今回は「分解に関する化学変化」について解説していきます。

分解に関する化学変化には、熱分解、電気分解、光分解など様々な種類がある。ですが、これらはある化合物を2種類以上の物質に分解するという点で共通しているぞ。今回は、分解に関する化学変化に理論や種類を説明するだけでなく、具体例や関連する技術についても述べるつもりです。ぜひこの機会に、分解に関する化学変化についての理解を深めてくれ。

化学に詳しいライター通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。資源材料学、環境化学工学、バイオマスエネルギーなども勉強中。

分解に関する化学変化について学ぼう!

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今回の記事では、分解に関する化学変化をメインテーマにして、話を進めていきますね。記事の前半では、分解反応はどのようなものであるのか他の化学反応と異なる点はあるのか、といったことを説明していきます。そして、記事の後半では、分解反応の具体例をご紹介しますね。

それでは早速、分解反応の概要について述べていきます。できるだけ簡単な表現を用いて説明しますが、見慣れない用語を目にした場合は、必ずその意味を確認してくださいね。

分解反応とは?

まずはじめに、分解反応がどのような反応であるのかを確認していきましょう。分解反応では、化合物から2種類以上のより単純な構造をもつ物質が生じます。複数の物質から単一の化合物が生じる合成反応の正反対の関係にある化学反応であると考えるとわかりやすいかと思いますよ。

分解反応には、自発的に反応が進行するもの外部からのエネルギーの供給によって反応が進行するものがあります。両者とも、私たちの生活の中で見られる反応ですよ。ただし、分解反応には、私たちの生活に恩恵をもたらすものばかりではなく、不利益をもたらすものも多く存在します。

\次のページで「分解反応の種類」を解説!/

分解反応の種類

分解反応の種類

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分解反応には複数の種類があり、反応は熱分解電気分解光分解などに分けられますよ。熱分解では、加熱によって化合物を分解します。水溶液に電流を流し、電気エネルギーによって化合物を分解するものが電気分解です。また、光エネルギーを利用して物質を分解する光分解と呼ばれる反応も存在しますよ。

また、酵母菌などの細菌は、呼吸によって様々な有機化合物を分解することができます。このような生物に関わる反応の中にも、分解反応に分類されるものがあるのです。以上で述べた分解反応の具体例については、この次の章で紹介しますね

分解に関する化学変化の例

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ここからは、分解に関する化学変化の例を熱分解、電気分解、光分解の種類別に説明していきます。具体例を学ぶことで、分解反応についての理解も深まるかと思いますよ。

先ほど学んだ分解反応の概要を思い出しながら、以下の記事を読み進めてみてくださいね。それでは、具体例の紹介をはじめます。

1.熱分解

ここでは、炭酸水素ナトリウムの熱分解実験を紹介します。熱分解反応の中でも、この実験は非常に有名なものです。この実験では、試験管内に炭酸水素ナトリウムをセットし、ガスバーナーなどを点火させて加熱を行います

加熱を始めると、水蒸気と二酸化炭素の混合気体が生じますよ。このことは、試験管に水滴が生じるということや発生した気体を石灰水に通すと白く濁ることから確認することができます。

また、反応後に試験管内に残る物質は炭酸ナトリウムであり、この物質は炭酸水素ナトリウムよりも強い塩基性を示すことが知られていますよ。塩基性の強弱は、フェノールフタレイン溶液の染まり具合によって判断できます。以上のことを化学反応式で表現すると、2NaHCO3→Na2CO3+CO2+H2Oとなりますよ。

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2.電気分解

続いて、電気分解の例を紹介します。まずは、水の電気分解について考察してみましょう。水の電気分解実験では、ビーカーなどに水を注ぎ、その中に炭素電極を挿入して電流を流します。このとき、電源のプラス側に接続された電極を陽極、マイナス側に接続された電極を陰極と呼びますよ

また、純粋な水は電気をほとんど通さないので、実験を行う際は少量の水酸化ナトリウムなどを水に溶かすことが多いです水の電気分解を行うと、陽極では酸素分子、陰極では水素分子が生じます。これらは、いずれも気体であり、体積比で(水素):(酸素)=2:1となることが知られていますよ。以上の反応を化学反応式で表現すると、2H2O→2H2+O2となります。

電気分解は、水酸化ナトリウムの製造、ナトリウム金属やアルミニウム金属の精錬などにも活用されており、私たちの生活を支える技術の一つです。また、殺菌作用のある次亜塩素酸を生成させることのできる空気清浄機でも、電気分解の技術が用いられています。

3.光分解

光分解は、光エネルギーを利用して物質を分解する反応ですよ。例えば、酸化銀が光分解を起こす物質として有名です酸化銀に光を当てると、酸素が発生し、単体の銀が生じることが知られています。この反応を化学反応式で表現すると、2Ag2O→4Ag+O2となりますよ。

このように光に反応する性質のことを感光性と呼びます。デジタルカメラが普及する前に使用されていたフィルムカメラは、化学物質の感光性を利用して写真を撮影していました。フィルム表面に酸化銀を塗っておくと、光が当たった部分だけが変色し、風景や人物の像がフィルムに焼き付けられるのです。酸化銀は感光性に優れているだけでなく、現像液との相性も良いことから、フィルムの感光材に適していました。

分解反応と次世代技術の関係性

最後に、次世代技術と深い関係のある分解反応について解説します。これらの技術は、持続可能な社会を実現する上で、非常に大きな役割を担うことが期待されているものです。

未来の社会について考える際に、ぜひ知っておきたい話題ですから、ぜひ目を通してみてください。それでは、分解反応と次世代技術の関係性について解説をはじめます。

1.水素エネルギー

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燃料電池を用いることにより、水素と酸素から、電気エネルギーを作り出すことができます。燃料電池による発電や燃料電池車は、稼働時に温室効果ガスである二酸化炭素を排出しません。そのため、地球温暖化対策で大きな役割を担うことができます

しかしながら、自然界に単体の水素はほとんど存在しません。そのため、水やメタンなどの化合物を分解し、水素を得る必要があります。現在、化合物から効率的に水素を取り出すための研究開発がなされていますよ

\次のページで「2.バイオエタノール」を解説!/

2.バイオエタノール

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バイオエタノールは、植物由来のデンプンや糖を酵母菌などを用いて醗酵させることで得られるエタノールのことです。バイオエタノールは、ガソリンなどのクリーンな代替燃料として注目されています

現在、食料との競合生産効率が悪いといったデメリットを減らすために、バイオエタノールの研究が進められていますよ

分解に関する化学変化について学ぶ意義

この記事では、熱分解、電気分解、光分解といった分解反応について学びました。その中で、身近な具体例や次世代技術との関係を取り上げましたよね。これらを知ることで、私たちの生活と分解に関する化学変化の関係性は非常に深いものであることが分かるかと思います。

以上のような理由から、分解反応についての知識は知っておいて損はないと言えますよ。ぜひ、この機会に分解に関する化学変化について詳しく学んでみてくださいね。

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3分で簡単分解に関する化学変化!熱分解・電気分解・光分解など理系学生ライターがわかりやすく解説

今回は「分解に関する化学変化」について解説していきます。

分解に関する化学変化には、熱分解、電気分解、光分解など様々な種類がある。ですが、これらはある化合物を2種類以上の物質に分解するという点で共通しているぞ。今回は、分解に関する化学変化に理論や種類を説明するだけでなく、具体例や関連する技術についても述べるつもりです。ぜひこの機会に、分解に関する化学変化についての理解を深めてくれ。

化学に詳しいライター通りすがりのぺんぎん船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。環境工学、エネルギー工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。資源材料学、環境化学工学、バイオマスエネルギーなども勉強中。

分解に関する化学変化について学ぼう!

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今回の記事では、分解に関する化学変化をメインテーマにして、話を進めていきますね。記事の前半では、分解反応はどのようなものであるのか他の化学反応と異なる点はあるのか、といったことを説明していきます。そして、記事の後半では、分解反応の具体例をご紹介しますね。

それでは早速、分解反応の概要について述べていきます。できるだけ簡単な表現を用いて説明しますが、見慣れない用語を目にした場合は、必ずその意味を確認してくださいね。

分解反応とは?

まずはじめに、分解反応がどのような反応であるのかを確認していきましょう。分解反応では、化合物から2種類以上のより単純な構造をもつ物質が生じます。複数の物質から単一の化合物が生じる合成反応の正反対の関係にある化学反応であると考えるとわかりやすいかと思いますよ。

分解反応には、自発的に反応が進行するもの外部からのエネルギーの供給によって反応が進行するものがあります。両者とも、私たちの生活の中で見られる反応ですよ。ただし、分解反応には、私たちの生活に恩恵をもたらすものばかりではなく、不利益をもたらすものも多く存在します。

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