

地球の熱収支というのは、地球に出入りするエネルギーのバランスのことを意味するぞ。地球の熱収支を考察すると、地球の温度がどのように変化するのかということが理解できる。この理論は、地球温暖化に関する研究にも用いられている実用的なものだぞ。ぜひ、この機会に地球の熱収支について理解を深めてくれ。
環境工学を専攻している現役理系学生ライター通りすがりのペンギン船長と一緒に解説していくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/通りすがりのペンギン船長
現役理系大学生。エネルギー工学、環境工学を専攻している。これらの学問への興味は人一倍強い。土壌、生態系、気象、地球温暖化について学んだこともある。
地球の熱収支を考える上で必要な要素
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今回の記事におけるメインテーマは、地球の熱収支ですよ。地球の熱収支というものは、簡単に表現すれば、地球の入ってくる熱エネルギーと地球から出ていく熱エネルギーのバランスのことです。地球の熱収支を考えることは、地球温暖化に起因する気候変動についての理解を深めることにも繋がります。地球の熱収支について知っておいて損をすることはありません。
熱エネルギーのバランスを考えるためには、地球を出入りするエネルギーを要素別に分解する必要があります。ですから、この記事の前半部分では、地球の熱収支を考える上で必要な要素について解説していきますね。見慣れない用語が数多く登場するかと思いますが、その都度、それらの意味を説明していきます。新たに知った用語の意味は、しっかりと確認しておきましょう。
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まずは、地球を出入りするエネルギーを要素別に考えてみるぞ。
1.太陽放射

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太陽放射は、太陽から地球に向かってくる短波放射によるエネルギーです。地球に入射した太陽放射のエネルギーは、約20%が大気、約50%が地面に吸収されます。そして、残りの約30%のエネルギーは反射されて、宇宙の方向に戻っていきますよ。反射の原因には、雲や大気中のエアロゾルによるエネルギーの散乱や発散、地表面でのエネルギー反射などが挙げられますよ。
では、これらのエネルギーの数値は、一体どのようになっているのでしょうか。太陽定数を用いて計算を行うと、地球に入射する太陽放射エネルギーの平均値は約342[W/m2]となります。この値は、季節や緯度の違いにより変化しますよ。そして、赤道付近で最大値になるのです。
また、太陽放射エネルギーの吸収と反射の比率は、空気中の水蒸気量、雲の量、積雪量、植生の状態などの影響を受けて変化します。これらの要素を加味して、太陽放射の反射率である「アルベド」という数値が決められますよ。

太陽放射がどのようなエネルギーであるかを理解しておけ。
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