この記事では「反目」について解説する。

端的に言えば反目の意味は「仲が悪くて対立すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

ドラマやアニメなど、数多くの映像字幕を作成した経験があるNagiを呼んです。一緒に「反目」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Nagi

映像翻訳スクール出身。翻訳、チェッカー以外にも、CC字幕(クローズドキャプション)の制作多数。言葉を文字で表現する「字幕」の世界に数多く触れてきた経験を活かして、分かりやすく解説する。

「反目」の意味や語源・使い方まとめ

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反目」の読み方は「はんもく」です。裏社会をテーマにした映画やドラマをよく見る人は「はんめ」と読んだのではないでしょうか。

それでは早速「反目」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「反目」の意味は?

まず、国語辞典に記載されている意味を見てみましょう。「反目(はんもく)」には、次のような意味があります。

互いににらみ合いの状態にあること。仲が悪いこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「反目」

「反目」は「はんもく」としての意味が一般的ですが、ここで「はんめ」の意味も併せて説明しておきましょう。「反目(はんめ)」は、ヤクザや暴力団組織において「対立する敵」を意味する言葉。いわゆる「反社会的勢力(反社)」と呼ばれる世界で使われている業会用語です。博徒(とばく)で賭けたサイコロの目と反対の目が出ることに由来します。

「反目」の語源は?

次に「反目(はんもく)」の語源を確認しておきましょう。「」という字には「逆向き」という意味があります。「反対」「反転」などが分かりやすいですね。ところが、単純に「逆」ともいえない場合もあります。例えば「反省」という言葉の「反」。この場合は、自分自身の行動や言動に向き合うという意味合いが出ます。「反目」の「反」はどうでしょうか。「反目」の意味が「にらみ合うこと」であることからも、ここでの「反」には「相手に向き合う」という意味合いがあることが分かりますね。

\次のページで「「反目」の使い方・例文」を解説!/

「反目」の使い方・例文

続いて「反目」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.日韓が反目し合っているのを見て、 ほくそ笑んでいる国もある。

2.父親が亡くなると、今まで仲の良かった兄弟が相続問題で反目するようになった。

3.同族経営の会社では、肉親同士の反目が企業経営に影響して、御家騒動に発展することがある。

4.令和に入ってから狂言の派閥内で対立が起こり、いまだに反目している。

例文1は、国同士の反目です。国際情勢に関する記事やニュースでよく目にするのではないでしょうか。反目は例文2や例文3のように親と子、兄弟姉妹や親戚といった血縁関係の間柄でもよく起こります。さらには、例文4のように、流派がともなう技芸や芸術の世界で起きるのも珍しいことではありません。

「反目」の類義語は?違いは?

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ここからは「反目」の類義語を見ていきましょう。「仲が悪くて対立すること」と同じような意味を持つ言葉を、いくつか紹介していきます。

その1「軋轢」

軋轢」の読み方は「あつれき」です。どちらも難しい漢字ですが、意外に読める人は多いのではないでしょうか。「軋/轢」の字は、どちらも「きしる」が訓読み。「車輪がきしる」状態をイメージしてください。「なめらかであるべきものが、そうでない」という意味が転じて「人の仲が悪くなる」=「軋轢」になるというわけです。

\次のページで「その2「確執」」を解説!/

その2「確執」

確執(かくしつ)」は、自分の意見を強く主張して譲らないことそのために生じる不和を表す言葉。日常でもよく使われていますね。「反目」の状態よりも「不和」による悪い影響が現れていたり、仲の悪さが露出しているイメージが強く感じられる言葉です。

「反目」の対義語は?

次は「反目」の対義語を見ていきましょう。「仲が悪くて対立すること」と反対の意味合いを持つ言葉を紹介します。

その1「親睦」

親睦(しんぼく)」の意味は「お互いに親しみ合い、 仲よくすること」。「」という字に「仲よくする」という意味があります。「なかむつまじい」は「仲睦まじい」と書けることからも分かりますね。ギスギスした印象の「反目」とは明らかに対照的な言葉で、温かみが感じられます。

その2「懇親」

懇親」は「こんしん」と読みます。意味は「親しく交際すること」や「親しみ合うこと」なので、前述の「親睦」と同義といえるでしょう。「」という字に「飾らない心で他人と接する」という意味があります。

では、「親睦会」と「懇親会」の違いは何でしょうか?サークルやグループ活動などで行われる「親睦会」は、端的に言えば仲良くなることを目的とした会です。一方の「懇親会」は、会社や組織内で開かれるイメージがあります。情報交換したり、モチベーションを上げるために交流を深める会だといえるでしょう。

「反目」の英訳は?

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日本語の「反目」は英語で表現すると、どのようになるのでしょうか?ここからは日本というフィールドを離れて、文化や習慣の異なる英語圏の視点から「反目」の英語訳を見ていきましょう。

その1「antagonism」

英語で「反目」を表現する場合、「反対・敵対・敵意・反抗心」といった意味を持つ英単語「antagonism」が使えます。「逆、反対」という意味の接頭辞「anti」と「闘争」の意味の「agon」が語源の言葉です。形容詞形の「antagonistic」を使って表現することもできます。

\次のページで「その2「at odds with」」を解説!/

その2「at odds with」

at odds with」も「反目」の訳語として使えるでしょう。この表現には「不和で、調和しないで」という意味があります。「意見の相違」による対立という意味合いが強いフレーズです。「disagree with(同意しない)」と同義と考えると分かりやすいでしょう。

1.The two major companies are antagonistic to each other.
大手二社は互いに反目し合っている。

2.I have been at odds with my mother over money matters for a long time.
私は金銭問題を巡って母親と長年反目している。

「反目」を使いこなそう

この記事では「反目(はんもく)」の意味・使い方・類語などを説明しました。「反目(はんめ)」のような隠語も、由来や語源を調べてみると色々と勉強になります。裏社会で使われている言葉であっても、少なからず文化や歴史が影響しているからです。試験に出るような言葉ではありませんが、知らずに用いてしまわないためにも機会があれば覚えておきましょう。

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国語言葉の意味

「反目」の意味や使い方は?例文や類語を字幕制作者がわかりやすく解説!

この記事では「反目」について解説する。

端的に言えば反目の意味は「仲が悪くて対立すること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

ドラマやアニメなど、数多くの映像字幕を作成した経験があるNagiを呼んです。一緒に「反目」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Nagi

映像翻訳スクール出身。翻訳、チェッカー以外にも、CC字幕(クローズドキャプション)の制作多数。言葉を文字で表現する「字幕」の世界に数多く触れてきた経験を活かして、分かりやすく解説する。

「反目」の意味や語源・使い方まとめ

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反目」の読み方は「はんもく」です。裏社会をテーマにした映画やドラマをよく見る人は「はんめ」と読んだのではないでしょうか。

それでは早速「反目」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「反目」の意味は?

まず、国語辞典に記載されている意味を見てみましょう。「反目(はんもく)」には、次のような意味があります。

互いににらみ合いの状態にあること。仲が悪いこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「反目」

「反目」は「はんもく」としての意味が一般的ですが、ここで「はんめ」の意味も併せて説明しておきましょう。「反目(はんめ)」は、ヤクザや暴力団組織において「対立する敵」を意味する言葉。いわゆる「反社会的勢力(反社)」と呼ばれる世界で使われている業会用語です。博徒(とばく)で賭けたサイコロの目と反対の目が出ることに由来します。

「反目」の語源は?

次に「反目(はんもく)」の語源を確認しておきましょう。「」という字には「逆向き」という意味があります。「反対」「反転」などが分かりやすいですね。ところが、単純に「逆」ともいえない場合もあります。例えば「反省」という言葉の「反」。この場合は、自分自身の行動や言動に向き合うという意味合いが出ます。「反目」の「反」はどうでしょうか。「反目」の意味が「にらみ合うこと」であることからも、ここでの「反」には「相手に向き合う」という意味合いがあることが分かりますね。

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