今回は「オゾン層」について解説していきます。

オゾン層は、空高くにある特殊な気体の層のことです。オゾン層は紫外線を吸収するなどの役割を担っており、人間を含む生物が健康に過ごすために必要不可欠な存在になっている。しかしながら、オゾン層はある化学物質によって破壊されることが分かっており、このことは環境問題になっているぞ。ぜひこの機会に、オゾン層についての理解を深めてくれ。

環境工学を専攻している現役理系学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。土壌、生態系、気象、地球温暖化について学んだこともある。

オゾン層について学ぼう!

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皆さんは、オゾン層という言葉を聞いたことがあるでしょうか?オゾン層と聞くと、環境問題を連想する方が多いかと思います。今回は、一度は聞いたことがある人が多いであろうオゾン層についての解説を行いますね

記事の前半では、オゾン層に関する基礎知識を学びます記事の後半では、オゾン層に関する環境問題について詳しく説明していきますね。記事を読む途中で見慣れない用語などを見かけることがあるかもしれません。その場合は、用語が何を表すのかをしっかり確認してみてくださいね。

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オゾン層とは?

地球のまわりには、大気が存在していることが知られています。大気が存在する領域を大気圏と呼び、地上側から順に、対流圏成層圏中間圏熱圏外気圏という領域に分けられますよ。これらの領域は、各々で特徴をもっています。

オゾン層は、成層圏のうち、特に気体のオゾンが多く存在している領域のことをさしますよ。オゾン層が存在する高度は、地上から上空に向けて10[km]から50[km]の部分です。オゾンは特殊な構造をもつ化学物質ですよ。どのような特徴があるのかは以下で述べますね。

オゾンはどのような物質?

ここでは、オゾンの化学構造について述べます。オゾンは、3つの酸素原子が相互に結合した分子です。私たちの身の回りにある酸素分子は、2つの酸素原子が結合したものですから、オゾンが特殊な構造をもつことがわかりますよね

オゾンは、常温常圧条件下で薄い青色の気体になります。また、オゾンは強い刺激臭があり、有毒です。そして、強い酸化力と腐食性があることから、殺菌作用があります。実験室でオゾンを生成させるためには、酸素の無声放電を行いますよ。

オゾン層の役割

オゾン層の最も重要な役割は、紫外線の吸収です。太陽から地球に入射する光には紫外線が多く含まれています。これらの紫外線の一部が、オゾン層で吸収されるのです。特殊な構造をもつオゾンは、紫外線領域にあるほとんどの光と反応します。

大量の紫外線は、人間を含めた多くの生物に悪い影響を与えることが知られていますよ。紫外線による悪影響の代表例が皮膚がんですよね。オゾン層が上空に存在するため、私たちの健康が守られていると表現しても過言ではないのです

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オゾン層破壊について知ろう

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ここからは、オゾン層に関する環境問題であるオゾン層破壊について解説していきます。オゾン層破壊は、1970年ごろから問題になり、今もなお続いている問題です。この事実からも、オゾン層破壊は、長期間続く深刻な環境問題であることがわかりますよね。

以下では、オゾン層破壊の原因や対応策について述べます。また、オゾン層破壊の対応策は本当に環境に優しいのかということも検証しますよ

オゾン層破壊のメカニズム

オゾン層破壊のメカニズム

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オゾン層破壊の原因となる物質は、フロンガスですフロンガスは、冷蔵庫やエアコンなどの機器の冷媒として使われる物質ですよ。これらの機器は家電製品としても広く普及していますよね。

このような機器を廃棄する際の分解作業で、フロンガスが大気中に放出されますフロンガスは非常に軽い気体なので、空高くに昇っていきますよ。そして、フロンガスとオゾンが出会うと、化学反応が次々と生じます。化学反応の速度は非常に大きいので、オゾンは次々と破壊されていくのです

フロンガスは、構造中に塩素が含まれています。塩素は、オゾンが分解される際に触媒として作用するのです。フロンガスは、冷蔵庫やエアコンの冷却効率を向上させる夢の技術として期待されていましたが、オゾン層破壊という残念な結果を残してしまいました

オゾン層破壊の防止策とは?

オゾン層破壊の防止策とは?

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フロンガスがオゾン層破壊の原因になっていることがわかり、世界各国でフロンガス製造を禁止または規制する法律が作られました。しかしながら、フロンガスを使用せずに、冷房機器の消費エネルギーを削減することは困難です。

そこで、フロンに代わる代替フロンという物質が開発されました代替フロンは、フロンに含まれる塩素を水素やフッ素などの元素で置換したものです。代替フロンはオゾン層を破壊しません。現在、冷房機器の冷媒として、代替フロンが広く使用されています。

代替フロンの誕生でオゾン層破壊問題は解決されました。しかしながら、その後、代替フロンに関する別の環境問題が注目されるよになりましたよ。次の節で、この問題についても考察してみましょう。

\次のページで「代替フロンは環境に優しいのか?」を解説!/

代替フロンは環境に優しいのか?

代替フロンは環境に優しいのか?

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近年、地球温暖化が問題視され、様々な対策がなされるようになりました。地球温暖化の原因の1つが、人為的な温室効果ガスの排出です。温室効果ガスとして、二酸化炭素に焦点が当てられることが多いですが、二酸化炭素以外にも温室効果ガスは存在します

実は、フロンや代替フロンは温室効果ガスです。また、これらの物質の温暖化への寄与は、二酸化炭素の数百倍から数千倍とされています。この数字を目にすると、フロンや代替フロンを使用するべきでないと考える方もおられるかもしれません。

しかしながら、地球温暖化の防止策として省エネルギー化というのは非常に重要です。そして、冷房機器の高効率化には、代替フロンが必要ですよね。今、省エネルギー化と温室効果ガス対策の板挟みになっているのが、代替フロンの問題なのです

オゾン層について学ぶ意義

この記事では、オゾン層についての基礎知識、オゾン層破壊のメカニズムについて述べました。そして、オゾン層破壊を防止するために作られた物質が地球温暖化の原因になっているという複雑な問題についても説明しました。

オゾン層について学ぶと、地学や化学の知識が身につくだけでなく、環境問題についても理解が深まります。特に、オゾン層破壊というテーマは環境問題の最適解を見つけるのは難しいことを理解する教材として適していますよ。ぜひこの記事を読んで、オゾン層について学んでみてください。

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3分で簡単「オゾン層」!フロンガスとは?温暖化の防止策は?現役理系学生ライターがわかりやすく解説

今回は「オゾン層」について解説していきます。

オゾン層は、空高くにある特殊な気体の層のことです。オゾン層は紫外線を吸収するなどの役割を担っており、人間を含む生物が健康に過ごすために必要不可欠な存在になっている。しかしながら、オゾン層はある化学物質によって破壊されることが分かっており、このことは環境問題になっているぞ。ぜひこの機会に、オゾン層についての理解を深めてくれ。

環境工学を専攻している現役理系学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していきます。

ライター/通りすがりのペンギン船長

現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。土壌、生態系、気象、地球温暖化について学んだこともある。

オゾン層について学ぼう!

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皆さんは、オゾン層という言葉を聞いたことがあるでしょうか?オゾン層と聞くと、環境問題を連想する方が多いかと思います。今回は、一度は聞いたことがある人が多いであろうオゾン層についての解説を行いますね

記事の前半では、オゾン層に関する基礎知識を学びます記事の後半では、オゾン層に関する環境問題について詳しく説明していきますね。記事を読む途中で見慣れない用語などを見かけることがあるかもしれません。その場合は、用語が何を表すのかをしっかり確認してみてくださいね。

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