この記事では「目の保養」について解説する。「目の保養」は一般的かつ今も使われている言葉ですが、実は扱いに注意が必要な単語でもある。基本的に悪い意味じゃないが、だからと言ってむやみに使っているとトラブルの引き金になるかもしれないぞ。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「目の保養」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「目の保養」の意味とは?

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「目の保養」とは以下のような意味です。

美しいものや綺麗なものを見て楽しむこと。多くは美しい風景や美しい女性を見て楽しむことを指す。

出典:Weblio辞書「目の保養 意味」

「目の保養」は単純に分かりやすく言うと「見て楽しむことができるもの」という意味です。映画などを視聴するという意味の「見て楽しむ」ではなく、「見ることで精神的に良い作用がある」というニュアンスを持っています。

そのため上記のトピックでは風景などが例に挙げられていますが、実際は人によって「目の保養」になるものはさまざまであり、必ずしも風景に限っているわけではありません。

そもそも「保養」って何?

「目の保養」の「目の」という部分は意味が明らかですが、「保養」とはそもそもどういう意味でしょうか。「保養」を調べると以下の解説が出てきます。

1.からだを休ませて健康を養うこと。養生すること。
2.心をなぐさめ楽しむこと。

出典:goo辞書「保養 意味」

「休ませる」「なぐさめる」などの言葉から、「健康に良い作用がある」というニュアンスを掴めると思います。これに「目の」という言葉を繋げることにより、「目の健康に良い働きがあるもの」という言葉のイメージがより分かりやすくなるでしょう。

ちなみに、「保養」という言葉は「目の保養」という言葉に関わらず、日常の場面でも登場する単語です。覚えておいて損はありません。

「目の保養」は科学的な話ではない

総合的に考えて、「目の保養」とは「見て楽しむことで心をなぐさめ楽しませる」という意味になります。もちろんこれは見ている側の心理状態に影響する話です。そのため、「保養」という部分に「健康に良い」というニュアンスはあるものの、「科学的に目に良い作用がある」という話ではありません。

美しい物を見ると精神的にリフレッシュしますよね。しかし、決して視力が良くなったり、目の病が治るわけではありません。あくまでものの例えであることは抑えておきましょう。

「目の保養」の使い方

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「目の保養」は以下の様に使います。

1.あの丘からの景色は本当に「目の保養」になる。
2.「目の保養」と言って彼は個展に向かった。
3.「目の保養」だと思えば、雨に濡れた町も悪くはない。

上記のトピックでも解説しましたが、「目の保養」に該当するものは人それぞれになります。誰かにとっては何でもないものが、他の人にとっては「目の保養」になるというのは、ごく当たり前のことです。「目の保養」で調べると美しい風景などが例に出てきますが、あまりそれにこだわり過ぎず、元々の意味をよく考えて使用しましょう。

\次のページで「「目の保養」の対象になるものは?」を解説!/

「目の保養」の対象になるものは?

「目の保養」は「見て心をなぐさめられる、楽しめる」という意味になります。「目の保養」と呼ばれる対象は人を励ますような美しさなどを持ったものであり、多くは自然や風景などです。

しかし、上記のトピックにあるように、まれに人に対しても使用されます。出典には「美女」という言葉が出てきますが、美女だけに限った話ではなく、実際は「イケメンは目の保養」などと言われるように、整った容姿の男性にも使用される言葉です。

「目の保養」が悪印象になることも…

上記のトピックで「目の保養」とは美しい人に対しても使用されると言いました。ということは、「目の保養」とは褒め言葉にあたるのかと言われると、実際は違うと言えるでしょう。

確かに「美しいと思っています」という感情から言っていることには違いありません。しかし、人に向かって「あなたの存在は私を楽しませます」と言うことは、人に対してまるで存在を娯楽か見世物のように見ていると思われても仕方がありません。褒めているのだから悪い気はしないに違いない、と思うのは早計です。人に対しては使用しない方が無難と言えます。

「目の保養」の類義語とは?

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「目の保養」の類義語として、「目の正月/眼福」があります。どちらも置き換えは簡単であり、「目の保養」とほぼ全く同じ意味を持っている言葉です。「眼福」はともかく「目の正月」は「目の保養」と言い回しとしてあまりに近いため、置き換えには適さないかもしれませんが、見かけた時に分かるように抑えておきましょう。

「目の正月」の正月って何?

「目の保養」の類義語である「目の正月」の正月とは、文字通り元旦のことです。現代では段々と薄まってきた感覚ですが、少し昔には正月は「一年を通して一番楽しい日」と多くの人がみなしていました。そのため、「楽しませるもの」という意味で「正月」を用いた結果、「目の正月」という言葉が生まれました。

意味は「目の保養」とまったく同じですが、健康的なニュアンスはやや薄まり、楽しむというニュアンスは強くなります。

\次のページで「「眼福」ってどういう意味?」を解説!/

「眼福」ってどういう意味?

「眼福」は「美しい物を見る幸せ」という意味の単語であり、「目の保養」とほぼ同じ意味を持っています。漢字から意味を推察するのが比較的楽な単語であり、「目に福をもたらす」ということです。使い方としては、「あの景色は眼福だ」などと使います。「眼福になる」も間違いではありませんが、単に「眼福だ」と言われる方が多いです。

英語にもある!「目の保養」

「目の保養」という言葉は実は英語圏にも存在する言い回しです。ただし、英語では「保養」という言葉ではなく、「candy」を用いて、「Eye candy」という言い回しとなります。

「candy」はキャンディであり、お菓子の飴のことです。食べ物であるため「目の栄養」と捉えることもできますが、甘いお菓子という点を考えると、「目へのご褒美」というニュアンスが適切でしょう。健康とはやや違うニュアンスになりますが、いずれにしろ精神的に慰められる、楽しめるものという部分は共通しています。

「目の保養」に選ばれるもの

「目の保養」とは基本的に美しい物を指しています。しかしその美しさというのは、「目の保養」においてはあくまで「他者を楽しませるような美しいもの」という種類の美しさです。そのため、本当に自分にとって「目の保養」になったとしても、それを口に出して言うかどうかは注意が必要となります。

美しさとは人の感性に関わる言葉であるため、使い方や使う場面は人それぞれです。そのため、文章的に正しい・間違っているということに拘りすぎるのではなく、人を傷つける事のないようにするのが最優先と言えるでしょう。

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うっかり使うとトラブルに?「目の保養」の意味・使い方・類義語を言葉大好きライターがわかりやすく解説!

この記事では「目の保養」について解説する。「目の保養」は一般的かつ今も使われている言葉ですが、実は扱いに注意が必要な単語でもある。基本的に悪い意味じゃないが、だからと言ってむやみに使っているとトラブルの引き金になるかもしれないぞ。元建築系企業社員、現言葉大好きライターのsasaiを呼んです。一緒に「目の保養」の意味や使い方、類義語などを見ていきます。

ライター/sasai

元会社員の現役フリーライター。言葉が好きで文章が好き。読むのも書くのも大好きで、海外小説からビジネス書まで何でも読む本の虫。こだわりをもって言葉の解説をしていく。

「目の保養」の意味とは?

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「目の保養」とは以下のような意味です。

美しいものや綺麗なものを見て楽しむこと。多くは美しい風景や美しい女性を見て楽しむことを指す。

出典:Weblio辞書「目の保養 意味」

「目の保養」は単純に分かりやすく言うと「見て楽しむことができるもの」という意味です。映画などを視聴するという意味の「見て楽しむ」ではなく、「見ることで精神的に良い作用がある」というニュアンスを持っています。

そのため上記のトピックでは風景などが例に挙げられていますが、実際は人によって「目の保養」になるものはさまざまであり、必ずしも風景に限っているわけではありません。

そもそも「保養」って何?

「目の保養」の「目の」という部分は意味が明らかですが、「保養」とはそもそもどういう意味でしょうか。「保養」を調べると以下の解説が出てきます。

1.からだを休ませて健康を養うこと。養生すること。
2.心をなぐさめ楽しむこと。

出典:goo辞書「保養 意味」

「休ませる」「なぐさめる」などの言葉から、「健康に良い作用がある」というニュアンスを掴めると思います。これに「目の」という言葉を繋げることにより、「目の健康に良い働きがあるもの」という言葉のイメージがより分かりやすくなるでしょう。

ちなみに、「保養」という言葉は「目の保養」という言葉に関わらず、日常の場面でも登場する単語です。覚えておいて損はありません。

「目の保養」は科学的な話ではない

総合的に考えて、「目の保養」とは「見て楽しむことで心をなぐさめ楽しませる」という意味になります。もちろんこれは見ている側の心理状態に影響する話です。そのため、「保養」という部分に「健康に良い」というニュアンスはあるものの、「科学的に目に良い作用がある」という話ではありません。

美しい物を見ると精神的にリフレッシュしますよね。しかし、決して視力が良くなったり、目の病が治るわけではありません。あくまでものの例えであることは抑えておきましょう。

「目の保養」の使い方

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「目の保養」は以下の様に使います。

1.あの丘からの景色は本当に「目の保養」になる。
2.「目の保養」と言って彼は個展に向かった。
3.「目の保養」だと思えば、雨に濡れた町も悪くはない。

上記のトピックでも解説しましたが、「目の保養」に該当するものは人それぞれになります。誰かにとっては何でもないものが、他の人にとっては「目の保養」になるというのは、ごく当たり前のことです。「目の保養」で調べると美しい風景などが例に出てきますが、あまりそれにこだわり過ぎず、元々の意味をよく考えて使用しましょう。

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