ていきます。

「毛嫌い」の意味は?

まず辞書で調べてみると、「毛嫌い」には次のような意味があります。

これという理由もなく、感情的に嫌うこと。わけもなく嫌うこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「毛嫌い」

毛嫌い」は、理由があって嫌いだというときには使いません。これと言った理由もないけれど、なんとなく嫌いだというときに使う言葉です。特別な理由はないが生理的に受け付けない、感情的に好きになれないというものに対して「毛嫌い」と表現することができますよ。

「毛嫌い」の語源は?

次に「毛嫌い」の語源を確認しておきましょう。

「毛嫌い」の「毛」は鳥獣の毛を指しています。鳥獣は相手の毛並みによって、好き嫌いを判断するとのこと。子孫を残すため、あるいは種族を守るために、毛並みから本能レベルで好き嫌いを判断しているそうですよ。その様子から派生した言葉が「毛嫌い」です。これといった理由はないけれど、不快を感じて嫌だというときに使います。

「毛嫌い」の使い方・例文

「毛嫌い」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「毛嫌い」の類義語は?違いは?」を解説!/

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