この記事では「粛々」について解説する。

端的に言えば粛々の意味は「静かで厳かなさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「粛々」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「粛々」の意味や語源・使い方まとめ

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「粛々」という言葉をご存知ですか。「粛々と~する」といった形で耳にしたことがあるかと思います。どんな意味を持つ言葉でしょうか。それでは早速「粛々」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「粛々」の意味は?

まず初めに、「粛々」の意味を辞書で確認してみましょう。「粛々」には、次のような意味があります。

1.ひっそりと静まっているさま。
2.おごそかなさま。厳粛なさま。威厳をもって物事を行うさま。
3.つつしみうやまうさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「粛粛」

「粛々」の読み方は「しゅくしゅく」です。「静かで厳かなさま」を意味します。静かにひっそりと、慎み、敬い、厳かに物事を行うさまを表現する言葉です。ただ静かにというだけでなく、身を引き締めて、真剣に真面目に厳しい態度で物事を行うという意味合いを含んでいます。現代では、「慌てず騒がず厳かに」といった意味で使われることが多い言葉ですね。

「粛々」の語源は?

次に「粛々」の語源を確認しておきましょう。

「粛々」は、古代中国では鳥が羽ばたく音を表す擬態語でした。

「粛」という漢字は、竿を手に持つ象形と両岸が迫り間に淵のある形の象形から成り、淵に竿を指すことから「おそれつつしむ」という意味を持つ文字として成り立ちました。「慎む」「敬う」「厳か」「正す」「厳しい」「静か」などの意味を持っています。行動を慎む「自粛」、礼儀正しい「厳粛」、静かな様子を表す「静粛」などに使われている文字ですね。この「粛」という字を二つ重ねていることから、身の引き締まるように厳しいさまが表現されているのです。

有名な頼山陽(らいさんよう)の詩句に「鞭声粛粛(べんせいしゅくしゅく)夜(よる)河(かわ)を渡(わ)たる」というものがあります。「鞭声粛粛」は「相手に気づかれないように、静かに馬に鞭(むち)打つさま」を表す四字熟語。この詩句は、川中島の戦いで、上杉謙信が武田信玄の機先を制すべく、夜、馬に鞭打つ音も静かに千曲川を渡ったときの情景を詠んだものです。頼山陽は、「粛々」という言葉の持つ「静かに厳かに」という意味と共に、鳥が羽ばたく擬態語であったことも知識として持っていました。ですから、この一節で闇夜に響く鞭の音という効果音も重ねて表現しているのが絶妙であると言われているのですよ。

\次のページで「「粛々」の使い方・例文」を解説!/

「粛々」の使い方・例文

「粛々」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.結婚式は、重厚な雰囲気の中粛々と進行していった。
2.重要会議での意思決定に則って、粛々と対応していく。
3.「粛々と計画を進めてまいります」とは、政治家のよく言うセリフだ。

「粛々」は、「粛々と」という形で使われることの多い言葉です。「粛々と対応する」「粛々と進める」などと用います。カジュアルな場面ではなく、厳粛な雰囲気のもとで行われる物事に対して用いられる言葉です。例文1、2のように、結婚式を始めとする冠婚葬祭や、重要な会議、裁判、伝統行事など、緊張感を持って、格式や礼法、作法などに則って厳かに執り行われる事に対して使われるのですね。「葬列は粛々と進んでいった」などと言うのを聞いたことがあるでしょう。

また、例文2のように仕事に対して用いることもできます。このように使えば、どんな事態にあっても身を引き締めて厳しく真摯に取り組む姿勢を表現できるのです。仕事だけでなく、研究や目標に対しても使えますよ。

「粛々」は政治家や官僚が口にするのを聞いたことがあるかもしれません。そこには少なからず、外野の声など聞き入れず、反対を押し切ってでも事を進めていきますといったニュアンスが含まれているのを感じませんか。ですから「粛々」は上から目線の言葉であると勘違いする人も少なくないようです。しかしこれは、政治家や官僚のみなさんがこの言葉の持つ意味を利用しようとして、本来持っていない意味までも感じさせるように使っているのだと言わざるを得ません。本当の意味は「厳かに、静かに、強い意志を持って取り組む」ということであり、周囲の意見に耳を傾けませんということではないのですよ。

「粛々」の類義語は?違いは?

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「粛々」の類義語を見ていきましょう。

その1「淡々」

「淡々」は「あっさりしているさま」を表す言葉です。 特に言動や態度、人柄などについて、しつこさやこだわりがなく冷静に事を進める様子を表します。落ち着いた様子冷静で無駄がない様子、ネガティブに捉えると、冷淡であることや単調であるという意味を持つ言葉です。「静かである」という点では「粛々」と似ていますが、「淡々」は「身を引き締める」「真剣に取り組む」といった意味を含んでいないのが大きく違うところなのですよ。

\次のページで「その2「しめやか」」を解説!/

その2「しめやか」

「しめやか」は「ひっそりと静かなさま」「気分が沈んでもの悲しげなさま」を表す言葉です。「通夜がしめやかに行われる」などと使いますから、「粛々」と似たように使える場面もある言葉ですが、「しめやか」も「身を引き締める」「真剣に取り組む」といった意味は含んでいません。

その3「厳粛」

「厳粛(げんしゅく)」は「おごそかで、心が引き締まるさま」「まじめで、きびしいさま」を表す言葉です。「厳粛な儀式」などと用い、真剣であることの意味も持っていますから、「粛々」と非常に似た意味を持つ言葉ですよ。

「粛々」の対義語は?

「粛々」と反対の意味を持つ言葉を見ていきましょう。

その1「騒々しい」

「騒々(そうぞう)しい」は、「物音や人声が多くてうるさい、さわがしい」ことを表す言葉です。「大きな事件が続いて起こるなどして落ち着かない、不穏である」ことも意味します。静かで厳かである「粛々」とは反対の意味を持つ言葉ですね。

その2「やかましい」

「やかましい」は、「声や物音などが騒がしい」「こまごまとしていて、めんどうくさい」など、うるさく、不快でわずらわしいことを表す言葉です。「やかましい音」などと言いますね。これも、「粛々」と反対の意味を持つ言葉であると言えます。

その3「騒然」

「騒然(そうぜん)」は、「ざわざわとさわがしいさま」「不穏で落ち着かないさま」を表す言葉です。「場内が騒然となる」などと言いますね。この言葉も、「粛々」とは反対の意味を持つ言葉です。

\次のページで「「粛々」の英訳は?」を解説!/

「粛々」の英訳は?

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「粛々」を英語に訳すとどのように表現できるか見ていきましょう。

その1「solemnly」

「solemnly」は「厳かに、厳然と、重々しく」などの意味を持つ単語です。ずばり「粛々と」と訳すこともあり、一番意味の近い単語であると考えられます。

その2「silently」

「silently」は「静かに、黙って」といった意味を持つ単語です。「もくもくと」という意味も持っています。黙っている、声を出さないというニュアンスの強い言葉ですので、厳かにという意味までは表現することができません。

The ceremony proceeded solemnly.(式は粛々と進行しました。)

He does work silently.(彼は粛々と仕事をする。)

「粛々」を使いこなそう

この記事では「粛々」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「粛々」は「静かに、厳かに、強い意志を持って真剣に取り組む」ことを表す言葉でしたね。誤った使い方が広まってしまっていることから、誤解を生んでしまう可能性もある言葉ですので注意が必要です。とはいえ、冠婚葬祭や厳かな儀式、また確固たる決意を持って取り組む仕事などに用いれば間違いありません。「粛々」の持つ意味を理解して、ぜひ使ってみてくださいね。

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国語言葉の意味

「粛々」の意味や使い方は?例文や類語を日本文学科卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「粛々」について解説する。

端的に言えば粛々の意味は「静かで厳かなさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語が好きで日本文学科を卒業したハルを呼んです。一緒に「粛々」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/ハル

日本語が大好きで日本文学科を卒業。現在は子供が言葉を覚えていく様子を見ながら日本語の奥深さを実感中。多くの人にそのよいところを紹介したいとの思いを込めて丁寧に解説する。

「粛々」の意味や語源・使い方まとめ

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「粛々」という言葉をご存知ですか。「粛々と~する」といった形で耳にしたことがあるかと思います。どんな意味を持つ言葉でしょうか。それでは早速「粛々」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「粛々」の意味は?

まず初めに、「粛々」の意味を辞書で確認してみましょう。「粛々」には、次のような意味があります。

1.ひっそりと静まっているさま。
2.おごそかなさま。厳粛なさま。威厳をもって物事を行うさま。
3.つつしみうやまうさま。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「粛粛」

「粛々」の読み方は「しゅくしゅく」です。「静かで厳かなさま」を意味します。静かにひっそりと、慎み、敬い、厳かに物事を行うさまを表現する言葉です。ただ静かにというだけでなく、身を引き締めて、真剣に真面目に厳しい態度で物事を行うという意味合いを含んでいます。現代では、「慌てず騒がず厳かに」といった意味で使われることが多い言葉ですね。

「粛々」の語源は?

次に「粛々」の語源を確認しておきましょう。

「粛々」は、古代中国では鳥が羽ばたく音を表す擬態語でした。

「粛」という漢字は、竿を手に持つ象形と両岸が迫り間に淵のある形の象形から成り、淵に竿を指すことから「おそれつつしむ」という意味を持つ文字として成り立ちました。「慎む」「敬う」「厳か」「正す」「厳しい」「静か」などの意味を持っています。行動を慎む「自粛」、礼儀正しい「厳粛」、静かな様子を表す「静粛」などに使われている文字ですね。この「粛」という字を二つ重ねていることから、身の引き締まるように厳しいさまが表現されているのです。

有名な頼山陽(らいさんよう)の詩句に「鞭声粛粛(べんせいしゅくしゅく)夜(よる)河(かわ)を渡(わ)たる」というものがあります。「鞭声粛粛」は「相手に気づかれないように、静かに馬に鞭(むち)打つさま」を表す四字熟語。この詩句は、川中島の戦いで、上杉謙信が武田信玄の機先を制すべく、夜、馬に鞭打つ音も静かに千曲川を渡ったときの情景を詠んだものです。頼山陽は、「粛々」という言葉の持つ「静かに厳かに」という意味と共に、鳥が羽ばたく擬態語であったことも知識として持っていました。ですから、この一節で闇夜に響く鞭の音という効果音も重ねて表現しているのが絶妙であると言われているのですよ。

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