平安時代日本史

平安時代に日本とインドをつないだ「今昔物語集」について元大学教員が5分で解説

よぉ、桜木建二だ。インド、中国、日本に伝えられていた千以上の説話が収録されているのが今昔物語。成立したのは平安時代の後期とされているものの詳細は不明。それにもかかわらず、現代の日本のポピュラーカルチャーに影響を与えるなど身近な存在となっている。

今昔物語にはどのような逸話が採録され、現代にいかなる影響を与えたのだろうか。成立の過程やその時代背景などを日本史に詳しいライターひこすけと一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

hikosuke

ライター/ひこすけ

アメリカの歴史や文学を専門とする元大学教員。平安時代にも興味があり、いろいろ気になることを調べている。今昔物語は学生時代に呼んでその魅力に取りつかれた。そこで今昔物語について歴史的な観点から調べてみた。

1.今昔物語は平安時代後期に成立した説話集

image by PIXTA / 70381846

今昔物語には、天竺(てんじく・インド)、震旦(しんたん・中国)、本朝(日本)に伝えられていた総数1000以上の説話が収録。全部で31巻にのぼる説話集です。編者は源隆国(みなもとのたかくに)とされていましたが、現在では否定。成立したのは平安時代後期ではないかと思われています。しかし、正確なことはほとんど分かっていません。大部分が仏教に関連した仏教説話で、本朝編には日本の世俗説話や実在の人物の武勇伝なども多く含まれてました。

今昔物語が生まれた時代

今昔物語は、いつ生まれたのか、誰が編纂したのか、どんな目的でまとめたのか、すべて不明ですが、一説によると、平安時代後期あるいは末期に完成しました。白河法皇や後鳥羽法皇が権力を握っていたころ貴族政治は腐敗。地方では武士が力を持ってきた時代のことです・

貴族たちは藤原一族の顔色をうかがい、庶民の生活の困窮には無関心。中央政治は賄賂とコネが横行。貴族たちは呪術や祈祷に頼り、政治は完全なる機能不全に陥ります。地方では新興勢力の武士がひたひたと力を増し、今までの貴族政治は根底から壊れてゆく時代。そんなときに今昔物語は生まれました。

今昔物語にはどんな特徴がある?

すべての物語が「今ハ昔」という書き出しになっているのが今昔物語集の特徴。それが今昔物語という名前の由来にもなっています。その終わりは「トナム語リ伝へタルトヤ」。本文は漢字とカタカナだけで書かれた文体で、僧侶が関わっていたか、もしくは撰者だったという説もあります。しかし真実は分かりません。

話の内容が具体的に伝わっていない場合、「今ハ昔 ノ国ニ トイフ人アリケリ」という形になっていて、後で空白の部分にかきこめるようになっているのが大きな特徴。編纂者に何か明らかな意図があったのかもしれません。漢字とカタカナだけで書かれていることからも、男性の手によって編纂されている可能性もあります。

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