

端的に言えば打ちひしがれるの意味は「気力を完全に失くす」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んだ。一緒に「打ちひしがれる」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/つゆと
子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。
「打ちひしがれる」の意味は?
「打ちひしがれる」は「打ちひしぐ」を受け身にした形。「打ちひしぐ」には、次のような意味があります。
1.《主に受身の形で用いる》精神的な衝撃などで気力を完全になくさせる。意気消沈させる。
2.武器などで相手をたたきのめす。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「打ちひしぐ」
「打ちひしぐ」が「気力を完全になくさせる」という意味であることから、「打ちひしがれる」は「気力を完全になくす」となります。現代では、「打ちひしがれる」と受け身の形で使うことが圧倒的に多いでしょう。
上の2は、物理的に攻撃をするという意味ですね。しかしその使い方も現代ではほぼ見ません。「打ちひしがれる」と受け身形の場合でも、「物理的にたたきのめされる」というよりは「精神的にたたきのめされる」という意味の方がしっくりきます。
古文、もしくは文語体で書かれていたころの作品には「打ちひしぐ」という使い方や「物理的に攻撃する」という意味でも登場することがありますよ。文脈から意味をとらえるようにしましょう。
「打ちひしがれる」の語源は?
次に「打ちひしがれる」の語源を確認しておきましょう。上でも述べたとおり、「打ちひしがれる」は「打ちひしぐ」の受け身の形。「打ちひしぐ」の「ひしぐ」は、「押しつけてつぶす」という意味です。「つぶすように打ちつける」または「つぶれるまで打つ」というのが「打ちひしぐ」という言葉のもともとの意味でしょう。
現代では、精神的なダメージを受けたときに使う言葉へと変化しました。「つぶれるほど打たれる」という非常に大きなダメージのニュアンスは残っていますね。
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