
その2「悲痛」
「悲痛(ひつう)」には「あまりの悲しみに心が痛むこと」という意味があります。「沈痛」と同様「悲痛な面持ち」や「悲痛な叫び」といった表現も一般的ですね。
このように「沈痛」や「悲痛」は、表情や声など外側に表れた悲しみの様子を指すことが多い言葉です。その一方で、より内面的な気持ちにフォーカスしているのが「悲愴」であるといえるでしょう。
「悲愴」の対義語は?
次は「悲愴」の対義語を見ていきましょう。「かわいそうな有様」と反対の意味合いを持つ言葉を紹介します。
「欣快」
「欣快」は「きんかい」と読みます。「非常に嬉しくて、気持ちのいいさま」を表す言葉なので、「悲愴」とは反対の意味合いを持つ言葉といえるでしょう。「欣」には「よろこぶ、たのしむ」といった意味があります。明るい印象を与える字なので、昔は名付け用の漢字としてよく使われていたようです。「北大路欣也」「深作欣二」など、「欣」がつく名前の有名人も多くいます。
「悲愴」の英訳は?

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日本語の「悲愴」は英語で表現すると、どのようになるのでしょうか?ここからは日本というフィールドを離れて、文化や習慣の異なる英語圏の視点から「悲愴」の英語訳を見ていきましょう。
その1「mournful」
「悲愴」という日本語を英語で表現する場合、「mournful」という英単語が使えます。これは「喪に服す、悼(いた)む」という意味の動詞「mourn」の形容詞です。「sorrowful」も同義ですが、こちらは「悲しみ」を意味する単語「sorrow」の形容詞なので、よりストレートな表現になります。
その2「pathetic」
「pathetic」にも「悲愴」の意味合いがあります。前述のクラシック曲『悲愴』の原題にもつながる英単語です。この言葉の「哀れな、痛ましい」といった意味の根底にあるのは、人の弱さや悲しみに対する同情心。そのため、「mournful」や「sorrowful」よりも主観的なニュアンスのある表現といえるでしょう。
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