国語言葉の意味

緊張で震えているわけではない?「武者震い」の意味や語源、類義語を院卒日本語教師がわかりやすく解説

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「武者震い」は大事な局面を迎えた時の全ての震えを表すわけではないんだな。確かに、気持ちが高ぶっているときは自然と体が震えてくるよな。俺は大学入試の時がそうだったな。緊張はしていないのに体が勝手に震え出した。あれは「武者震い」だったのかもな。

「武者震い」と類義語を比較!違いは?

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次に、「武者震い」と類義語を紹介します。「武者震い」の類義語は「身震い」「戦慄」「高揚」です。「武者震い」との違いを例文と合わせて見ていきましょう。

「身震い」寒さや恐ろしさで体が震える

まずは「身震い」を見ていきましょう。「身震い」の意味は2つあり、1つ目は「からだを振り動かすこと」、もう2つ目「寒さや恐ろしさなどのため、からだがふるえ動くこと」です。1つ目はただ単に自ら体を振り動かすことを指します。2番目の意味の場合が「武者震い」の類義語です。例文を見てみましょう。

1.1点負けている9回裏2アウト満塁で打席が回ってきた。不思議と緊張はなく、「自分が決めてやる」という強い思いで打席に入った。気が付いたら体が震えていた。これが武者震いだろうか。
2.1点負けている9回裏2アウト満塁で打席が回ってきた。「自分でアウトになったら終わりだ…」という恐怖から打席ではずっと身震いしていた。
3.1点負けている9回裏2アウト満塁で打席が回ってきた。緊張はなかったが、既に日が暮れており、あまりの寒さに身震いした。

1番の例文では、緊張はないことが明示され、”「自分が決めてやる」という強い思いで打席に入った”と書かれています。つまり、気分が高揚し興奮した状態で打席に入ったと言えますね。そのような状態で体が震えていたので「武者震い」が使用されているのです。

一方の2番の例文では、”「自分でアウトになったら終わりだ…」という恐怖心”があったことが書かれています。恐怖から体が震えているので、「武者震い」は当てはまらず「身震い」が使用されているのです。

3番目の例文では、寒さによって体が震えています。寒さが原因の震えの場合、使用できるのは「身震い」です。

「武者震い」と「身震い」のどちらを使うか迷った場合は、なぜ体が震えているのかを考えてみましょう。

「戦慄」恐ろしくて体が震える

続いて「戦慄(せんりつ)」を紹介します。「戦慄」は「恐ろしくてからだが震えること」という意味の言葉です。先ほどご紹介した「身震い」には緊張や恐怖以外にも、寒さが震えの原因として含まれていましたが、「戦慄」の震えの原因は恐怖のみですね。なお、「旋律(せんりつ)」という同じ読みの言葉がありますが、こちらは音楽用語です。混同しないようにしましょう。

例文を利用して「武者震い」と比較してみます。

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