この記事では「お茶を濁す」について解説する。

端的に言えばお茶を濁すの意味は「その場をごまかす」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系のライターを10年経験した柊 雅子を呼んです。一緒に「お茶を濁す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/柊 雅子

イベントの司会や雑誌の記事作成を仕事としてきたライター、柊 雅子。インタビューをする時は相手の表情を常にチェック。相手の表情が変わってしまうような質問をした時にはお茶を濁して次の質問へ。そんな彼女が「お茶を濁す」について解説する。

「お茶を濁す」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「お茶を濁す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「お茶を濁す」の意味は?

「お茶を濁す」には、次のような意味があります。

1.いいかげんに言ったりしたりしてその場をごまかす。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「お茶を濁す」

番茶、麦茶、烏龍茶、緑茶…少し前まではお茶と言えばこのくらいの種類しかありませんでした。しかし最近ではどくだみ茶、ごぼう茶、ナタマメ茶…その他にも色々な種類がありますね。

種類の多いお茶ですが「お茶を濁す」のお茶とは抹茶のこと。アイスクリームやチョコレート、抹茶は最近ではさまざまなお菓子に利用されていますね。その抹茶とは葉脈などを取り除いた碾茶(てんちゃ)を石臼で挽いて粉にしたもの。碾茶とは収穫前に日光を遮り、旨みを溜めた茶葉の新芽を蒸した後に高温乾燥させたものです。

この抹茶を抹茶茶碗に2g程度入れ、80度~90度ぐらいのお湯を60ccほど注ぎ、茶せんでシャカシャカとまぜたものを薄茶(お薄)と言い、薄茶の2倍の量の抹茶を使い、80度くらいのお湯を40ccほど注いで練ったものを濃茶(お濃)と言います。

茶道には抹茶の点て方やいただき方に細かなお作法があり、このことが「いいかげんに言ったりしたりしてその場をごまかす」という意味をもつ「お茶を濁す」という慣用句に関わってくるのです。

「お茶を濁す」の語源は?

次に「お茶を濁す」の語源を確認しておきましょう。

茶せんを使って御茶を点てたことがある人は多くないでしょう。茶せんとは御茶を点てる時に用いる泡立て器のようなもの。竹で作られていて、抹茶茶碗に抹茶を入れ湯を注ぎ、この茶せんでシャカシャカと混ぜればふんわりとした細かい泡ができ、見た目にも美しくおいしい抹茶を点てることができます。

ところが御茶の作法を知らない素人が点ててもそのように上手くはできません。そこで御茶の作法を知らない人が御茶を点てる時にはいい加減にそれっぽく抹茶を混ぜて濁らせ、適当にごまかしていたそうで、それが「お茶を濁す」という慣用句の由来となったと言われています

\次のページで「「お茶を濁す」の使い方・例文」を解説!/

「お茶を濁す」の使い方・例文

「お茶を濁す」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.「その件が部長に知れると大変なことになる。今日の会議ではその場しのぎでお茶を濁しておくから、そっちもこの状況を突破するためアイデアを出し合って頑張ってくれ。時間的な余裕はないが、極力波風は立てずにな!」と彼は電話で叫んだ。

2.その外国人経営者は長年日本で暮らしておきながら、何かにつけていい加減な答えしか返さない。その背景として政財界の大物との関係があるので、余計なことは言わないつもりだろう。「お茶を濁して終わるつもりか。しかしこのインタビューの内容では記事にならない。何とかしなくては…」とその記者は焦り始めた。

3.収賄の疑いがもたれているその大臣は記者会見の度に矛盾が生まれる。記者からのツッコミどころも満載で毎日のように質問を浴びせかけられていたが、今日のぶら下がりではお茶を濁したようなコメントもなく、無言で立ち去った。

例文1「会議ではその場しのぎでお茶を濁しておく」は「会議では何とかごまかして、その場を乗り切る」という意味です。「どうにかして部長に知られないようにする」ということを表していますね。

例文2「お茶を濁して終わるつもりか」は「適当で曖昧な答えに終始するつもりか」と言う意味。「インタビューに対して最初から最後まできちんと答えずに終わるつもりか」ということですね。

例文3「お茶を濁したようなコメントもなく」は「曖昧でごまかすようなコメントもなく」という意味です。ぶら下がりとは大臣等の周りに記者が集まりインタビューすること。国会の廊下等で記者たちがボイスレコーダーを大臣に向けて口々に質問している場面をニュース番組で見たことがありませんか。それがぶら下がりです。

「お茶を濁す」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「いいかげんに言ったりしたりしてその場をごまかす」という意味の「お茶を濁す」にはどのような類義語があるのでしょうか。

「差し当たり」

「差し当たり」とは「ひとまず」「取り急ぎ」という意味です。

「一時的な」という意味合いを含んだ言葉なので一時しのぎ的な意味合いをもつ「お茶を濁す」の類義語になりますね。

\次のページで「「お茶を濁す」の対義語は?」を解説!/

「お茶を濁す」の対義語は?

続いて対義語をみていきましょう。

「明瞭」

「明瞭」とははっきりしていることです。

「お茶を濁す」は「いいかげんに言ったりしたりしてその場をごまかす」という意味でしたね。「ごまかす」とは「はっきりとは示さない」ということ。なので「お茶を濁す」の対義語は「明瞭」ということができます。

「御茶を濁す」の英訳は?

image by iStockphoto

日本的な表現の「お茶を濁す」を英語で表すとどのようになるのでしょうか。

英文1.  When I was about to be asked about her, I dodged the subject.

彼女について質問されそうになった時、私はお茶を濁した。

 英文2. I asked him, "Isn't it your fault that she got angry?",but he gave me the runaround.

私は彼に「彼女が怒ったのは君のせいではないのか?」と尋ねたが、、彼はお茶を濁した。

英文1「dodged the subject」は直訳すると「その話題を巧妙に避けた」という意味です。「巧妙にさけた」とは「上手くかわした」という意味合いをもつので「お茶を濁した」という意味になります。

例文2「gave me the runaround」「ごまかした」という意味。「ごまかした」は「お茶を濁した」と訳すことができますね。

\次のページで「「御茶を濁す」を使いこなそう」を解説!/

「御茶を濁す」を使いこなそう

この記事では「御茶を濁す」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「御茶を濁す」には「いいかげんに言ったりしたりしてその場をごまかす」という意味があり、類義語には「差し当たり」、対義語には「明瞭」という言葉があること等がわかりましたね。

「御茶を濁す」は日常会話でもよく使われる言葉です。意味と使い方がわかれば使いこなせますね。機会があれば使ってみましょう。

" /> 【慣用句】「御茶を濁す」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

【慣用句】「御茶を濁す」の意味や使い方は?例文や類語をWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「お茶を濁す」について解説する。

端的に言えばお茶を濁すの意味は「その場をごまかす」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

情報誌系のライターを10年経験した柊 雅子を呼んです。一緒に「お茶を濁す」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/柊 雅子

イベントの司会や雑誌の記事作成を仕事としてきたライター、柊 雅子。インタビューをする時は相手の表情を常にチェック。相手の表情が変わってしまうような質問をした時にはお茶を濁して次の質問へ。そんな彼女が「お茶を濁す」について解説する。

「お茶を濁す」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

それでは早速「お茶を濁す」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「お茶を濁す」の意味は?

「お茶を濁す」には、次のような意味があります。

1.いいかげんに言ったりしたりしてその場をごまかす。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「お茶を濁す」

番茶、麦茶、烏龍茶、緑茶…少し前まではお茶と言えばこのくらいの種類しかありませんでした。しかし最近ではどくだみ茶、ごぼう茶、ナタマメ茶…その他にも色々な種類がありますね。

種類の多いお茶ですが「お茶を濁す」のお茶とは抹茶のこと。アイスクリームやチョコレート、抹茶は最近ではさまざまなお菓子に利用されていますね。その抹茶とは葉脈などを取り除いた碾茶(てんちゃ)を石臼で挽いて粉にしたもの。碾茶とは収穫前に日光を遮り、旨みを溜めた茶葉の新芽を蒸した後に高温乾燥させたものです。

この抹茶を抹茶茶碗に2g程度入れ、80度~90度ぐらいのお湯を60ccほど注ぎ、茶せんでシャカシャカとまぜたものを薄茶(お薄)と言い、薄茶の2倍の量の抹茶を使い、80度くらいのお湯を40ccほど注いで練ったものを濃茶(お濃)と言います。

茶道には抹茶の点て方やいただき方に細かなお作法があり、このことが「いいかげんに言ったりしたりしてその場をごまかす」という意味をもつ「お茶を濁す」という慣用句に関わってくるのです。

「お茶を濁す」の語源は?

次に「お茶を濁す」の語源を確認しておきましょう。

茶せんを使って御茶を点てたことがある人は多くないでしょう。茶せんとは御茶を点てる時に用いる泡立て器のようなもの。竹で作られていて、抹茶茶碗に抹茶を入れ湯を注ぎ、この茶せんでシャカシャカと混ぜればふんわりとした細かい泡ができ、見た目にも美しくおいしい抹茶を点てることができます。

ところが御茶の作法を知らない素人が点ててもそのように上手くはできません。そこで御茶の作法を知らない人が御茶を点てる時にはいい加減にそれっぽく抹茶を混ぜて濁らせ、適当にごまかしていたそうで、それが「お茶を濁す」という慣用句の由来となったと言われています

\次のページで「「お茶を濁す」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: