

「にっちもさっちもいかない」は割りと聞くことのある身近な言葉だ。しかし、この「にっちもさっちも」を、漢字で表せることは知っているだろうか?リズムが良く、つい深く考えずに使いがちだが、実は意味のある言葉なんだ。
今回は、大学で日本語や日本文学について学び、塾講師時代には国語の指導に特に力を入れていたというカワナミを呼んだ。漢字での表記のほか、意味や例文・類義語なども詳しく説明する。一緒に見ていこう。
- 「にっちもさっちも」は漢字で「二進も三進も」
- 「にっちもさっちも」の意味・語源
- 「にっちもさっちも」の意味は「どうにもできないさま」
- 「にっちもさっちも」の語源はそろばん
- 「にっちもさっちも」の使い方・例文
- 「にっちもさっちも」の使い方
- 「にっちもさっちも」を使った例文
- 「にっちもさっちもどうにもブルドッグ」とは?
- 「にっちもさっちも」の類義語
- 「足掻きが取れない」:取るべき手段がないさま
- 「抜き差しならない」:動きが取れない
- 「のっぴきならない」:身動きが取れない
- 「八方塞がり」:何もできない状態
- 「にっちもさっちも」の対義語
- 「順風満帆」:物事が順調に進むこと
- 「とんとん拍子」:物事が順調にはかどること
- 「にっちもさっちも」の英訳
- 「stuck」
- 「にっちもさっちも」の漢字表記は語源と関連していた
この記事の目次

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。
ライター/カワナミ
大学では日本語・日本文学について専攻。塾講師時代には国語の指導に特に力を入れていた。言葉の読解力が、勉強にも仕事にも欠かせないと信じている。モットーは「丁寧にわかりやすく」伝えること。
「にっちもさっちも」は漢字で「二進も三進も」

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「にっちもさっちも」は漢字では「二進も三進も」と書きます。当て字ではありません。「二進」「三進」は元は「にしん」「さんしん」と読むそろばん用語です。そろばんでの計算が語源と関連しています。語源については、次の項目で詳しく説明していますので、ぜひ目を通してください。
「にっちもさっちも」の意味・語源
「にっちもさっちも」の意味と語源を詳しく見ていきましょう。
「にっちもさっちも」の意味は「どうにもできないさま」
「にっちもさっちも」は次のような意味があります。辞書を使って正しい意味を確認しましょう。
物事が行き詰まり、身動きのとれないさま。どうにもこうにも。「借金が増えすぎて―行かない」
出典:デジタル大辞泉(小学館)「にっちもさっちも」
「にっちもさっちも」は「物事が行き詰まり、身動きの取れない様子」という意味です。「にっちもさっちもいかない」という慣用句で使われます。「にっちもさっちも」と単体で使われることはほとんどありません。
「にっちもさっちも」の語源はそろばん
「帰除法九九」(きじょほうくく)と呼ばれるそろばんを使った割り算をご存知でしょうか。「にっちもさっちも」が「二進も三進も」と書かれる理由は、この計算方法が元になっています。
「二進」「三進」はぞれぞれ「2÷2」「3÷3」のこと。計算すると答えはどちらも1で、きれいに割り切れます。それが「二進も三進もいかない」のですから、2でも3でもきれいに割り切れないということです。そこから次第に、計算が合わないという意味を持つようになりました。商売をする上で、勘定が合わないなんてもってのほか。お金の計算は大事なものです。場合によっては店をつぶしかねません。そのため、「にっちもさっちもいかない」は「行き詰まってどうにもならないさま」を表すようになりました。
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