

ただ、重大な局面を迎えた時に体が震えたとしても、それが本当に「武者震い」かどうかは注意が必要なんだぜ。別の震えの可能性もある。
今回はその「武者震い」の意味や語源、類義語などを大学院卒の日本語教師・むかいひろきに解説してもらうぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/むかいひろき
ロシアの大学で2年間働き、日本で大学院修了の日本語教師。その経験を武器に「言葉」について分かりやすく解説していく。
「武者震い」の意味と語源は?

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「武者震い」という言葉は日常会話でもたまに聞いたことがあるというレベルでしょう。ただ、その意味や使い方には少し注意が必要な部分があります。まずは辞書の記述を参考に意味や語源を確認していきましょう。
「武者震い」は“興奮からくる体の震え”
「武者震い」は国語辞典では次のような意味が掲載されています。
[名](スル)戦いや重大な場面に臨んで、興奮のためにからだが震えること。「スタートラインに立って、思わず―する」
出典:デジタル大辞泉(小学館)「むしゃ‐ぶるい〔‐ぶるひ〕【武者震い/武者振るい】」
「武者震い」は「むしゃぶるい」と読む、「戦いや重大な局面を前に、興奮のために体が震えること」という意味の言葉です。ここで大切なのは”興奮のために体が震えること”という点ですね。緊張から体が震えているのでも、恐怖から体が震えているのでも、怯えから体が震えているのでもありません。”興奮”というポジティブなニュアンスで体が震えていることを表しています。
「武者震い」の語源はやっぱり武士や侍?
では、「武者震い」の語源は何でしょうか。この「武者」というのは「武士」や「侍」とほぼ同じ意味を指します。武士や侍が戦に向かうとき、気持ちが高揚し興奮から体が震えたことに由来するのが、この「武者震い」という言葉です。決して戦への恐怖心から体が震えたことに由来しているわけではありません。スポーツをやっている方であれば、試合前に気持ちが高ぶり興奮してしまうことは理解できるのではないでしょうか。
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