この記事では「太々しい」について解説する。
端的に言えば「太々しい」の意味は「大胆不敵である、憎らしいほどずぶとい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「太々しい」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「太々しい」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「太々しい」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「太々しい」の意味は?

「太々しい」には、次のような意味があります。

〘形口〙 ふてぶてし 〘形シク〙 ひらき直って図太くかまえている。大胆不敵な様子である。

出典:コトバンク

「太々しい」は自分の非を認めずに無遠慮に振舞うのを不快に思う様子を表します。「太々しい」は自分に非があるのに潔くそれを認めずに、大胆に行動することについての不快感を表す語で、自分の非を潔く認めることにプラスの評価を与える日本文化ならではの語。

「太々しい」の語源は?

次に「太々しい」の語源を確認しておきましょう。漢字では「不適不適しい」「不貞不貞しい」と書きます。それでは「適」「貞」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「適」は道を歩いてゆく意味を表す「しんにょう」と出かけてゆく意味の音を示す「テキ」とを合わせた字。外に出かけてゆく意味を表します。後に「ちょうどよい」「あてはまる」「ふさわしい」の意味に使われるようになりました。また「貞」は占う意味を表す「ト」と神の意思をきく意味の音を示す「テイ」とを合わせた字。占って神の意思をきく意味を表します。後に「ただしい」の意味に使われるようになりました。

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「太々しい」の使い方・例文

「太々しい」の使い方について例文を挙げて解説していきます。この言葉は、たとえば以下のように用いられますよ。

1.クイズ番組では語彙力に関する問題が出た。ヒントを与えても彼は読みかたをすべて間違えてしまった。それでも彼はふてぶてしい態度で開き直った。ちなみに日本語の正解の読み方は「せいせい」「ていねい」だった。

2.大内は自分の失敗を棚に上げてふてぶてしく文句を言うタイプだ。彼奴はビジュアルがいいのを鼻にかけてプライドが高い常識外れだし、ライフスタイルもさることながら常に厳選されたラグジュアリーなブランドを身にまとったファッションでお出かけする。

3.彼女は「そんなお粗末なお答えじゃ話にならないわ」とふてぶてしく答えた。僕はカルチャーショックを受けた時のような感覚に襲われ、お願いだから他人の価値観も理解してくれよと心の中でつぶやいた。

例文1は簡単な問題に答えられなかったことへの羞恥心から、例文2は自尊心が高いが故の行動、例文3は凝り固まった固定観念を揺さぶられるがための反応です。

「太々しい」の類義語は?違いは?

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「太々しい」と似たような意味をもつ言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「図太い」

「図太い」は「彼はずぶとい神経の持ち主だ」など周囲の変化に動じない様子を表します。真意の変化を敏感に察知してそれに適宜対応していく順応性の高さを日本文化ではプラスに評価するので、周囲の変化を気にせずこれに対応する行動を起こさない様子はマイナスイメージとなるでしょう。「図太い」は「図々しい」に似ていますが、「図々しい」が周囲の迷惑を考えずに積極的な行動を起こすことについての不快感を暗示するのに対して、「図太い」は周囲に順応した行動を起こさないことについての不快感を暗示します。

また「図太い」は「したたか」にも似ていますが、「したたか」が逆境をはねのけたり耐えたりする強さを暗示し、簡単にはあきらめない性質を侮蔑して言う語であるのに対して「図太い」はその人の性格全体としての鈍感さや強さを暗示し、逆光に逆らう強さの暗示はありません。ちなみに「太々しい」との違いは「太々しい」は自分の非を認めずに無遠慮に振舞うのを不快に思う様子を表すという点です。

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その2「したたか」

「したたか」は「彼はしたたかだから転んでもただは起きない」や「彼女は離婚ぐらいではまいらないしたたかな女だ」など非常に強くて扱いにくい様子を表します積極的な行動を起こす強さではなく、逆境をはねのけたり耐えたりする強さの暗示される語不利な形勢になっても潔く負けを認めず簡単にはあきらめない性質を侮蔑して言う語であって、自分の非を認め責任をとる態度を好ましいものと評価する日本文化の特徴を裏から表した語になっていますよ。「したたか」は「図太い」に似ていますが、「図太い」はある人の性格全体の鈍感さや強さをやや客観的に暗示するのに対して、「したたか」は逆境に負けない強さをやや侮蔑的に表現する点が異なります。

また「したたか」は「逞しい」にも似ていますが、「逞しい」がエネルギーをもった強さをプラスイメージでとらえているのに対して、「したたか」はマイナスイメージでとらえている点が異なるでしょう。なお「太々しい」との違いは、「太々しい」は自分に非があるのに潔くそれを認めずに大胆に行動することについての不快感を表すという点です。

「太々しい」の対義語は?

「太々しい」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。

その1「慎ましい」

「慎ましい」は「彼は誰の前でもつつましい態度をくずさない」など控え目で遠慮深い様子を表し、大人の人柄や行為について用います。目立たないことをプラスに評価する日本文化ならではの語。「慎み深い」によく似ていますが、「慎み深い」が意図的に起こされた状態を暗示するのに対して「慎ましい」は客観的な状態を暗示し、意図のあるなしに言及していない点が異なります。また「慎み深い」は起こされた行動の様子について遠慮がちであると評するニュアンスがあるのに対して、「慎ましい」では目立った行動を起こさない様子について遠慮がちであると評するニュアンスがあるでしょう。

その2「慎み深い」

「慎み深い」は遠慮がちで控え目な様子を表す表現大人の人柄や行為について遠慮がちで目立った行動をしない様子を表します。自分の内面の全てを表さないことを美徳とする日本文化に特有の語と言えるでしょう。「慎み深い」は「奥ゆかしい」に似ていますが、「奥ゆかしい」が行動の遠慮深さから内面の奥深さを想像して魅力を感じているニュアンスがあるのに対して、「慎み深い」は内面への想像は暗示されておらず対象への感動も少ない表現になっている点が異なります。

「慎み深い」は「しとやか」にも似ていますが、「しとやか」は女性専用で男性には用いられず、主に対象の外見や行動の上品さに対する感動を表すニュアンスがあるのに対して「慎み深い」は男性にも用いられ、感動が少なくてやや客観的な表現である点が異なりますよ。

「太々しい」の英訳は?

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「太々しい」の英訳にはどのようなものがあるのでしょうか。英語で「太々しい」と言い表す時の例をさっそく見ていきましょう。

「impudent」

「impudent」は「厚かましい、恥知らずの、厚かましくて」という意味です。「I don't like her impudent」で「彼女のふてぶてしい態度が気にくわない」、「The thief was caught, but he was still impudent」で「その泥棒は捕まってもなおふてぶてしい」と訳すことができますよ。

\次のページで「「太々しい」を使いこなそう」を解説!/

「太々しい」を使いこなそう

この記事では「太々しい」の意味・使い方・類語などを説明しました。「太々しい」は自分の非を認めずに無遠慮に振舞うのを不快に思う様子を表す形容詞だと解説しましたね。また「太々しい」は「図太い」に似ていますが、「図太い」は周囲の状況に動じない様子を暗示し必ずしも主体に非があるとは限りません。遠慮がないという意味では「厚かましい」や「図々しい」にも似ていますが、「太々しい」には非を認めないことについての明確な憎悪の暗示があります。そのため「彼は初対面の家へふてぶてしく上がりこんだ」は間違った用法で、正しくは「彼は初対面の家へあつかましく(ずうずうしく)上がりこんだ」となりますよ。それぞれのニュアンスの違いを正しく理解しましょう。

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国語言葉の意味

「太々しい」の意味や使い方は?例文や類語をプロダクション編集者がわかりやすく解説!

この記事では「太々しい」について解説する。
端的に言えば「太々しい」の意味は「大胆不敵である、憎らしいほどずぶとい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ライターのflickerを呼んです。一緒に「太々しい」の意味や例文、類語などを見ていきます。

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仕事柄、言葉からひらめきをもらうことがよくある。「なるほど。そういうことか!」と言葉への知識・関心がさらに一層広がるように、さらに編プロでの編集経験を活かし理解しやすい精確な解説を心掛ける。

「太々しい」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「太々しい」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「太々しい」の意味は?

「太々しい」には、次のような意味があります。

〘形口〙 ふてぶてし 〘形シク〙 ひらき直って図太くかまえている。大胆不敵な様子である。

出典:コトバンク

「太々しい」は自分の非を認めずに無遠慮に振舞うのを不快に思う様子を表します。「太々しい」は自分に非があるのに潔くそれを認めずに、大胆に行動することについての不快感を表す語で、自分の非を潔く認めることにプラスの評価を与える日本文化ならではの語。

「太々しい」の語源は?

次に「太々しい」の語源を確認しておきましょう。漢字では「不適不適しい」「不貞不貞しい」と書きます。それでは「適」「貞」の漢字の成り立ちについて説明しましょう。「適」は道を歩いてゆく意味を表す「しんにょう」と出かけてゆく意味の音を示す「テキ」とを合わせた字。外に出かけてゆく意味を表します。後に「ちょうどよい」「あてはまる」「ふさわしい」の意味に使われるようになりました。また「貞」は占う意味を表す「ト」と神の意思をきく意味の音を示す「テイ」とを合わせた字。占って神の意思をきく意味を表します。後に「ただしい」の意味に使われるようになりました。

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