この記事では「虚空」について解説する。

端的に言えば虚空の意味は「何もない空間」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「虚空」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「虚空」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「虚空(こくう)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「虚空」の意味は?

「虚空」には、次のような意味があります。

一.[名]
1.何もない空間。大空。
2.仏語。何も妨げるものがなく、すべてのものの存在する場所としての空間。

二.[名・形動ナリ]
1.事実にもとづかないこと。また、そのさま。架空。
2.とりとめがないこと。また、そのさま。漠然。
3.思慮分別がないさま。むやみ。やたら。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「虚空」

「虚」とは“うつろ”と読み、実体のないことや何もない様子を指します。「空(くう)」とは、広がる空間のこと。「虚空(こくう)」とは、何もない空間を指す言葉です。何もないという意味から転じて“大空”の意味でも使われます。読み方は一般的に「こくう」と読むことが多いですが、「きょくう」と読むことも可能です。

辞書の意味にあるように、架空の物事に対して使うこともあります。ただし“とりとめがない”様子や“思慮分別がない”という様子は古語表現で、現代ではほぼ見られない使い方です。

「虚空」の語源は?

次に「虚空」の語源を確認しておきましょう。「虚空」の由来は古代インドで用いられていたサンスクリット語に由来しています。

「虚空」とは、サンスクリット語の「アーカーシャ」の漢訳。「空」または「虚空界」とも言い、一般的に“天空”や“空間”などを意味します。これに加えて古代インド哲学では“何も妨げるものもなく、すべてのものが存在する場所”、あるいは“世界を構成する要素”であり、実体として重要な概念です。

なお仏教では、「虚空蔵(こくうぞう)」や「虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)」といった用語もあります。これらも同じく「アーカーシャ」である「虚空」の概念から訳されたものです。

\次のページで「「虚空」の使い方・例文」を解説!/

「虚空」の使い方・例文

「虚空」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.親子で参加した地域主催の料理教室で、その子どもは興味がなかったのか、いかにも退屈そうに虚空を見つめていた。
2.画面を見続けて疲れてしまい目を休めていると、虚空を眺めていると先輩に言われてしまった。思ったより時間が経っており、ぼんやりしてしまったようだ。
3.虚空を見つめるようにした彼女は、過去に想いを馳せているようだった。
4.気になっていた映画を見に行ったが、ラストの主演俳優による虚空を掴むような演技がとても印象的だった。実際映画は話題になり、結果的に映画も俳優も賞をを受賞したらしい。
5.あまりにも良すぎるタイミングで持ちかけられたせいで、虚空の話かと疑ってしまった。

「虚空」とは何もない空間のことですが、日常的に使う場合は慣用句として使うのが一般的です。

よく用いられるのが例文1~3のように「虚空を見つめる」「虚空を眺める」という表現。何もないところをぼんやりと見つめている様子を表します。ぼーっとしているさまや、心ここにあらず、といった状況を表現する際によく用いられる言葉です。

また例文4にある「虚空を掴む」という表現は、何かかたくにぎりしめる様子のこと。“苦しみもがく”といった様子を表すときに使う表現です。「虚空」という言葉を使うのであれば、このような表現も合わせて使えるようにしておくといいでしょう。

一方例文5は、「虚空」が「架空」の意味で使われたものです。こちらの意味も抑えておくようにしましょう。

「虚空」の類義語は?違いは?

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次に「虚空」の類義語表現を見ていきましょう。「虚空」は、その言葉単独で使われるよりも「虚空を見つめる」といった表現で用いることが多いです。そのためここでは、「虚空」の類義語と「虚空を見つめる」の類義語表現をそれぞれひとつずつ紹介します。

「虚無」

「虚無(きょむ)」とは、“何事もなくむなしい様子”を表す言葉。また“無限の宇宙”や“大空”という意味も持っています。

「虚空」と同じ、大きな空という意味を持つ類語のひとつです。ただし言葉本来の意味から、「虚無」は“むなしい”というニュアンスが強く伝わります。伝えたい状況や感情、表現に合わせて使い分けるのがおすすめです。

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「遠い目をする」

「遠い目をする」とは、“過去に想いを馳せる”という意味を持つ言葉。“遠いところを見る目”が「遠い目」の由来となり、ぼんやりと遠い過去や場所を考える時に用います。

“過去に想いを馳せる”という意味は異なるものの、実際に「遠い目をする」状況は「虚空を見つめる」状況に近いです。その点でこれらの言葉も似たような状況を指す言葉として、類義語とされています。

それぞれの言葉の持つ意味だけでなく、それらの作り出す状況や雰囲気についても抑えておきましょう。

「虚空」の対義語は?

「虚空」とは、“大空”の様子や“空間”を指す言葉。そして「虚空を見つめる」とは“何かを見つめる”という動作を表します。どちらにおいても反対の意味を持たない言葉です。そのため「虚空」には明確な対義語は存在しません

「虚空」の英訳は?

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最後に「虚空」の英語訳についても確認しておきましょう。

「void」

「void」とは“空間”という意味を持った英単語。また、“何もない”や“空っぽ”、“役に立たない”という意味も持った形容詞としても使われます。

物理的に“何もない空間”として「虚空」を表すのであれば、「void」で伝えることが可能です。

「虚空」を使いこなそう

この記事では「虚空」の意味・使い方・類語などを説明しました。あまり日常的に使う言葉ではありませんが、小説やアニメ、ゲームなどではよく使われる言葉のようです。耳にしたことはあるけれどよく知らない、と虚空の知識とならないように、言葉の意味や正しい使い方はしっかり抑えておくようにしましょう。

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「虚空」の意味や使い方は?例文や類語を元広告会社勤務ライターがわかりやすく解説!

この記事では「虚空」について解説する。

端的に言えば虚空の意味は「何もない空間」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は広告会社で経験を積み、文章の基本と言葉の使い方を知るライターのHataを呼んです。一緒に「虚空」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Hata

以前は広告会社に勤務しており、多くの企業の広告作成経験を持つ。相手に合わせた伝え方や言葉の使い方も学び、文章の作成や校正が得意。現在はその経験をいかし、ライターとして活動中。

「虚空」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「虚空(こくう)」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「虚空」の意味は?

「虚空」には、次のような意味があります。

一.[名]
1.何もない空間。大空。
2.仏語。何も妨げるものがなく、すべてのものの存在する場所としての空間。

二.[名・形動ナリ]
1.事実にもとづかないこと。また、そのさま。架空。
2.とりとめがないこと。また、そのさま。漠然。
3.思慮分別がないさま。むやみ。やたら。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「虚空」

「虚」とは“うつろ”と読み、実体のないことや何もない様子を指します。「空(くう)」とは、広がる空間のこと。「虚空(こくう)」とは、何もない空間を指す言葉です。何もないという意味から転じて“大空”の意味でも使われます。読み方は一般的に「こくう」と読むことが多いですが、「きょくう」と読むことも可能です。

辞書の意味にあるように、架空の物事に対して使うこともあります。ただし“とりとめがない”様子や“思慮分別がない”という様子は古語表現で、現代ではほぼ見られない使い方です。

「虚空」の語源は?

次に「虚空」の語源を確認しておきましょう。「虚空」の由来は古代インドで用いられていたサンスクリット語に由来しています。

「虚空」とは、サンスクリット語の「アーカーシャ」の漢訳。「空」または「虚空界」とも言い、一般的に“天空”や“空間”などを意味します。これに加えて古代インド哲学では“何も妨げるものもなく、すべてのものが存在する場所”、あるいは“世界を構成する要素”であり、実体として重要な概念です。

なお仏教では、「虚空蔵(こくうぞう)」や「虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)」といった用語もあります。これらも同じく「アーカーシャ」である「虚空」の概念から訳されたものです。

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