
「便宜上」の使い方は?
「便宜上」は以下のように使用します。
1.この製品は「便宜上」主流のラインナップには加えられず、その他の商品扱いになるだろう。
2.ここでは「便宜上」冥王星も惑星として話を進めたい。
3.資料の上では「便宜上」納期が夏になっているが、実際は冬になるだろう。
上記の例文はすべて「実態に即していない(正確ではない)が、今の状況ではその方が都合が良いためそのように扱うと」という意味になります。「便宜上」を一言で置き換えるのは難しく、簡単に言うとどうしても長くなってしまう言葉です。言い換えると、普通に表記した場合これだけの文字数を使うことになる状態を、「便宜上」の一言で置き換えることができる点が「便宜上」の優れたポイントと言えます。
「便宜上」を使用する際は、その場の人間は原則「正確ではない」ということをわかっている場合が多いです。しかし正しさにこだわっていては話が進まないことも同時にわかっているためやり取りが成り立ちます。
「便宜上」についてより深く知ろう

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「便宜上」という言葉を自分のものにするには、辞書上の意味や読み方だけでなくさらに細かい知識がある方がより身につきやすいです。その言葉だけをピンポイントで知るのではなく、言葉の周りにある部分を知識として知ることで使い方に深みが出ます。
そもそも「便宜」って何?
「便宜上」とは「便宜」+「上」という単語を合わせた複合単語であることは前述しました。では、「便宜」とはそもそもどういう意味でしょうか。「便宜」とは、「都合が良いこと」「その場に合わせた特別なはからい」という意味です。「音信/たより」という意味もありますが、この意味は「便宜上」という言葉について考えるにあたっては無関係であるため、割愛します。
「便宜」の意味は「便宜上」とほぼ変わらず、「状況に合わせて都合よくはからったこと」という意味です。「上」が付くことで、「その前提を踏まえた上で」という意味になり、暗に本題はそこではないということを示していると取れます。
「便宜をはかる」とは?
「便宜をはかる」という言葉がありますが、これは「便宜上」とどう違うのでしょうか。「便宜」は上記トピックで解説した通り「都合が良いこと」という意味ですが、「便宜をはかる」とは「都合が良くなるように特別にはからいをする」ということになります。
「便宜」だけでもはからいという意味はありますが、「便宜をはかる」と言うとより能動的に都合がよくなるよう取り計らうというニュアンスが強いです。そのままでは都合よく進まないことを、都合よく進むように行動することを示しています。「便宜上」は都合よくしなければ目的が達成できない場面で使うことが多いですが、「便宜をはかる」は便宜そのものを目的としているイメージでとらえると良いでしょう。
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