
特別な事情を指し示す「仔細」
「仔細」は「詳しい・細かい事情」という意味以外に、「特別な事情」という意味も持っています。相手にこちらの事情を分けって欲しいけれど、具体的なことが言えない。そういう場合などに「仔細」はとても便利であり、こっちにも事情があるんです、という意思表示になります。
細かい事情という意味での「仔細」と区別するにあたっては、文脈を読みましょう。例えば「言いにくい特別な事情があります」と相手に伝える際、特別な事情という意味で使うのであれば「仔細があります」という言い方になります。しかし細かい事情という意味で使うのであれば、言い回しとしては「仔細は言えません」という言い方になるわけです。
同じ「仔細」という言葉を使いますが、「ある」という肯定の言葉と「言えない」という否定の言葉、正反対の表現になることがわかります。
「仔細」は反対意見も表せる?
引用トピック4番の「差支えとなる事柄」という言い回しは、ややピンときにくいかもしれませんが「異議」という言葉に置き換えると分かりやすいです。「異議」をさらに噛み砕いて言うと「異論」「反対意見」という意味になり、主に相手の言うことに対して賛成できない場合に使用されます。
上記トピックの「特別な事情」という意味の「仔細」とやや区別しづらいですが、こちらの方が相手の話に対してより逆らっているような印象が強いです。自分の意志で反対している場面だけではなく、相手の意見を阻害するような事情がある場合に対しても使用されます。
もっと詳しく!「仔細」について

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「仔細」は意味もいろいろある言葉ですが、意味だけでなく言葉としてもいろいろな側面を持っています。より深く知ることで自分でも扱いやすく、身近な言葉になるでしょう。
「仔細」ってどう読むの?
「仔細」は「しさい」と読みます。漢字から連想しやすい読み方であるため、一度知ったら忘れにくい言葉です。「仔(し)」は子供の子に人べんが付いており、見慣れない漢字に見えるかもしれません。しかし意味は人べんに関係なく「子供」という意味です。もっと昔に使用されていた漢字にあたり、現在は常用漢字ではありません。
「細(さい)」は「仔細」以外にもいろいろな場面で見受ける読み方であるため、あまり悩むことはないでしょう。
今と意味がズレる?古語としての「仔細」
「仔細」は古語でもあり、意味は「異議/異論」となります。注意点として、現代の日本では「仔細」というと高い確率で「細かい事情/詳しい事情」という意味です。それに対して、古語の場合は「異議/異論」という意味で使用されるケースが多くなります。
現代でも「異議/異論」という意味が無くなっておらず、かえって判断しづらい場合もあるため注意して読みましょう。
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