その2「素知らぬ」
「素知らぬ」は「素知らぬ顔(ふり)」という名詞にかかる修飾語の形で用いられ、本来知っているのに知らないふりをする様子を表します。「彼は事件について最後までそしらぬふりをした」のように内容について知らないふりをする場合と、「挨拶したのに彼女はそしらぬ顔で通り過ぎた」のように存在自体を無視する場合とがありますよ。また「素知らぬ」は「白々しい」や「空々しい」に似ていますが、「白々しい」や「空々しい」にある悪意の暗示はない点が異なります。
「白々しい」の対義語は?
「白々しい」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。
その1「ものがたい」
「ものがたい」は堅実で規範的である様子を表します。「彼は全てにおいてものがたい」「彼女はものがたくて近所づきあいも欠かさない」のように述語で用いられることが多く、修飾語になることは少ないでしょう。また「ものがたい」は「かたい」や「手堅い」に似ていますが、人間の性格全体について用いられることが多く、特定の行為における確実さは暗示しません。
その2「手堅い」
「手堅い」は「監督はランナーをてがたくバントで送った」や「銀行のようなてがたい商売なら安心だね」など物事の取り扱いが堅実で安定している様子を表します。「かたい」にも似たような意味がありますが、「手堅い」は取り扱いの堅実さがより強調され意味がより具体的になっているでしょう。
その3「真面目」
「真面目」は物事に真正面から全力であたる様子を表しますよ。「話を聞くと父は急にまじめな顔になった」は真剣だという意味、「ほんの冗談で言ったのに彼女はまじめにとった」はうそや冗談でなく本当で大切だという意味、「彼はまじめな人間だ」は堅実で信頼できるという意味です。真正面からぶつかるという意味では「真面目」は「まとも」に似ていますが、「まとも」には誠意の暗示はありません。また「真面目」は「まめ」にも似ていますが、「まめ」には同じ行為を繰り返して行う暗示があるでしょう。最近、若い人の間では「まじ(マジ)」という省略形でも用いられますが、「まじ」の方が「真面目」より用法が狭いです。
\次のページで「「barefaced」」を解説!/