この記事では「誰何」について解説する。

端的に言えば誰何の意味は「呼び止めること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「誰何」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。恥ずかしい話、駅員に誰何されたことが若い頃にあった。時効だとは思うが、なぜそうなったかは差し控えさせていただく。

「誰何」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「誰何」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「誰何」の意味は?

「誰何」には、次のような意味があります。

相手が何者かわからないときに、呼びとめて問いただすこと。「守衛に誰何される」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「誰何」

まず、「誰何」の読み方を説明する必要があるでしょう。「誰何」は「すいか」と読みます。「だれなに」ではありません。

「誰何」の意味は「相手が誰か分からないときに呼び止めて尋ねること」です。警察官や警備員が、不審であると思った人物に身元を尋ねる状況をイメージすると良いでしょう。

「誰何」の使い方・例文

「誰何」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「誰何」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.美術館の入口で思いがけなく誰何された。
2.先ほどから怪しげな男がいるので、タイミングを図って誰何してみよう。
3.戦場で誰何されたとき、身元を明かさないと拘束される危険性があるし、最悪の場合は狙撃される。

「誰何」は「呼び止めて尋ねること」という、かなり限定された意味の言葉です。よって、使う場面も限られたものとなります。例文1は「誰何」されたとき、例文2は逆に「誰何」する立場です。例文3はめったにない状況ですので、何かの書籍を読んだり映像作品を見たりしたのかもしれません。いずれにせよ、「誰何」という言葉を聞く機会は限られたものとなるでしょう。

「誰何」の類義語は?違いは?

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ところで、「誰何」の類義語は何でしょうか。違いとともに見ていきましょう。

「尋問」「職務質問」

「素性が分からない人物に尋ねる」と聞けば、「尋問」や「職務質問」という言葉が思い浮かぶでしょう。おそらく「誰何」よりは広く浸透しているはずです。しかし、「尋問」も「職務質問」も、専門的な言葉として使われるケースが多くなります。そこが「誰何」との違いです。

特に裁判における「尋問」は、裁判所や当事者などが証人に対して質問し、一定の場合(拒否権を有するなど)を除いてそれに応答しなければならないことを言います。ドラマや映画で「証人尋問」や「誘導尋問」などを見たことがあるのではないでしょうか。

「職務質問」は、警察官職務執行法にその定義が定められています。第2条には、挙動の不審な者や他人の犯罪を知っていると認められる者がいた場合に警察官が呼び止めて質問できるとしていますが、その質問が「職務質問」と呼ばれるものです。「職質」という略し方を聞いたことがある人もいるでしょう。

「誰何」の対義語は?

さらに「誰何」の対義語も見ていきましょう。

\次のページで「「名乗り」「自称」」を解説!/

「名乗り」「自称」

「誰何」には明確な対義語がありません。しかし、「誰何」が「素性の分からない人物に尋ねること」という意味ですので、その逆は「自分の素性を明かすこと」となるでしょう。よって、「自分のことについて話す」といった意味を持つ単語を探せは対義語に近いものが見つかるでしょう。

たとえば、「名乗り」という言葉がその候補の1つです。辞書で調べると、「自分の名前をはっきり言うこと」などとあります。しかし、「名乗り」といえば別のものを連想するのではないでしょうか。昔の戦では、戦う前に「やあやあ我こそは〜」などと自らの身元を明かしましたが、それこそが「名乗り」です。

また、「自称」も候補と言えるでしょう。これも辞書で調べると、意味は「自分で名乗ること」です。しかし、辞書にある「自称」の意味には、それに加えてある文言が添えられています。それは、「真偽はともかく」です。たとえば、「自称画家」と名乗る人がいたとします。しかし、その人を画家だとは認めないでしょう。「自分では画家だと言うがそうではない」と思うはずです。そういった点があるため、「名乗り」同様「自称」も「誰何」の対義語とは言い切れません。

「誰何」の英訳は?

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では、「誰何」の英訳は何でしょうか。

「challenge」

「誰何」の英訳は「challenge」(チャレンジ)です。多くの人が「チャレンジ」と聞いたら、「挑戦」や「困難に立ち向かうこと」を連想するでしょう。

しかし、スポーツ好き、特にテニスファンなら「チャレンジ」という言葉に違和感はないでしょう。というのも、テニスでは審判の判定に不満がある場合に「チャレンジ」が認められるからです。この「チャレンジ」とは1セットに3回までビデオ判定を要求できるものですが、判定の結果が覆ると「チャレンジ」の回数は減りません。1セットで3回「チャレンジ」に失敗すると、そのセットでの「チャレンジ」の権利を失います。日本のプロ野球なら「リクエスト」、サッカーなら「VAR」と同じと言ってもいいでしょう。

この「challenge」ですが、実際に英和辞典で調べると「挑戦、やりがい」だけでなく、「説明の要求、抗議」などともあります。テニスなどの「チャレンジ」は「判定への抗議」ですし、「誰何」は「相手に身元の説明を要求する」と言い換えが可能です。

「誰何」を使いこなそう

この記事では「誰何」の意味・使い方・類語などを説明しました。

日常生活において「誰何」される状況はただならぬことですし、逆に「誰何」する立場の人は限られます。しかも、「誰」を「すい」と読むケースがほとんどありません。ですので、「誰何」を正しく読めないことは仕方がないことかもしれません。しかし、裏を返せば、「誰何」を知っている人はごくまれだということになります。「これは『すいか』と読んで意味は〜」などと説明できれば、もしかしたら尊敬されるかもしれません。

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国語言葉の意味

「誰何」の意味や使い方は?例文や類語を雑学大好きwebライターがわかりやすく解説!

この記事では「誰何」について解説する。

端的に言えば誰何の意味は「呼び止めること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

国立大で国語学を学んだライターのタケルを呼んです。言葉の解説を得意としていて、大学時代はクイズサークルに所属していたので雑学にも詳しい。一緒に「誰何」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/タケル

某国立大で日本語学を専攻。恥ずかしい話、駅員に誰何されたことが若い頃にあった。時効だとは思うが、なぜそうなったかは差し控えさせていただく。

「誰何」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「誰何」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「誰何」の意味は?

「誰何」には、次のような意味があります。

相手が何者かわからないときに、呼びとめて問いただすこと。「守衛に誰何される」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「誰何」

まず、「誰何」の読み方を説明する必要があるでしょう。「誰何」は「すいか」と読みます。「だれなに」ではありません。

「誰何」の意味は「相手が誰か分からないときに呼び止めて尋ねること」です。警察官や警備員が、不審であると思った人物に身元を尋ねる状況をイメージすると良いでしょう。

「誰何」の使い方・例文

「誰何」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「誰何」の類義語は?違いは?」を解説!/

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