この記事では「負けるが勝ち」について解説する。

端的に言えば、負けるが勝ちの意味は「一時は相手に勝ちを譲るも、戦わずして結局は勝利を得ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「負けるが勝ち」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「負けるが勝ち」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「負けるが勝ち」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「負けるが勝ち」の意味は?

負けるが勝ち」には、次のような意味があります。

一時は相手に勝ちを譲り、しいて争わないのが、結局は勝利をもたらすということ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「負(ま)けるが勝(か)ち」

「負けるが勝ち」は、場合によって、戦わない争わないことで、相手に勝ちをいったん譲ったほうが、自分にとって有利となり、結局、自分の勝ちにつながるという意味です。

なお、「負ければ勝ち」とは言いません。これは誤りなので、使い方にもくれぐれも注意しましょう。

「負けるが勝ち」の語源は?

次に、「負けるが勝ち」の語源を確認しておきましょう。

負けるが勝ちの明確な由来はありません。ただ、『江戸いろはかるた』に搭乗します。一見、負けたように見えたとしても、あえて争うのを放棄し、いったん相手に勝ちを譲るほうが、結局のところ、勝利に結びつく例が多いことから生まれたことわざです。

「負けるは勝ち」とも言います。この表現も合わせて覚えておきましょう。

\次のページで「「負けるが勝ち」の使い方・例文」を解説!/

「負けるが勝ち」の使い方・例文

続いて、「負けるが勝ち」の使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.今の状況を考えると、新たな事業への投資は行わないが得策で、いわば「負けるが勝ち」だ。
2.職場での無意味な争いごとに巻き込まれるのを避ける意味で、負けるが勝ちの作戦で勝機を狙いたい。
3.強引に勝負に出ても現状、ケガによる実力不足は否めず、負けるが勝ちが賢明だ。
4.最初は抽選でも人気がなければ全員当選となるため、負けるが勝ちで待った方がよい。

例文1は、ビジネス上の話。新たな事業への投資という時間もお金もかかることをせず、今は耐えて待った方が良い結果を得られるという意味で用いられています。

例文2はというと、これもよくある争いごとで、負けると見せかけて最後に勝つ作戦です。

そして、例文3も、スポーツなどの勝負の世界。強引に出場してさらにけがをする可能性もあるわけで、慎重にという忠告も垣間見られます。

例文4は、残り物には福があるという意味に近い意味合いです。

「負けるが勝ち」の類義語は?違いは?

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次に、「負けるが勝ち」の類義語について、見ていきましょう。

負けるが勝ちの類義語には、逃げるが勝ち急がば回れ三十六計逃げるに如かずなどがあります。

その1「逃げるが勝ち」

まず、負けるが勝ちの類義語、その1つである「逃げるが勝ち」について。

逃げるが勝ちの意味は、無駄な戦いや愚かな争いごとであれば、避けて逃げるほうが結局、勝利や利益を得られるということです。つまり、争わないことで、相手に勝ちを譲るほうが、大局的に見ると得策ということわざで、逃げるが勝ちに通じるものがあります。

「人生逃げるが勝ち」などの表現もあり、これを教訓にしている人も少なからずいるでしょう。

\次のページで「その2「急がば回れ」」を解説!/

その2「急がば回れ」

続いて、「急がば回れ」について、ご紹介します。

急がば回れは、早く着こうと思うならば、危険な近道より遠くても安全確実な方法をとったほうが、むしろ早く目的を達することができるというたとえのことわざです。

日常的にも用いられることが多い有名なことわざなので、覚えておきましょう。

その3「三十六計逃げるに如かず」

さらに、「三十六計逃げるに如かず」という言葉について。これは日頃なかなかなじみがない人も多いかもしれません。

この言葉は、三十六計のように、兵法にはたくさんの種類があるけれども、形成が不利になったり、迷ったりした時、逃げるのが一番の得策、という意味です。

「三十六計」は、中国古代の兵法にある36種類のはかりごと(計略)であり、四字熟語でもあります。『南斉書・王敬則伝』にある「壇公の三十六策、走ぐるは是れ上計なり」が出典元です。

現代社会においては、面倒なことは逃げるのが得策との意味で使われます。

「負けるが勝ち」の対義語は?

負けるが勝ちの対義語も、確認しておきましょう。

対義語として、はっきりとこれだという言葉はありません。ただ、逆の意味として、勝って兜の緒を締めよ、先手必勝などが考えられます。

「勝って兜の緒を締めよ」

勝って兜の緒を締めよ」は、敵に勝っても油断しないで、心を引き締めよ、というたとえ。つまり、敵に勝ったからといって油断するなということです。

この言葉の語源には諸説あり、その一説が戦国時代、東国の有力武将だった北条氏綱(1487~1541)が、息子の氏康に遺した『五箇条の訓戒』に「勝て甲の緒をしめよ」との一文があります。また、明治時代に日本海軍で指揮を執った東郷平八郎(1848~1934)がこの言葉を使い、世間に広まったのが有名な話です。

類義語に「敵に勝ちて愈々戒む」(てきにかちていよいよいましむ)があります。

「負けるが勝ち」の英訳は?

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「負けるが勝ち」の英語訳も、確認しておきましょう。

英語にそのまま訳すと、 losing is winninglose to winwin by losing などです。その他にもさまざまな表現があります。

「Sometimes you win by losing.」

「負けるが勝ち」、これの英訳として最もふさわしい文章表現は「Sometimes you win by losing.」です。直訳すると、たまには負けが有利、となります。

つまり、負けたり勝負を譲ったりすることで、結局勝利が得られることもあるという意味。sometimes という時々という意味の英単語がつくことで、いつもではなく時々そういうことがあるということが強調されます。

その他も含め、「負けるが勝ち」の例文を見ていきましょう。

\次のページで「「負けるが勝ち」を使いこなそう」を解説!/

・Sometimes losing is really a gift in disguise.

負けるが勝ち(時には負けることが実は価値ある贈り物なこともある)

・Sometimes defeat means victory.

負けるが勝ち。

・When you lose, you actually win.

負けるが勝ち。

・He who fights and runs away may live to fight another day. 

戦って逃げるもの、生きてまた戦うこともある(負けるが勝ち、三十六計逃げるに如かず)

「負けるが勝ち」を使いこなそう

この記事では、「負けるが勝ち」の意味・使い方・類語などを説明しました。

負けるが勝ちは、今でもよく使われることわざです。スポーツやギャンブルなどの勝負事、ビジネスでも用いられ、人生の教訓とする人もいます。

類似表現で、負ければ勝ちとは言わない点なども注意して使っていきましょう。

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国語言葉の意味

【ことわざ】「負けるが勝ち」の意味や使い方は?例文や類語を元新聞記者がわかりやすく解説!

この記事では「負けるが勝ち」について解説する。

端的に言えば、負けるが勝ちの意味は「一時は相手に勝ちを譲るも、戦わずして結局は勝利を得ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「負けるが勝ち」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「負けるが勝ち」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「負けるが勝ち」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「負けるが勝ち」の意味は?

負けるが勝ち」には、次のような意味があります。

一時は相手に勝ちを譲り、しいて争わないのが、結局は勝利をもたらすということ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「負(ま)けるが勝(か)ち」

「負けるが勝ち」は、場合によって、戦わない争わないことで、相手に勝ちをいったん譲ったほうが、自分にとって有利となり、結局、自分の勝ちにつながるという意味です。

なお、「負ければ勝ち」とは言いません。これは誤りなので、使い方にもくれぐれも注意しましょう。

「負けるが勝ち」の語源は?

次に、「負けるが勝ち」の語源を確認しておきましょう。

負けるが勝ちの明確な由来はありません。ただ、『江戸いろはかるた』に搭乗します。一見、負けたように見えたとしても、あえて争うのを放棄し、いったん相手に勝ちを譲るほうが、結局のところ、勝利に結びつく例が多いことから生まれたことわざです。

「負けるは勝ち」とも言います。この表現も合わせて覚えておきましょう。

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