国語言葉の意味

「鉢合わせ」の「鉢」とは?意味や使い方を簡単・分かりやすく語学系主婦ライターが解説

よぉ、桜木建二だ。この記事では「鉢合わせ」という言葉を解説する。
「鉢(はち)合わせ」の一般的な意味は「偶然出会うこと」だ。「鉢」と聞くと「植木鉢」のイメージだが、何がどうなって「鉢」が合い、「出遭う」意味になるのか。言葉って面白い、興味深いものだ。くわしい意味や使い方を知って、「鉢合わせ」を使いこなせるようになろう。
今回、語学系主婦ライターの小島ヨウを呼んだ。一緒に「鉢合わせ」を説明していく。

解説/桜木建二

「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/小島 ヨウ

言葉の使い方、漢字の意味に興味を持ち、辞典で調べまくるアナログ主婦ライター。分かりやすく、読みやすい文章を心がけている。

「鉢合わせ」の意味、使い方

image by iStockphoto

たとえば、仮病を使って会社を休んで街をぶらぶらしていたら外出中の同僚にばったり出遭ってしまった。「あなた熱が出たって言っていたよな」と突っ込まれて、なんとも間が悪い。こんな場合に「鉢合わせ」したと表現します。くわしく意味や使い方をみていきましょう。

「鉢合わせ」の意味

それではまず辞書で意味を調べてみます。

1.頭と頭とがぶつかり合うこと。
2.思いがけなく出会うこと。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「はちーあわせ【鉢合(わ)せ】」より

「ばったり出会う」意味ばかりに思われがちな「鉢合わせ」ですが、1番の意味は頭と頭がぶつかり合うこと。人や動物、車同士が真正面から衝突するイメージですね。わざとではなく事故、思いがけずぶつかることでしょう。2番の「ばったり出会う」意味しかり。偶然または事故で、会おうと思わずに会ってしまう意味になっています。

「鉢合わせ」の語源

語源として「鉢合わせ」の「鉢」の意味を調べてみます。

《〈梵〉pātraの音写「鉢多羅」の略
1.仏道修行者の食器。また、僧尼が托鉢のときに所持する器。応量器
(おうりょうき)。
2.皿より深く椀より浅い、上部の開いた食器。
3.御飯を入れておく木製の容器。めしびつ。おひつ。おはち。
4.草木を植える容器。植木鉢。
5.頭蓋骨。頭の横まわり。
6.兜の頭頂をおおう部分。革または鉄で作る。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「はち【鉢】」より

「鉢」とは皿より深く、瓶(へい)より口が広く、壺(つぼ)より浅く開いた容器のことをいいます。この丸くて深い「鉢」の形状に似ていることから頭蓋骨のことを「鉢」というようになったようです。

「合わせ」は別の言葉に付けて使われます。たとえば「顔合わせ」「背中合わせ」などのように物と物とを合わせること。また「歌合わせ」「組み合わせ」など優劣を競い合うことなどをいいます。

「鉢合わせ」とは前頭部、額付近のことを指す「鉢」と「鉢」が出会ったとたんに接触すること。さらに、直接ぶつからなくとも偶然に出遭う・顔を合わせることをいうようになったようです。

「鉢合わせ」の使い方・例文

意味が分かったので使って確認しましょう。

1.廊下を曲がったとたん友人と鉢合わせして、とても驚いた。
2.以前ケンカしたママ友とスーパーで鉢合わせ、あいさつもなくお互い無視した。
3.彼女とデート中、電車内で妻に鉢合わせした。同僚と誤魔化したが、絶対詰問される……。

1.は曲がり角で頭と頭が直接ぶつかった例文です、ケガがなくて良かったですね。エンターテイメント作品では鉢合わせがきっかけで人格が入れ替わったり、恋に落ちたりすることがあります。

「鉢合わせ」は2.や3.の例文のように会いたくない相手に偶然出会ってしまった場合によく使われ、マイナスのニュアンスです。

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「鉢」が含まれる慣用句を紹介しよう。「衣鉢(いはつ)を継ぐ:師から教えを受け継ぐこと」「お鉢が回る:順番が回ってくること」「捨て鉢:どうとでもなれという気持ち」などだ。チェックしておこう。

「鉢合わせ」の類義語は?

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それでは次に、偶然出会う意味で別の表現をみていきましょう。

\次のページで「「遭遇(そうぐう)」:予期せず出会うこと」を解説!/

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