この記事では「健啖家」について解説する。

端的に言えば健啖家の意味は「よく食べる人」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

ドラマやアニメなど、数多くの映像字幕を作成した経験があるNagiを呼んです。一緒に「健啖家」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Nagi

映像翻訳スクール出身。翻訳、チェッカー以外にも、CC字幕(クローズドキャプション)の制作多数。言葉を文字で表現する「字幕」の世界に数多く触れてきた経験を活かして、分かりやすく解説する。

「健啖家」の意味や語源・使い方まとめ

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健啖家」の読み方は「けんたんか」です。「啖」の字が難しいですが、「たん」と読むことが予想できたという人は多いのではないでしょうか。

それでは早速「健啖家」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「健啖家」の意味は?

まず、国語辞典に記載されている意味を見てみましょう。「健啖家」には、次のような意味があります。

食欲の旺盛な人。大食漢。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「健啖家」

意味の記載にある「大食漢(たいしょくかん)」についても併せて説明しておきましょう。この言葉に使われている「」は、元々は中国大陸中部を流れる川の名前でした。その川の流域を本拠地とする王朝が中国を統一したことで「中国全体」を指すようになります。ここから「漢民族の男性」という意味に派生し、広く男性一般を指す言葉としても使われるようになりました。

つまり「大食漢」は男性に対して使う表現であり、女性に対しては基本的には使いません。さらに「漢」という字は「痴漢」「悪漢」といった言葉からも分かるように、横暴でマナーがない印象を与える字でもあります。どちらかというとスマートな印象がある「健啖家」とはニュアンスが違うので、注意して使い分ける必要があるでしょう。

「健啖家」の語源は?

次に「健啖家」の語源を確認しておきましょう。「健啖」の意味は「好き嫌いなく、よく食べること」。「」という漢字には「むさぼり食う」という意味がありますが、健康の「」の字がつくことで「バランスよく何でも食べる」という意味合いになっています。そこに、あるハッキリした性格を持つ人であることを表す「家(か)」がつくことで、「好き嫌いなく、よく食べるという特徴を持つ人=健啖家」になるというわけです。

\次のページで「「健啖家」の使い方・例文」を解説!/

「健啖家」の使い方・例文

「健啖家」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.彼女は長生きの家系に生まれただけあって、驚くほどの健啖家だ。

2.90歳の祖母が病気もせず健康にいられる秘訣は、毎日料理を楽しみ、健啖家であり続けていることだろう。

3.彼は入院中も病院食をもりもりと食べ、以前と変わらぬ健啖家ぶりを発揮している。

4.大手出版社に就職した彼女だったが、現在は健啖家のフードライターとしてフリーランスで仕事をしている。

「健啖家」は胃腸が丈夫といったイメージがあるため、例文1や例文2のような「長寿」に関連した文脈によく使われています。例文3のように「健啖家ぶり」や「健啖ぶり」といった使い方も一般的です。周りが感心するほどの立派な食べっぷりが見て取れますね。

「健啖家」の類義語は?違いは?

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ここからは「健啖家」の類義語を見ていきましょう。「よく食べる人」と同じような意味を持つ言葉を、いくつか紹介していきます。

その1「食いしん坊」

食いしん坊(ぼう)」は「食い意地が張っている人」を指したり、「食べたがること」を意味する言葉です。「」をつけることで、前述の「家」と同様、その人の性格や特徴を表すことができます。「健啖家」よりもフランクな表現なので、目上の人への使用は控えましょう。

\次のページで「その2「美食家」」を解説!/

その2「美食家」

美食家(びしょくか)」は「ぜいたくで美味しいものばかりを好んで食べる人」という意味です。「グルメ」という呼びかたも一般的ですね。「健啖家」が選り好みせずに何でも食べる一方で、美味しいものにお金と時間をかけるのが「美食家」。「健啖家」と「美食家」は類義語ではありますが、食べ物に対する姿勢やポリシーは対照的といえるでしょう。

「健啖家」の対義語は?

次は「健啖家」の対義語を見ていきましょう。「よく食べる人」と反対の意味合いを持つ言葉を紹介します。

その1「偏食家」

偏食(へんしょく)」の意味は「好き嫌いが激しく、決まった食品だけを食べること」。「」の字に「特定のものに重点を置き過ぎる」という意味があります。訓読みは「偏(かたよ)る」です。

子どもの頃は、誰しも偏食傾向がありますよね。この傾向は大人になるにつれて改善していくものですが、親や学校でのしつけも重要だと言えるでしょう。ただ、最近ではアレルギーを持つ子も増えています。食品アレルギーは命に関わることもあるので、単なる偏食なのか、そうでないのかの見極めが大切です。

その2「小食家」

小食/少食(しょうしょく)」は、食べる分量が少ないことを言います。厳密に言えば「大食」の対義語ですが、食欲があってよく食べることを意味する「健啖家」とも反対の意味合いがあるといえるでしょう。

このほかにも「食」がついた言葉には、食物に不自由しないことを意味する「飽食(ほうしょく)」や、むさぼり食べることを意味する「貪食(どんしょく)」といった言葉もあります。こちらもあわせて覚えておくとよいでしょう。

「健啖家」の英訳は?

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日本語の「健啖家」は英語で表現すると、どのようになるのでしょうか?ここからは日本というフィールドを離れて、文化や習慣の異なる英語圏の視点から「健啖家」の英語訳を見ていきましょう。

その1「a hearty eater」

日本語の「健啖家・大食漢・大食い」を英語で表現する際には「a hearty eater」といった表現が使えます。「hearty」は「食欲が盛んである」ことを意味する形容詞。ここで「食欲」という意味の英単語「appetite」を使うと「a big appetite」という表現になります。「大きな食欲=食欲旺盛」と考えればイメージしやすいですね。

\次のページで「その2「gourmand」」を解説!/

その2「gourmand」

gourmand」はフランス語で「食いしん坊」を意味します。最近では「ビブグルマン(Bib Gourmand)」というミシュランガイドの格付けで耳にしたことがある人もいるでしょう。「ビブグルマン」の格付けは、コストパフォーマンスの良さを基準にしており、美食家向けの通常のミシュラン星とは異なります。ビブ(Bib)は、ミシュランのキャラクター「ビバンダム(Bibendum)」の愛称だそうです。

1.My mother is famous for a hearty eater.
私の母は健啖家で有名です。

2.What a big appetite you have!
君の健啖家ぶりには驚きだ。

「健啖家」を使いこなそう

この記事では「健啖家」の意味・使い方・類語などを説明しました。「美食家」「グルメ」「大食漢」「食いしん坊」「少食」「偏食」など、いろいろな言葉が出てきましたが、あなた自身はどのタイプでしょうか。自分のことに置き換えて実際に使っていくと、生きた言葉としてマスターできます。逆に言えば、自分という人間を他者に正しく理解してもらうためには、言葉を適切に選んでいかなくてはなりません。「伝えたい」という気持ちを大切にしながら表現力を高めていきましょう。

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国語言葉の意味

「健啖家」の意味や使い方は?例文や類語を字幕制作者がわかりやすく解説!

この記事では「健啖家」について解説する。

端的に言えば健啖家の意味は「よく食べる人」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

ドラマやアニメなど、数多くの映像字幕を作成した経験があるNagiを呼んです。一緒に「健啖家」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/Nagi

映像翻訳スクール出身。翻訳、チェッカー以外にも、CC字幕(クローズドキャプション)の制作多数。言葉を文字で表現する「字幕」の世界に数多く触れてきた経験を活かして、分かりやすく解説する。

「健啖家」の意味や語源・使い方まとめ

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健啖家」の読み方は「けんたんか」です。「啖」の字が難しいですが、「たん」と読むことが予想できたという人は多いのではないでしょうか。

それでは早速「健啖家」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「健啖家」の意味は?

まず、国語辞典に記載されている意味を見てみましょう。「健啖家」には、次のような意味があります。

食欲の旺盛な人。大食漢。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「健啖家」

意味の記載にある「大食漢(たいしょくかん)」についても併せて説明しておきましょう。この言葉に使われている「」は、元々は中国大陸中部を流れる川の名前でした。その川の流域を本拠地とする王朝が中国を統一したことで「中国全体」を指すようになります。ここから「漢民族の男性」という意味に派生し、広く男性一般を指す言葉としても使われるようになりました。

つまり「大食漢」は男性に対して使う表現であり、女性に対しては基本的には使いません。さらに「漢」という字は「痴漢」「悪漢」といった言葉からも分かるように、横暴でマナーがない印象を与える字でもあります。どちらかというとスマートな印象がある「健啖家」とはニュアンスが違うので、注意して使い分ける必要があるでしょう。

「健啖家」の語源は?

次に「健啖家」の語源を確認しておきましょう。「健啖」の意味は「好き嫌いなく、よく食べること」。「」という漢字には「むさぼり食う」という意味がありますが、健康の「」の字がつくことで「バランスよく何でも食べる」という意味合いになっています。そこに、あるハッキリした性格を持つ人であることを表す「家(か)」がつくことで、「好き嫌いなく、よく食べるという特徴を持つ人=健啖家」になるというわけです。

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