今回は「キーストーン種」について解説していきます。

キーストーン種というのは、生態系について学ぶ際に目にする用語です。キーストーン種の概念は、生態系について理解するためには必須です。そして、この概念は生態系保全などの場面においても役に立つ。持続可能な社会の実現には生態系の保全は不可欠です。それゆえ、キーストーン種についての知識が無駄になることはないでしょう。ぜひこの機会に、キーストーン種についての理解を深めてくれ。

工学の視点で生態系について学んだことがある学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

工学部所属の現役理系大学生。環境工学を専攻している。高校時代は生物を学んでいなかったが、大学進学後に工学的な視点から生態系について詳しく学んだ。

キーストーン種について学ぶ前に

image by iStockphoto

キーストーン種というのは、生態系に関する用語の1つです。そのため、キーストーン種についての理解を深めるためには、生態系に関連する基礎的な知識が必要不可欠となります。ですから、この記事の前半では、生態系について解説しますね。そして、記事の後半で、本題であるキーストーン種について解説をしますよ。

今回の話題は、生物学に詳しくない方であっても、理解しやすい内容になっています。生態系に関係する議論は、環境問題などを学ぶ上でも重要です。生物学以外に興味がある場合でも、役に立つであろう内容なので、ぜひ最後まで記事を読んでみてくださいね。

生態系とは?

はじめに、生態系という言葉が何を意味しているのかを確認しておきましょう。生態系とは、ある地域に生息する動物や植物などのすべての生物とそれらを取り巻く非生物的環境の集合体のことを表します。つまり、複数の生物個体によるコミュニティが生態系なのです。

人類は、都市、町、村のようなコミュニティを形成し、生活を送っています。それと同様に、複数の生物が相互に影響を及ぼしながら、集合体を形作っているのですね

生態系の挙動

生態系は、生産者消費者分解者によって構成され、あらゆる物質が絶えず循環していますよこれらの物質の流れは、大量の生物種が存在し、それらが絶妙なバランスを保っていることで維持されています。このように、大量の生物種が存在することを生物多様性といいますよ。

生態系の一部が変化すると、全体のバランスに影響が出てきます。つまり、生態系に属する生物は相互作用によって、持ちつ持たれつの関係をもっているのですね。この考え方は、生態系について勉強する際に、最も重要な概念となります。

キーストーン種について学ぼう!

ここからは、メインテーマであるキーストーン種についての解説を進めていきます。以下では、キーストーン種という名称がついた理由キーストーン種の特徴について説明を行いますね。

キーストーン種が生態系の中で担っている役割に注目して、記事を読み進めてみてください。また、キーストーン種以外との違いについても考えてみてくださいね。

\次のページで「なぜキーストーン種という名称なのか?」を解説!/

なぜキーストーン種という名称なのか?

image by iStockphoto

キーストーン種という名称の由来となったキーストーンとは、どのようなものなのでしょうかキーストーンは、アーチ構造に含まれる建築要素です。アーチ構造を活かした代表的な建築は、写真に示したようなアーチ橋ですよね。

キーストーンは、アーチの頂上部分に設置され、要石や楔石とも呼ばれますよ。キーストーンは、アーチ構造全体を支えています。そのため、キーストーンが欠落した場合、アーチは一瞬にして崩壊するのです。キーストーン種も、生態系における要になっています。生態系の中でキーストーン種の数が増加または減少すると、生態系全体が立ち行かなくなるのです

キーストーン種の特徴

キーストーン種の特徴

image by Study-Z編集部

先ほど、キーストーン種という名称の由来を説明し、キーストーン種の生態系内での位置づけについて述べました。ここでは、より厳密にキーストーン種の特徴について述べます

キーストーン種の特徴は、少ない個体数で生態系に大きな影響を与えるということです。この点で、個体数が多い優占種とは異なります。また、キーストーン種となる生物種の多くが捕食者であることから、キーストーン捕食者と呼ぶこともありますよ。

生態系が維持されるかどうかは、キーストーン種の存在に強く依存していますキーストーン種が生態系内から消えると、生態系の状態は急速に悪化し、回復不能な悪影響に直面することがあるのです。そのため、ある生物がキーストーン種であることが判明した場合、そのデータは環境アセスメントなどの調査に役立てられます。

キーストーン種の具体例

最後に、キーストーン種の具体例をご紹介しますね。今回は、海洋生物であるラッコヒトデの例を説明します。実際にキーストーン種が、生態系にどのような影響を与えているのかを考察しますよ

具体例を知ることで、キーストーン種の理論もより深く理解できるようになるでしょう。それでは、キーストーン種の具体例についての解説をはじめます。

\次のページで「カルフォルニア沿岸のラッコ」を解説!/

カルフォルニア沿岸のラッコ

image by iStockphoto

1990年代、カルフォルニア沿岸に生息するラッコが毛皮を利用するために乱獲され、個体数を減らしていました。それと同時に、ラッコの餌であるウニの個体数が急増したのです。大量のウニは、海藻のジャイアントケルプの仮根を食い尽くし、ジャイアントケルプは海から姿を消しました

さらに、ジャイアントケルプの中で生息・産卵する魚が減少してしまったそうですよ。このように、ラッコの生息数が減ると、ドミノ倒しのように、生態系が崩壊していったのです。カルフォルニア沿岸におけるラッコは、典型的なキーストーン種だったのですね。

北太平洋岩礁のヒトデ

image by iStockphoto

北太平洋岩礁には、ヒトデ、フジツボ、カルフォルニアイガイが生息していますよ。フジツボとカルフォルニアイガイは、岩礁の固着面を取り合う競合種として知られています。そして、フジツボとカルフォルニアイガイの2種のみが存在した場合、フジツボはカルフォルニアイガイに淘汰されるのです

しかしながら、これらに加えてヒトデが存在した場合、3種が共存することができます。ヒトデはフジツボとカルフォルニアイガイの捕食者であり、ヒトデが両者を食べることで、カルフォルニアイガイの急速な増殖を防ぐのです。

キーストーン種について学ぶ意義

キーストーン種は、生態系を支える要のような存在です。キーストーン種が生態系の中から姿を消すと、急速に生態系は崩壊します。それゆえ、生態系を保全する際に、キーストーン種という用語は重要なキーワードになりますよ。

生態系の保全は、持続可能な社会を実現する上で不可欠であり、社会の関心が高い話題でもあります。それゆえ、キーストーン種について学ぶことで損をすることはないかと思いますよ。ぜひこの記事を読み、キーストーン種について理解を深めてみてくださいね。

" /> 3分で簡単キーストーン種!生態系の中で重要?理系学生ライターがわかりやすく解説! – Study-Z
理科生態系生物

3分で簡単キーストーン種!生態系の中で重要?理系学生ライターがわかりやすく解説!

今回は「キーストーン種」について解説していきます。

キーストーン種というのは、生態系について学ぶ際に目にする用語です。キーストーン種の概念は、生態系について理解するためには必須です。そして、この概念は生態系保全などの場面においても役に立つ。持続可能な社会の実現には生態系の保全は不可欠です。それゆえ、キーストーン種についての知識が無駄になることはないでしょう。ぜひこの機会に、キーストーン種についての理解を深めてくれ。

工学の視点で生態系について学んだことがある学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

工学部所属の現役理系大学生。環境工学を専攻している。高校時代は生物を学んでいなかったが、大学進学後に工学的な視点から生態系について詳しく学んだ。

キーストーン種について学ぶ前に

image by iStockphoto

キーストーン種というのは、生態系に関する用語の1つです。そのため、キーストーン種についての理解を深めるためには、生態系に関連する基礎的な知識が必要不可欠となります。ですから、この記事の前半では、生態系について解説しますね。そして、記事の後半で、本題であるキーストーン種について解説をしますよ。

今回の話題は、生物学に詳しくない方であっても、理解しやすい内容になっています。生態系に関係する議論は、環境問題などを学ぶ上でも重要です。生物学以外に興味がある場合でも、役に立つであろう内容なので、ぜひ最後まで記事を読んでみてくださいね。

生態系とは?

はじめに、生態系という言葉が何を意味しているのかを確認しておきましょう。生態系とは、ある地域に生息する動物や植物などのすべての生物とそれらを取り巻く非生物的環境の集合体のことを表します。つまり、複数の生物個体によるコミュニティが生態系なのです。

人類は、都市、町、村のようなコミュニティを形成し、生活を送っています。それと同様に、複数の生物が相互に影響を及ぼしながら、集合体を形作っているのですね

生態系の挙動

生態系は、生産者消費者分解者によって構成され、あらゆる物質が絶えず循環していますよこれらの物質の流れは、大量の生物種が存在し、それらが絶妙なバランスを保っていることで維持されています。このように、大量の生物種が存在することを生物多様性といいますよ。

生態系の一部が変化すると、全体のバランスに影響が出てきます。つまり、生態系に属する生物は相互作用によって、持ちつ持たれつの関係をもっているのですね。この考え方は、生態系について勉強する際に、最も重要な概念となります。

キーストーン種について学ぼう!

ここからは、メインテーマであるキーストーン種についての解説を進めていきます。以下では、キーストーン種という名称がついた理由キーストーン種の特徴について説明を行いますね。

キーストーン種が生態系の中で担っている役割に注目して、記事を読み進めてみてください。また、キーストーン種以外との違いについても考えてみてくださいね。

\次のページで「なぜキーストーン種という名称なのか?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3
Share: