この記事では「風前の灯火」について解説する。

端的に言えば、風前の灯火の意味は「物事が危険にさらされているまま、非常に危ないさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「風前の灯火」の意味や例文、類義語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「風前の灯火」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「風前の灯火」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

もし、意味や読み方が分からない言葉があれば、国語辞典や辞書、事典で調べたり、インターネットで検索してみたりするのをおすすめします。

「風前の灯火」の意味は?

「風前の灯火」は、人にも物にも使われる言葉です。次のような意味があります。

風の吹くところにある灯。危険が迫っていて今にも滅びそうなことのたとえ。「組織の存立は今や風前の灯火だ」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ふうぜん-の-ともしび【風前の灯火】」

まず、風前の灯火は「ふうぜんのともしび」と読みます。

風が場所にある灯(ともしび)という意味に加え、危険が迫ってきていて今にでも滅びてしまいそう、という例えとして使われることわざです。

灯火は「ともしび」と読み、灯だけでも「ともしび」と読みます。風前の灯火の場合、灯火は「とうか」とは読まないので注意しましょう。

「風前の灯火」の語源は?

次に、「風前の灯火」の語源を確認しておきましょう。語源自体ははっきりわかりませんが、言葉は「風前」「灯火」それぞれの言葉に由来します。

「風前」は、風が吹く真正面だったり、風が当たる場所を指す言葉。一方、「灯火」は、火をつけた灯りの意味になります。

つまり、風前の灯火は、風の真正面に当たる火、つまり、今にも火が消えてしまいそう、とても危険な状態にあるが由来です。

\次のページで「「風前の灯火」の使い方・例文」を解説!/

「風前の灯火」の使い方・例文

次に、「風前の灯火」の使い方を、例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.多くの戦死者を出した合戦の末、我が軍の勝利はもはや風前の灯火だ。
2.会社の経営状態が一時、風前の灯火となったものの、社長の手腕によって見事に立て直した。
3.祖父の病院に駆けつけがすでに危篤状態で、その命は風前の灯火という状況だった。
4.野球で5点差を付けられて迎えた最終回、自軍が勝利する可能性は風前の灯火だ。

例文1は、激しい戦いの末、味方の軍隊に大きな犠牲が出てしまい、勝ち負けの勝利する可能性がほぼなくなってしまった状態。例文2は、会社の経営が危機的状態となったものの、盛り返して立て直したという状況を表現する文章となっています。

例文3は、人間に対する言葉で、寿命の終わりが近づいているさま。そして、例文4は、野球の試合において、試合終盤に負けの可能性が高くなり、追い詰められた状況で使われています。

「風前の灯火」の類義語は?違いは?

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次に、「風前の灯火」の類義語を見ていきましょう。

風前の灯火の類義語は、瀕死(状態)、死にかけ、危篤、重体、重篤、死んだも同然などのほか、風の前の雲、風の前の塵、命は風前の灯の如し、風口の蝋燭(ろうそく)、魚の釜中に遊ぶが如し、寿命は猶風前の灯燭の如し、薄幸、彼岸の人のよう、などがあります。

その1「風口の蝋燭」

風前の灯火、その類義語の1つが「風口の蝋燭」です。

かざくちのろうそく」と読みます。意味は、消えやすいこと、はかないことの例えであり、風前の灯火と同じ意味です。

\次のページで「その2「魚の釜中に遊ぶが如し」」を解説!/

その2「魚の釜中に遊ぶが如し」

次に、「魚の釜中に遊ぶが如し」を紹介します。

読み方は「うおのふちゅうにあそぶがごとし」です。魚が煮られるのを知らずに、釜の中を泳いているように、災難が迫っているのも知らず、のんきに構えていることのたとえ、という意味になります。

釜中の魚」とも言われることもあることわざです。

その3「風の前の塵」

風の前の塵」も、風前の灯火の類義語です。

意味は、物事のはかないことのたとえ。また、危険が間近に迫っていることのたとえです。塵が、風に対してひとたまりもなく吹き飛ばされていくことが、言葉の由来になります。「風の前の雲」も同じ意味です。

「風前の灯火」の対義語は?

風前の灯火、その対義語は「灯滅せんとして光を増す」です。

意味などを見ていきましょう。

「灯滅せんとして光を増す」

灯滅せんとして光を増すは、「とうめっせんとしてひかりをます」と読みます。灯りが消えてしまう前に一瞬、光り輝く様子のたとえです。

意味としては、物事が滅びる前、一時的に勢いを取り戻すことであり、風前の灯火が持つ今にも滅びそうな危機的な状況という意味と真逆になります。

「風前の灯火」の英訳は?

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さらに、風前の灯火の英訳も、見ていきましょう。

風前の灯火は、英語に訳すと「an extremely precarious position」です。「an extremely precarious situation」「an extremely precarious state」が、風前の灯火との意味で使われる場合もあります。

「an extremely precarious position」

風前の灯火、そのまま英語に訳すと「an extremely precarious position」となり、「be in an extremely precarious position」で「風前の灯火である」との訳です。

ただ、英語の文章で用いられる場合、そのままこの英語が使われない場合もあります。例文を見ていきましょう。

\次のページで「「風前の灯火」を使いこなそう」を解説!/

・His destiny hung by a thread.

彼の運命は(もはや)風前の灯火だった。

・Life is a candle flickering in the wind.

人生は風前の灯火だ。

・“Life is a candle flickering in the wind,” says the proverb.

「人生は風前の灯火の如し」とのことわざが存在する。

「風前の灯火」を使いこなそう

この記事では、「風前の灯火」の意味・使い方・類義語などを説明しました。

風前の灯火は、ことわざとして用いられることが多く、「危機的な状況が迫っている」という意味で、人にも物事にもたとえとして、両方で使われます。

意味をしっかり把握し、上手に使いこなしていきましょう。

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国語言葉の意味

「風前の灯火」の意味や使い方は?例文や類語を元新聞記者がわかりやすく解説!

この記事では「風前の灯火」について解説する。

端的に言えば、風前の灯火の意味は「物事が危険にさらされているまま、非常に危ないさま」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元新聞記者で、ライター歴20年のトラコを呼んです。一緒に「風前の灯火」の意味や例文、類義語などを見ていきます。

ライター/トラコ

全国紙の記者を7年。その後、雑誌や書籍、Webでフリーの記者などとして活動中。文字の正確さ、使い方に対するこだわりは強い。

「風前の灯火」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速、「風前の灯火」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

もし、意味や読み方が分からない言葉があれば、国語辞典や辞書、事典で調べたり、インターネットで検索してみたりするのをおすすめします。

「風前の灯火」の意味は?

「風前の灯火」は、人にも物にも使われる言葉です。次のような意味があります。

風の吹くところにある灯。危険が迫っていて今にも滅びそうなことのたとえ。「組織の存立は今や風前の灯火だ」

出典:デジタル大辞泉(小学館)「ふうぜん-の-ともしび【風前の灯火】」

まず、風前の灯火は「ふうぜんのともしび」と読みます。

風が場所にある灯(ともしび)という意味に加え、危険が迫ってきていて今にでも滅びてしまいそう、という例えとして使われることわざです。

灯火は「ともしび」と読み、灯だけでも「ともしび」と読みます。風前の灯火の場合、灯火は「とうか」とは読まないので注意しましょう。

「風前の灯火」の語源は?

次に、「風前の灯火」の語源を確認しておきましょう。語源自体ははっきりわかりませんが、言葉は「風前」「灯火」それぞれの言葉に由来します。

「風前」は、風が吹く真正面だったり、風が当たる場所を指す言葉。一方、「灯火」は、火をつけた灯りの意味になります。

つまり、風前の灯火は、風の真正面に当たる火、つまり、今にも火が消えてしまいそう、とても危険な状態にあるが由来です。

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