
その2「しかたがない」
「しかたがない」はとるべき方法がなくやむを得ない様子を表す形容詞。述語にかかる修飾語になることもありますが述語になることが最も多いです。客観的な判断は意味せず、話者の主観的なあきらめや不本意さの暗示される表現となっているでしょう。「しかたがない」は「やむを得ない」に似ていますが、「やむを得ない」が話者の主観的な判断を暗示するのに対して、「しかたがない」はもっと客観的な余儀ない状況に基づく判断を暗示するニュアンスのある点が異なります。さらに「しかたがない」は「…てしかたがない」の形をとり、我慢できない様子を表しますよ。
この「しかたがない」は「たまらない」に近い意味を表しますが、「たまらない」では我慢できない程度がより強く、実際に行動を起こしてしまうことが暗示されているのに対して、「しかたがない」は行動を起こすかどうかまでは言及していない点が異なります。また「しょうがない」にも似ていますが、「しょうがない」の方がより俗語的であきらめのニュアンスが強く日常会話に多く登場しますよ。「ひとたまりもない」との違いは「ひとたまりもない」はわずかの間も持ちこたえることができず、受け入れてしまう様子を表すという点です。
「ひとたまりもない」の対義語は?
「ひとたまりもない」と反対の意味に近い言葉をご紹介します。さっそく見ていきましょう。
「しぶとい」
「しぶとい」は困難な状況にあってもなかなか参らない様子を表します。単に頑丈だ頑強だという意味ではなく、逆境に負けないというニュアンスを持っている語であって、逆境に負けない強さに対する感動・驚き・あきれなどの感情を含む語。例えば「この力士は土俵際がなかなかしぶとい」は土俵際に追い詰められても簡単に土俵外に出ないという意味、「まだ白状しないなんてしぶとい奴だ」は自白を強要されても屈しないという意味、「ノミは三カ月間餌なしでもしぶとく生きている」は餌がないという状況でも三カ月生き延びているという意味です。「しぶとい」は「したたか」に似ていますが、「したたか」には逆境に屈しない強さに対する侮蔑のニュアンスがあるのに対して、「しぶとい」は感嘆のニュアンスのある点が異なりますよ。
「without the least resistance」
「without the least resistance」は「ひとたまりもない」という意味です。「I lost to my brother in tennis without the least resistance」で「私はテニスで兄にひとたまりもなく負けた」、「The house was destroyed in the earthquake without the least resistance」で「地震でその家はひとたまりもなかった」と表現することができますよ。
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