国語言葉の意味

「上の空」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説!

1.小学生でも中学生でも高校生でも、学年を問わず、学習中に上の空になってしまう子は多い。
2.思い切って悩み事を打ち明けたのに「ごめん。上の空だった」と言われてショックだった。
3.振り返ると上の空が美しい夕焼けに染まっていた。
4.今日も上の空だとあきらめていた健太が、急にしっかりしたので驚いた。

「上の空」は、会話中や、先生や上司などしっかりと聞いていなければならないはずの話を集中して聞いていなかった時によく使われる言葉です。ぼんやりと夢うつつな状態でいる時「上の空だぞ」と叱られた経験があるのではないでしょうか。勉強をしながら、また仕事などで指示を受けている最中にも、つい他のことに気を取られて集中できなくなってしまう時がありますね。そういう状態も「上の空」といいます。

また、例文4のように、あてにならないこと、不確かなことに対して使うこともできますよ。地上からは確認することができない空の上の方のように、どうなっているかわからなくてあてにならないことであるとイメージしてみてください。

例文3のように、文字通りの「空の上の方」という意味で使われることは、現代ではほとんどなくなってしまいました。

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「空」には、頭上はるかに高く広がる空間である文字通りの「空」という意味の他に、「実体のない」「あてにならない」「わけのわからない」などの意味もある。「空耳」「空頼み」「空恐ろしい」などと言うだろう。その「空」の、さらに上の方であるとイメージすると、この言葉の持つ意味もわかるようになるかもしれないぞ。

「上の空」の類義語は?違いは?

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「上の空」の類義語を見ていきましょう。

その1「心ここにあらず」

「心ここにあらず」は「心が他のことにとらわれて、当面のことに心を集中できない」ことを意味する慣用句です。何かに気を取られて、やらねばならないことがおろそかになっている様子を表します。集中力を欠いた状態を表すのです。「上の空」ととても似た意味を持つ言葉ですが、「あてにならないこと」の意は含んでいません。

その2「呆然」

「呆然(ぼうぜん)」は「気抜けしてぼんやりしているさま」を表す言葉です。また「あっけにとられているさま」も表します。「ぼんやりしているさま」という点では「上の空」と似た意味を持っていますが、起こったことに対して驚いたり呆れたりして気が抜けることを表している点で意味が少し異なりますね。なお、同じ読み方で「茫然」がありますが、こちらは「呆然」と同じ意味と共に、「漠然としてつかみどころのないさま」を表す言葉なのですよ。

その3「放心」

「放心(ほうしん)」は「心を奪われたりして、魂が抜けたようにぼんやりすること」を表す言葉です。「魂が抜けたように」とあるように、精神状態が確かでない状態を表します。「放心状態」などと言いますね。「突然のことに放心して立ち尽くす」といったように、心が抜き取られてしまったかのような状態を表すのですね。その点が、ぼんやりして心がどこかへ行ってしまっているという「上の空」とは少し異なる点です。

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