この記事では「破竹の勢い」について解説する。

端的に言えば破竹の勢いの意味は「一気に勢いを増すこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「破竹の勢い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「破竹の勢い」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「破竹の勢い」の意味や語源・使い方まとめ

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破竹の勢い」の読み方は「はちくのいきおい」です。スポーツの解説や、小説などで耳にしたり目にしたことがあると思います。それでは早速「破竹の勢い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「破竹の勢い」の意味は?

まず初めに「破竹の勢い」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「破竹の勢い」には、次のような意味があります。

1.竹が最初の一節を割るとあとは一気に割れるように、勢いが激しくてとどめがたいこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「破竹の勢い」

2.何かをきっかけに一気に勢いを増すこと。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「破竹の勢い」

上記のように「破竹の勢い」とは、勢いが激しく止まらないことを言います。竹が少し割れ目をいれるだけで、簡単に縦に割れるように、何かをきっかけに勢いが止まらない様子を表しているのです。

スポーツの試合で、怒涛の勢いで攻撃が成功している場面。小説やドラマなどの戦争のシーンで、一方的に攻撃が成功している時などに用いられることが良くあるでしょう。

「破竹の勢い」の語源は?

次に「破竹の勢い」の語源を確認しておきましょう。「破竹の勢い」の語源は日本でも人気のある三国志の終盤、杜預による呉の平定を記した「晋書」杜預伝に由来があります。

呉を平定するために出兵した晋の軍でしたが、軍議では疫病が流行る夏の時期を過ぎてから攻め入ろうと言う意見がありました。しかし総司令官の杜預はそれに対し「譬如破竹、譬えるに破竹の如し(勝ち進んできた今こそ、兵威は振るっていて、今なら竹を割くようなものだ)」と、進軍を進めます。果たして、勢いに乗っていた晋の軍は勝利をおさめることができました。

このエピソードから、いったん勢いがついて止められない、と言う意味の「破竹之勢」と言う故事成語ができました。それが日本に伝わり、現在も慣用句「破竹の勢い」として使われているのです。

\次のページで「「破竹の勢い」の使い方・例文」を解説!/

「破竹の勢い」の使い方・例文

それでは「破竹の勢い」の使い方を実際の例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.新設校の野球部だが、猛烈な勢いで成長し、地区予選では連戦連勝。まさに破竹の勢いと言ったところだ。
2.県内各所に有名商業施設が参入し、集客数を増やしており、まさに破竹の勢いで続々と建設されていく。
3.織田信長は、天下布武を打ち出し、破竹の勢いで領土を広げ安土城を築城した歴史的に有名な戦国武将だ。

「破竹の勢い」は元々が争いごとに対して使われた言葉なので、相手と争うシーンで使うのに相性の良い言葉ですね。上記三つの例文は良く使われる場面を想定して例に挙げたものです。

まず、例文1のようにスポーツなどで快進撃をする時や、得点を大量に奪うシーンなどで使われることも良くあります。他にも、例文2のように、経済などで急成長を遂げた時などにもよく使われますね。最後の例文3はまさに戦における快進撃の話です。このように、歴史小説や、歴史番組の解説などで良く使われています。

「破竹の勢い」の類義語は?違いは?

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「破竹の勢い」の類義語には「飛ぶ鳥を落とす勢い」が挙げられます。

「飛ぶ鳥を落とす勢い」

飛ぶ鳥を落とす勢い」(とぶとりをおとすいきおい)は、勢力や権力などが盛んである、と言う意味です。なぜ飛ぶ鳥なのかと言うと、空を飛んでいる鳥を覇気で落としてしまうほどに勢いがある、と言う例えなのですね。

「破竹の勢い」と「飛ぶ鳥を落とす勢い」は、非常に勢いがある、と言う同じ意味を持つ類義語と言えるでしょう。しかし、相違点もあります。「破竹の勢い」が、争いや戦いなど、競争相手のいる場合に使われるのが多いのに対して、「飛ぶ鳥を落とす勢い」は、争いなどのニュアンスがない文章でも違和感なく使うことが出来るのです。

また、よく見かける誤用ですが、「飛ぶ鳥を射る勢い」とするのは誤りですので注意してください。

\次のページで「「破竹の勢い」の対義語は?」を解説!/

「破竹の勢い」の対義語は?

「破竹の勢い」の対義語には、「衰退の一途をたどる」がふさわしいでしょう。

「衰退の一途をたどる」

衰退の一途をたどる」(すいたいのいっとをたどる)は、物事の勢いが弱体化していくのを表すのに良く使われる表現ですね。「衰退」とは、勢いが衰えて弱くなること。「一途をたどる」とは、途中で変わることなく、常に一方向的に進行し続けるさまを意味する表現です。つまり、「衰退の一途をたどる」は、勢いがずっと衰え続けていく、と言うことですね。勢いが止まらないと言う意味合いの「破竹の勢い」とは反対に、勢いが衰えていく一方だ、と言うことですから、対義語としてふさわしいでしょう。

「衰退」と「一途をたどる」は組み合わせて使われることが多いので、覚えておきましょう。

「竹」に関する身近な慣用句

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「破竹の勢い」と同じく、「竹」を使った慣用句には「竹を割ったよう」があります。良く使われる表現ですから覚えておきましょう。

「竹を割ったよう」

「竹を割ったよう」と言う慣用句も、身近な言葉ですね。「破竹の勢い」と同じく「竹」を割る様子を例にした言葉ですが、意味は全く違いますので説明しましょう。

「破竹の勢い」の解説でも述べましたが、竹は縦の方向に力を加えると驚くほど簡単に割れます。そして割れた面も、スパっと真っすぐ綺麗な断面になるのが特徴ですね。このことから、「竹を割ったよう」は、性格がさっぱりとしていて曲がったところのない人を表すようになりました。「竹を割ったような性格」などと表現されます。褒め言葉として良く使われる慣用句ですから、併せて覚えておきましょう。

また、「竹を切ったよう」と言う誤用がしばしば見られるようです。気をつけましょう。

「破竹の勢い」を使いこなそう

この記事では「破竹の勢い」の意味・使い方・類語などを説明しました。「破竹の勢い」はスポーツ番組や、歴史小説などでしばしば使われますので、意味を知っていた人も少なくないでしょう。しかし、語源が中国の故事にあるのはなかなか知られていないと思います。しかも、日本でも有名な「三国志」からの故事成語ですから、豆知識として話題にできそうですね。ぜひ、身近な人に教えてあげてみてください。

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【慣用句】「破竹の勢い」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「破竹の勢い」について解説する。

端的に言えば破竹の勢いの意味は「一気に勢いを増すこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は日本文学部卒の現役WEBライター、ヒマワリを呼んです。一緒に「破竹の勢い」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ヒマワリ

今回の記事を担当するのは、日本文学科卒で現役ライターのヒマワリ。専攻は近代文学だが、古典からマンガまで幅広く読んでいる。受験生家庭教師の経験を生かして、「破竹の勢い」についてわかりやすく丁寧に説明していく。

「破竹の勢い」の意味や語源・使い方まとめ

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破竹の勢い」の読み方は「はちくのいきおい」です。スポーツの解説や、小説などで耳にしたり目にしたことがあると思います。それでは早速「破竹の勢い」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「破竹の勢い」の意味は?

まず初めに「破竹の勢い」の正確な意味を辞書からの引用で確かめてみましょう。「破竹の勢い」には、次のような意味があります。

1.竹が最初の一節を割るとあとは一気に割れるように、勢いが激しくてとどめがたいこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「破竹の勢い」

2.何かをきっかけに一気に勢いを増すこと。

出典:新明解国語辞典(三省堂)「破竹の勢い」

上記のように「破竹の勢い」とは、勢いが激しく止まらないことを言います。竹が少し割れ目をいれるだけで、簡単に縦に割れるように、何かをきっかけに勢いが止まらない様子を表しているのです。

スポーツの試合で、怒涛の勢いで攻撃が成功している場面。小説やドラマなどの戦争のシーンで、一方的に攻撃が成功している時などに用いられることが良くあるでしょう。

「破竹の勢い」の語源は?

次に「破竹の勢い」の語源を確認しておきましょう。「破竹の勢い」の語源は日本でも人気のある三国志の終盤、杜預による呉の平定を記した「晋書」杜預伝に由来があります。

呉を平定するために出兵した晋の軍でしたが、軍議では疫病が流行る夏の時期を過ぎてから攻め入ろうと言う意見がありました。しかし総司令官の杜預はそれに対し「譬如破竹、譬えるに破竹の如し(勝ち進んできた今こそ、兵威は振るっていて、今なら竹を割くようなものだ)」と、進軍を進めます。果たして、勢いに乗っていた晋の軍は勝利をおさめることができました。

このエピソードから、いったん勢いがついて止められない、と言う意味の「破竹之勢」と言う故事成語ができました。それが日本に伝わり、現在も慣用句「破竹の勢い」として使われているのです。

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