この記事では「あてつけ」について解説する。「あてつけ」は、見てわかる通り簡単に読めて書ける言葉です。漢字を使うこともありますが、それでもまったく難しい漢字じゃない。ただ、意味はやや回りくどく、ピンとくるのに時間がかかるかもしれませんね。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「あてつけ」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「あてつけ」ってどういう意味?

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「あてつけ」の意味は以下のとおりです。

1.他にかこつけて相手の悪口や皮肉などを言う。また、皮肉な態度をとる。あてこする。
2.仲のよさを見せつける。

出典:goo辞書「あてつける 意味」

まず重要なことですが、「あてつけ」と調べても上記の意味は出てきません。では代わりに何が出るのかというと、「あてつけること」という結果が出てきます。しかし、それでは結局「あてつけ」の意味はわからないでしょう。そこで「あてつける」を調べると、初めて上記の結果が出るのです。

意味としては、遠回しに相手への非難や皮肉を言うことを指します。あくまで遠回しであることがポイントであり、面と向かって悪口を言うのは「あてつけ」とは言いません。

また、「あてつける」という言葉には上記の引用に加え、「役割や場所を割り当てる」という意味も持ちます。しかし「あてつけ」においては、「割り当て」という意味で使用されることはほぼ無いと言って構わないため、気にする必要はないでしょう。

「あてつけ」って漢字でも書けるの?

本記事では「あてつけ」という表記で統一しますが、「あてつけ」は漢字を用いて書くこともできます。「当て付け」と表記したり、「付け」の部分のみひらがなにしたままで「当てつけ」と表記したりと、表記に若干ブレがあるのも「あてつけ」の特徴です。

「あてつけ」の場合は一概にひらがなの方が良い、漢字の方が良いということはなく、ケースによって選ぶ方が適切でしょう。前後がひらがなの場合は「当て付け」と書いた方が見やすくなり、逆に漢字が全体的に多ければ「あてつけ」と表記した方が読みやすくなります。

ただし、同じ文章内で混同するのは止めましょう。漢字でもひらがなでも、「今回はこっちで書く」と決めたら、途中で変更しないことです。その時々で変更してしまうと、読んでいる側は別の意味の言葉かと混乱します。

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「あてつけ」ってどんな風に使うの?

「あてつけ」は以下のように使用します。

1.私が意見すると、彼女は「あてつけ」のような感想を述べた。
2.先日ミスをした彼の前で成果を報告したんだ。「あてつけ」と取られてもおかしくない。
3.友人夫妻に「あてつけ」られて、ひとりで飲む気が失せてしまった。

1、2は相手に対する敵意を表した「あてつけ」です。1はあくまで「私はこう思っていますよ」と感想として述べることで「あてつけ」となります。もしも面と向かって反対意見を述べた場合、それは単なる反対であって「あてつけ」とは表現しません。

2も同様に、失敗した人の前でことさら成功を喜ぶのは、相手に対してよりみじめな思いを植え付けてしまうため「あてつけ」と思われる行為です。実際にそんな意図はなかったとしても、相手にそう思わせる危険性があるため、注意が必要となります。3は仲の良さを見せつける、という意味のあてつけです。このあてつけの場合は、人によってはあてつけと取られないこともあります。

区別に注意!「あてつけ」の類義語について

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「あてつけ」は類義語の多い言葉でもあります。類義語といっても微妙に異なるのですが、実際は違いが細かいため、ほぼ同じようなものとみなされ混同されている場合が多いです。本記事では区別のポイントも踏まえ、類義語について解説していきます。

同一視されること多し?「あてこすり」

「あてこすり」は「あてつけ」の代表的な類義語です。語感も近いと感じる人が多いでしょうし、漢字で書くと「当て擦り」となり、やはり「当て付け」と近い印象を受けます。実際に「あてつけ」と調べると「あてこすりのこと」と表示されることもあり、同一視されることが非常に多いです。厳密に言うと、「あてこすり」と「あてつけ」は違いますが、状況によってどちらも当てはまる場合もあります。

「あてこすり」の意味は、「人を非難すること」です。面と向かって非難することも、遠回しに非難することも含むため、「あてつけ」と部分的に重なります。もっとも大きな違いは、「あてこすり」が言葉での攻撃に限定されていることです。「あてつけ」は態度や行動だけで相手を責めることも多く、必ずしも言葉を使うとは限りません。

必ずしも人を責める言葉ではない「皮肉」

「皮肉」もしばしば「あてつけ」の類義語として使用されます。確かに、「あてつけ」の方法のひとつとして言動や行動で相手に「皮肉」を示すということは多いです。同一視されがちなのもそこに原因がありますが、「皮肉」は「あてつけ」と対象が異なります。

「あてつけ」は、明確に相手を必要とする言葉です。たとえ目の前に居なかったとしても、特定の誰かに対して行うのが「あてつけ」になります。対して「皮肉」は、必ずしも特定の誰かを相手にしているとは限りません。社会や組織などといったグループや、社会に対しても「皮肉」を言うことはあります。

\次のページで「【参考】「あてつけがましい」って何?」を解説!/

【参考】「あてつけがましい」って何?

「あてつけがましい」という言葉があります。これは類義語というより派生語で、「露骨にあてつけ行為を感じる」という意味です。本人に「あてつけ」の意志があるかどうかはともかく、少なくとも第三者から見てそう感じ取れるという場合にも「あてつけがましい」と言います。

「あてつけがましい」の後には「言葉」や「態度」などの言葉が続くパターンが一般的です。「あてつけ」は行為の名称ですが、「あてつけがましい」は形容詞となるため、何が「あてつけがましい」のか説明する言葉をどこかに付けなければなりません。

簡単な言葉でも簡単に使えない「あてつけ」

本記事を読めば、「あてつけ」がどのような意味を持つ言葉かはわかるでしょう。意味の部分さえ学習できれば、「あてつけ」という言葉に学習するべきところはほとんど残っていません。読むのも書くのもきわめて簡単な言葉であり、その気になれば明日からでも使える言葉です。

しかし、使えるからと言って簡単には使えないのも「あてつけ」という言葉の特徴と言えます。自分が当事者であるにせよ、そうでないにせよ、「あてつけ」とは誰かが誰かに不愉快な思いをさせている場合に使われる言葉。使えるようになるまでが簡単だからと言って、簡単に「あてつけだ」などと口走らないように気をつけましょう。

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国語言葉の意味

簡単だけど難しい?「あてつけ」の意味や使い方・類義語などを言葉大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では「あてつけ」について解説する。「あてつけ」は、見てわかる通り簡単に読めて書ける言葉です。漢字を使うこともありますが、それでもまったく難しい漢字じゃない。ただ、意味はやや回りくどく、ピンとくるのに時間がかかるかもしれませんね。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「あてつけ」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「あてつけ」ってどういう意味?

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「あてつけ」の意味は以下のとおりです。

1.他にかこつけて相手の悪口や皮肉などを言う。また、皮肉な態度をとる。あてこする。
2.仲のよさを見せつける。

出典:goo辞書「あてつける 意味」

まず重要なことですが、「あてつけ」と調べても上記の意味は出てきません。では代わりに何が出るのかというと、「あてつけること」という結果が出てきます。しかし、それでは結局「あてつけ」の意味はわからないでしょう。そこで「あてつける」を調べると、初めて上記の結果が出るのです。

意味としては、遠回しに相手への非難や皮肉を言うことを指します。あくまで遠回しであることがポイントであり、面と向かって悪口を言うのは「あてつけ」とは言いません。

また、「あてつける」という言葉には上記の引用に加え、「役割や場所を割り当てる」という意味も持ちます。しかし「あてつけ」においては、「割り当て」という意味で使用されることはほぼ無いと言って構わないため、気にする必要はないでしょう。

「あてつけ」って漢字でも書けるの?

本記事では「あてつけ」という表記で統一しますが、「あてつけ」は漢字を用いて書くこともできます。「当て付け」と表記したり、「付け」の部分のみひらがなにしたままで「当てつけ」と表記したりと、表記に若干ブレがあるのも「あてつけ」の特徴です。

「あてつけ」の場合は一概にひらがなの方が良い、漢字の方が良いということはなく、ケースによって選ぶ方が適切でしょう。前後がひらがなの場合は「当て付け」と書いた方が見やすくなり、逆に漢字が全体的に多ければ「あてつけ」と表記した方が読みやすくなります。

ただし、同じ文章内で混同するのは止めましょう。漢字でもひらがなでも、「今回はこっちで書く」と決めたら、途中で変更しないことです。その時々で変更してしまうと、読んでいる側は別の意味の言葉かと混乱します。

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