

端的に言えば悲愴の意味は「かわいそうな有様」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
ドラマやアニメなど、数多くの映像字幕を作成した経験があるNagiを呼んだ。一緒に「悲愴」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/Nagi
映像翻訳スクール出身。翻訳、チェッカー以外にも、CC字幕(クローズドキャプション)の制作多数。言葉を文字で表現する「字幕」の世界に数多く触れてきた経験を活かして、分かりやすく解説する。
「悲愴」の意味や語源・使い方まとめ

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「悲愴」の読み方は「ひそう」です。「ひそう感」という表現が一般的なので、よく知っているという人が多いのではないでしょうか。
それでは早速「悲愴」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。
「悲愴」の意味は?
まず、国語辞典に記載されている意味を見てみましょう。「悲愴」には、次のような意味があります。
悲しく痛ましいこと。
出典:実用新国語辞典 特装版(三省堂)「悲愴」
同じく「ひそう」と読む「悲壮」も併せて紹介しておきましょう。「壮」という漢字には「逆境の中で力を振りしぼる」という意味があります。そのため「悲壮」は「悲しみに立ち向こうとするさま」を表す言葉であり、悲しみ一色の「悲愴」とは異なるニュアンスを持っているのです。「悲愴と悲壮」、この違いを正しく理解していた人は、どのくらいいるでしょうか?
「悲愴」の語源は?
ここで「悲愴」の語源を確認しておきましょう。まず「悲」の漢字を見ていきます。「非」は否定の意味がある字ですが、もともとは「二つに分かれる」ことを意味する象形文字。字体が左右対称になっていることからも分かりますね。ここに部首の「心」が組み合うことで「心が張り裂ける=悲しい」という意味になったといわれています。
さらに「愴」にも注目してください。この漢字は「悲しみに打ちひしがれる」という意味を持っています。「悲愴」という熟語は、まさに悲しみにあふれる世界で苦しむさまを表しているのです。
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