この記事では「虫の知らせ」について解説する。

端的に言えば虫の知らせの意味は「感覚的に悪いことが起きていることを悟ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語学を学び学習ライターを経験したfleurを呼んです。一緒に「虫の知らせ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/fleur

小学校の頃の趣味は広辞苑を読むこと。日本語学を専攻し、出版社で校正を担当した経験も活かしわかりやすい日本語解説記事を発信する。

「虫の知らせ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「虫の知らせ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「虫の知らせ」の意味は?

まず、基本的な部分から解説していきます。「虫の知らせ」は、辞書的には次のような意味がある慣用句です。

よくないことが起こりそうであると感じること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「虫の知らせ」

「虫の知らせ」は相手から直接知らせを受けるのではなく突然嫌な予感がし、実際に悪いことが起きる・起きていることを表します。

意思疎通がなんとなくできる犬や猫などの動物ではなく「虫」が知らせるというところがポイントでしょう。

「虫の知らせ」の語源は?

次に「虫の知らせ」の語源を確認しておきましょう。

元々は、体の中にいる「虫」が体や精神・感情に影響を与えると考える風習から生まれた表現です。

この「虫」は「腹の虫がおさまらない」「虫の居所が悪い」などの言葉にも登場しています。

\次のページで「「虫の知らせ」の使い方・例文」を解説!/

「虫の知らせ」の使い方・例文

「虫の知らせ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.虫の知らせだろうか。あのとき忘れ物を取りに帰っていなかったら私があの事故の被害者だったかもしれないのだ。
2.虫の知らせを受けて母に電話したら、祖父が心臓発作を起こしていたらしい。

1では、自分の身に起こる危険なことを本能的に察知、注意して避けたのかもしれない、という意味で使われています。

2では母から直接聞かされる前になんとなく気が向いて電話をしてみたら、悪いことが実際に起きていた、というシーンです。身内の不幸に使われることが多い表現ですね。

このように、自分の身・他人の身や悪いことが実際に起こるか起こらないかに関わらず使うことができます。

「虫の知らせ」の類義語は?違いは?

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次に「虫の知らせ」に近い意味を持つ言葉や関連語彙をお伝えします。微妙なニュアンスの違いを把握して使いこなせるようにしましょう。

その1「第六感」

「第六感」とは、人間が世界を認識する感覚の「視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚」の次の感覚のことを指します。

したがって直接接触していないのにも関わらず何かを察知する場合に使われ、「虫の知らせ」と似たような感覚を示す言葉です。

異なる点としては「第六感」はあまり悪いことには使われにくいということでしょう。

\次のページで「その2「胸騒ぎ」」を解説!/

その2「胸騒ぎ」

悪いことが起こる気がしてドキドキして気持ちが落ち着かない状況を示します。

現在では良い予感に対して使われることもあるそうですが、正しくは心配なこと、ネガティブな意味で使われる言葉です。

使う場面も「虫の知らせ」とほとんど同じなので簡単に言い換えることができます。

その3「夢枕」

何かを伝えようとして神様や亡くなった身近な人が夢に登場する体験を指します。

夢を見るときは枕をしいているので、そのそばに誰かが立つということから生まれました。

内容は悪いこととは限らず、実際に死者が夢に出てきて何かを伝えられた場合にのみ使うことができます。

「虫の知らせ」の対義語は?

つづいて、「虫の知らせ」と反対の意味を持つ言葉についてお伝えします。

その1「幸先良い」

物事の最初が調子良く、トータルで良い方向に進みそうな予感を表します。

「幸せ」の一番最初の端が見える、というものが語源になり良い兆しを指す点で「虫の知らせ」の対義語にあたる言葉です。

その2「吉兆」

「吉兆」は「きっちょう」と読み、喜ばしい出来事が起こる前兆のことを言い表します。

比較的古い言い方なので、日常会話で使うと伝わりにくいかもしれません。古い書籍に登場することも多いので意味を覚えておいて損はないでしょう。

その3「知らぬが仏」

知れば嫌な思いや不都合を受けるが、知らないでいれば落ち着いていられることのたとえです。

明確に「虫の知らせ」の反対語とは言えませんが、「知らせを受けない」という点が異なりますね。もちろん知れば不都合があるということなので、内容はネガティブなものです。

\次のページで「「虫の知らせ」の英訳は?」を解説!/

「虫の知らせ」の英訳は?

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最後に、「虫の知らせ」を英語で表現する方法について見ていきましょう。英語を使わなければいけない場でも、虫の知らせを受ける機会があるかもしれません。

その1「a premonition」

「何か良くないことが起きるような予感や兆候」を指します。

死や災害など規模の大きい悪いことに使うことが多いです。使い方としては「I have a premonition that something bad is going to happen.」のように「something」を使うと「何かは分からないけど、悪いこと」を示すことができます。

文法上は良いことにも使えますがネガティブな印象を受けるため悪いことにのみ使うのが無難でしょう。

その2「Sixth Sense」

「第六感」のことです。

日本語の「第六感」と全く同じように使えるので、なぜかは分からないが無意識に知らない場所で起こっていることを察知したときに用いられます。

第六感を通じて感じた内容などを合わせて伝えると良いでしょう。日本語同様ただ単に感覚的に察知したことを表現するだけなので、出来事の良し悪しに関わらず使うことができます。

その3「hunch」

事実や証拠を元にしない、本能的に感じる「勘」のことです。

「Just a hunch.」で「ただの勘だけど。」という表現にすることもできます。ほかの表現に比べて深刻さが引くので「何となくそう思った」くらいのイメージで使うと良いでしょう。

「虫の知らせ」を使いこなそう

この記事では「虫の知らせ」の意味・使い方・類語などを説明しました。似た言葉との使い分け方や関連する言葉についても理解が深まったでしょうか。

理屈では説明がつかない現象ですが、確かに「虫の知らせだったのかもしれない」と思える奇跡的な出来事はまれにおこるものです。

あまり悪いことは起こって欲しくないですが、自分の直観に従って動くことも時に大切なのかもしれませんね。

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国語言葉の意味

【慣用句】「虫の知らせ」の意味や使い方は?例文や類語を現役文学部生ライターがわかりやすく解説!

この記事では「虫の知らせ」について解説する。

端的に言えば虫の知らせの意味は「感覚的に悪いことが起きていることを悟ること」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

日本語学を学び学習ライターを経験したfleurを呼んです。一緒に「虫の知らせ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/fleur

小学校の頃の趣味は広辞苑を読むこと。日本語学を専攻し、出版社で校正を担当した経験も活かしわかりやすい日本語解説記事を発信する。

「虫の知らせ」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「虫の知らせ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「虫の知らせ」の意味は?

まず、基本的な部分から解説していきます。「虫の知らせ」は、辞書的には次のような意味がある慣用句です。

よくないことが起こりそうであると感じること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「虫の知らせ」

「虫の知らせ」は相手から直接知らせを受けるのではなく突然嫌な予感がし、実際に悪いことが起きる・起きていることを表します。

意思疎通がなんとなくできる犬や猫などの動物ではなく「虫」が知らせるというところがポイントでしょう。

「虫の知らせ」の語源は?

次に「虫の知らせ」の語源を確認しておきましょう。

元々は、体の中にいる「虫」が体や精神・感情に影響を与えると考える風習から生まれた表現です。

この「虫」は「腹の虫がおさまらない」「虫の居所が悪い」などの言葉にも登場しています。

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