端的に言えば、露知らずの意味は「まったく知らずに」です。聞いたことぐらいはあるでしょうが、なぜ「露」という言葉を使って表現するのか知っているか?
日本放送作家協会会員でWebライターのユーリを呼んです。「露知らず」の意味や語源をチェックし、例文や類義語などを見ていきます。
ライター/ユーリ
日本放送作家協会会員。シナリオ、エッセイをたしなむWebライター。時代によって変化する言葉の面白さ、奥深さをやさしく解説する。
「露知らず」の意味・語源・例文
image by iStockphoto
「知らず」は「知らない」という意味なので、この言葉を理解するポイントは「露」にありそうですね。まずは「露知らず」と「露」の意味を辞書でチェックしましょう。語源についても見ていきますよ。例文を用いて使い方も覚えていきましょう。
「露知らず」と「露」の意味
手はじめに、国語辞典で「露知らず」の意味を調べてみます。
まったく知らないで。全然知らずに。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「露知らず」
「露知らず」は「まったく知らずに」「全然知らずに」という意味です。「露」というと思い浮かぶのは草の葉などについている水滴ですが、なぜここで「露」という言葉を使うのでしょうか。「露」も国語辞典で調べてみましょう。
[名]
1 晴れた朝に草の上などにみられる水滴。地面や物体が露点以下の温度まで冷えると、大気中の水蒸気が凝結して生じる。
2 わずかなこと。
3 はかなく消えやすいこと。
4 狩衣 (かりぎぬ) ・水干などの袖ぐくりの緒の垂れた端。
5 掛け物の風帯の端をとじた糸の余りを両端へ出したもの。
6 涙にたとえていう語。
7 祝儀。心付け。
8 豆板銀 (まめいたぎん) の異称。
[副]
1 あとに打消しの語を伴って、それを強める気持ちを表す。少しも。まったく。
2 程度がわずかであるさま。少し。ちょっと。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「露」
ふだんよく使う「露」という言葉は、名詞の一番目にある「晴れた朝に草の上などにみられる水滴」ですね。名詞の下を見ると副詞が記載されており、副詞の一番目に「あとに打消しの語を伴って、それを強める気持ちを表す」とあります。
「露知らず」の場合、「露」は副詞で「まったく~ない」「少しも~ない」という意味です。ただ「知らなかった」というより知らないことを強調した「まったく知らずにいた」というニュアンスを持っていますよ。
「露知らず」の語源は?
一般によく使う「露」の意味は「草の上などにみられる水滴」です。そこから「わずかなこと」という意味が生じました。「露ほども」は「ほんの少しも」という意味です。転じて、あとに打消しの言葉を伴い「ほんの少しも~ない」という意味あいで使われるようになりました。「露知らず」という言葉は「ほんの少しも知らないこと」、つまり「まったく知らずに」という意味になったのです。
こちらの記事もおすすめ
「露ほども」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!
\次のページで「「露知らず」の例文」を解説!/