この記事では「邪険にする」について解説する。

端的に言えば邪険にするの意味は「ぞんざいにあつかう」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「邪険にする」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/AYA

長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「邪険にする」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。

「邪険にする」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

「邪険にする」という言葉をご存じでしょうか?あるいは誰かに「邪険にされた」事はありますか?もしされたことがある人は、悲しい思いをしましたね。私は小さい頃に飼っていた犬が大型犬で、少し怖くて邪険にしていた記憶があります。そんな「邪険にする」という言葉について、詳しく解説していきますね。

それでは早速「邪険にする」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「邪険にする」の意味は?

「邪険にする」には、次のような意味があります。

1.邪見。
2.意地が悪く、人に対して思いやりがないさま。
3.相手の気持ちを汲み取ろうとせずに、意地悪な扱いをすること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「邪険」

「邪険にする」とは、「じゃけんにする」と読み、「意地が悪く、相手に対して思いやりがないさま」と辞書に記されています。意地悪をするという行為だけでなく、ぞんざいに扱ったり思いやりを持って接しないさまを表す言葉ですよ。「邪険にする」「邪険に扱う」のような使い方をします。

当時飼っていた犬は、身体が大きいというだけで私から恐れられ邪険にされていました。中学生になる頃には自身の身体も大きくなり、穏やかな性格の犬と理解できたのでたくさんの愛情を注ぎましたが、一時期は不安定になったりと今でも申し訳ない気持ちが残っていますよ。「邪険にする」という事は、それだけ相手に理不尽で失礼な対応だという事を学びました。

「邪険にする」の語源は?

次に「邪険にする」の語源を確認しておきましょう。「邪険」は意味の一番上にもあるように「邪見」という漢字でも表記されます。この「邪見」という言葉を説明する前に、少し仏教の話に触れておきましょう。仏教では十善十悪という、10項目のしてはならない事(十悪)を否定する十善戒というのがあります。この十善戒の戒律を守る事こそが仏教において修行なのですが、仏教の教えで「邪見」は、全ての悪の親玉と言われていますよ。そして「邪見」は「邪慳」とも書きます。

ここから本題に入りますが、この「邪見」という言葉は、「邪(よこしま)な見方」の意味になりますよ。「世の中の出来事は全て原因があり結果が生じる」という考えの元、「邪慳」つまり「善悪の区別がつかなくなった心の状態」から、「のけ者」や「むごい扱い」に派生したのです。

仏教の教えに基づいて説明したので少し難しくなりましたが、「邪険」の語源は仏教語の「邪見」と「邪慳」に由来していて、「邪な見方」つまり「善悪の区別がつかなくなった心」から「のけ者」と変化していきましたよ。

\次のページで「「邪険にする」の使い方・例文」を解説!/

「邪険にする」の使い方・例文

「邪険にする」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.出来の良い妹を持つ私は、いつも親から邪険にされていた。
2.いつも自分のことしか考えてない友人を邪険に扱った
3.子猫のお世話が大変で、つい親猫を邪険にしてしまった。

3つの例文を挙げてみましたので1つずつ見ていきましょう。

例文1はもの凄く出来が良い兄弟姉妹がいる家庭でよくある話ですね。親はそんな気はなくても、子供心に劣等感や寂しさを感じるのでしょうね。例文2も経験がある人がいるかもしれません。日ごろから宿題を見せてというクラスメイトや、雑用は押しつけるのに、完了報告はいつも率先してしてするような同僚など、自己中心的な性格の人は邪険にされやすい傾向がありますよ。例文3は子猫に魅了されてしまって、つい先住猫をぞんざいに扱ってしまったという失敗例ですが、猫に限らず人でも充分に当てはまるかと思います。いつでもみんな平等に、が理想ですがなかなか難しいのも理解出来ますね。

「邪険にする」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「邪険にする」にはどんな類義語があるでしょうか。

「ぞんざいに扱う」

「邪険にする」の意味でもありましたが、やはり「ぞんざいに扱う」が一番適切でしょう。「ぞんざい」とは、「投げやり・いい加減・礼を失している・粗雑」の意。ですので「ぞんざいに扱う」は「いい加減に扱う」などに言い換えられますよ。「邪険にする」と違い、扱いは乱暴ですが意地悪な意味合いはありません。ですが「ぞんざいな口を利く」などの表現でわかるように、乱暴さや横柄さが含まれていますよ。人に対して冷たい態度で接する時に使う点が「邪険にする」との共通点ですね。

\次のページで「「邪険にする」の対義語は?」を解説!/

「邪険にする」の対義語は?

「邪険にする」の反対の言葉は何でしょうか。

その1「親切にする」

「邪険」の反対は「親切」なので、対義語は「親切にする」がふさわしいでしょう。「親切」は誰でも知っている言葉ですね。意味は「弱い立場や困っている人に何かをしてあげたりやさしく対応すること」ですよ。邪険にしたくなるほど苦手な人に親切にしましょうと言っても無理がありますが、距離を置いて関わらないようにする心の余裕が必要かもしれませんね。

その2「ねんごろ」

対義語としてもう一つ出てきたので紹介します。「ねんごろ」とは、「心がこもっているさま・親身なさま・親しいさま」の意。私は普段使うことがないので、意外に感じましたが「親身・親しいさま」が「思いやりがない・ぞんざいに扱う」の反対の意味になるので、「邪険にする」の対義語として適切ですね。「ねんごろ」には「男女の仲が親密である」という意味もあり、そちらの意味の方が主流となっているようです。

「邪険にする」の英訳は?

image by iStockphoto

「邪険にする」という言葉を英語ではどう表現するでしょうか?一緒に見ていきましょう。

「unkind」

「邪険」は捉え方でさまざまな言い方ができますが、無難な表現であれば「親切ではない」の意味で「unkind」となります。丁寧に扱ってもらえない・あしらうという意味なら「not treat」敬意を払ってもらえないなら「not respect」など表現方法は豊富にあるので、使い分けをするといいですね。例文を挙げるので参考にしてください。

「He has not been respected since he retired. 」(彼は退職して以来邪険に扱われている。)

「I was unkind to my friend.」(私は友人を邪険にした。)

\次のページで「「邪険にする」を使いこなそう」を解説!/

「邪険にする」を使いこなそう

この記事では「邪険にする」の意味・使い方・類語などを説明しました。簡単におさらいしておきます。「邪険にする」とは「意地悪な扱い・相手を思いやらないさま」の意味でしたね。一度でもぞんざいな扱いを受けたことがある人なら、誰かを「邪険にする」という行為はしないでしょうが、私達はいつでも誰に対しても親切丁寧に接しているわけではありません。「邪険にする」は、意図して意地悪でぞんざいな扱いをすることですが、適当に聞き流したりあしらったりなどは、知らず知らずにしてしまっている可能性も否定できませんよね。この記事をきっかけに、自身の普段の行動を振り返ってみると気づきがあるかもしれませんね。

" /> 「邪険にする」の意味や使い方は?例文や類語を読書好きWebライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「邪険にする」の意味や使い方は?例文や類語を読書好きWebライターがわかりやすく解説!

この記事では「邪険にする」について解説する。

端的に言えば邪険にするの意味は「ぞんざいにあつかう」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

接客業で鍛えられた語学力を持つAYAを呼んです。一緒に「邪険にする」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/AYA

長年接客業で培った「正しい敬語」を武器に、新人教育の経験も豊富なライターAYAが「邪険にする」について読み方から使い方、よくある読み間違いも含めて、分かりやすく解説していく。

「邪険にする」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

「邪険にする」という言葉をご存じでしょうか?あるいは誰かに「邪険にされた」事はありますか?もしされたことがある人は、悲しい思いをしましたね。私は小さい頃に飼っていた犬が大型犬で、少し怖くて邪険にしていた記憶があります。そんな「邪険にする」という言葉について、詳しく解説していきますね。

それでは早速「邪険にする」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「邪険にする」の意味は?

「邪険にする」には、次のような意味があります。

1.邪見。
2.意地が悪く、人に対して思いやりがないさま。
3.相手の気持ちを汲み取ろうとせずに、意地悪な扱いをすること。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「邪険」

「邪険にする」とは、「じゃけんにする」と読み、「意地が悪く、相手に対して思いやりがないさま」と辞書に記されています。意地悪をするという行為だけでなく、ぞんざいに扱ったり思いやりを持って接しないさまを表す言葉ですよ。「邪険にする」「邪険に扱う」のような使い方をします。

当時飼っていた犬は、身体が大きいというだけで私から恐れられ邪険にされていました。中学生になる頃には自身の身体も大きくなり、穏やかな性格の犬と理解できたのでたくさんの愛情を注ぎましたが、一時期は不安定になったりと今でも申し訳ない気持ちが残っていますよ。「邪険にする」という事は、それだけ相手に理不尽で失礼な対応だという事を学びました。

「邪険にする」の語源は?

次に「邪険にする」の語源を確認しておきましょう。「邪険」は意味の一番上にもあるように「邪見」という漢字でも表記されます。この「邪見」という言葉を説明する前に、少し仏教の話に触れておきましょう。仏教では十善十悪という、10項目のしてはならない事(十悪)を否定する十善戒というのがあります。この十善戒の戒律を守る事こそが仏教において修行なのですが、仏教の教えで「邪見」は、全ての悪の親玉と言われていますよ。そして「邪見」は「邪慳」とも書きます。

ここから本題に入りますが、この「邪見」という言葉は、「邪(よこしま)な見方」の意味になりますよ。「世の中の出来事は全て原因があり結果が生じる」という考えの元、「邪慳」つまり「善悪の区別がつかなくなった心の状態」から、「のけ者」や「むごい扱い」に派生したのです。

仏教の教えに基づいて説明したので少し難しくなりましたが、「邪険」の語源は仏教語の「邪見」と「邪慳」に由来していて、「邪な見方」つまり「善悪の区別がつかなくなった心」から「のけ者」と変化していきましたよ。

\次のページで「「邪険にする」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: