この記事では「御の字」について解説する。

端的に言えば御の字の意味は「ありがたい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

大手企業に35年以上勤務し、仕事でたくさんの文章を扱ってきた経験を持つベテランのライターKAIKAIを呼んです。一緒に「御の字」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/KAIKAI

東京の大手企業に35年以上勤務し、仕事でたくさんの文章を扱ってきた経験を持つ。学生時代から国語が得意で、言葉の意味には自信あり。

「御の字」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「御の字」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「御の字」の意味は?

「御の字」には、次のような意味があります。

《江戸時代の遊里語から出た誤。「御」の字を付けて呼ぶべきほどのもの、の意から》

1.非常に結構なこと。望んでいたことがかなって十分満足できること。「出費がこの程度で済めば御の字だ」
2.最上のもの

出典:デジタル大辞泉(小学館)「御の字」

「御の字」(おんのじ)とは、「御」をつけたいほど最高、最上のものということで、「この上なく最高にありがたいもの」という意味になります。ビジネスの世界でも日常生活でも、何かの成績や想定外の幸運な出来事に対してよく使われる言葉ですね。ほとんど1の意味で使われ2の意味で使われることは最近ではめったにありません。

また、「御の字」を「恩の字」と書いている例も見かけます。意味はなんとなく同じのような感じがしますが誤用です。

「御の字」の語源は?

「御の字」は江戸時代の遊里語(遊女の使う言葉)として生まれました。遊女がお客に対してお礼の気持ちをこめてさまざまなことに「御」をつけて語っていたのがつけ始まりということです。「御」は、もともとは天子の行いや所有物に敬意を払う語でした。「からだ」の敬称の「御身」(おんみ)「その方自身」の敬称の「御自ら」(おんみずから)と言った感じで、言葉の頭に尊敬の念をこめて付与する最上という意味の接頭語です。「「御」の字をつけたいほど最上級のもの」という意味で使われるようになりました。

\次のページで「「御の字」の使い方・例文」を解説!/

「御の字」の使い方・例文

「御の字」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.御の字以上の学習成績をあげるとは、先生も予想できなかった。
2.最終的には御の字のセキュリティーよりにも警備を強化する。
3.今月は営業成績が目標値に達しなかったが、最近としては御の字の売上高となった。
4.御の字の順位で安心していたら、全国大会には出場できないよ。
5.就職試験の時事問題は難問ばかり。一問でも解けたら御の字だ。

「御の字」は「十分満足できること」の意味なのですが、誤用例を説明しましょう。「及第点」の意味で「資格試験の成績は期待してなかったが結果は御の字で合格だった」などと使われます。また「妥協的」の意味で「議論が紛糾したが、予算案は御の字で収まった」などと使われることがあるのです。

さらに、「そこそこの出来」の意味で「編集に集中できなかったが、作品は御の字でクライアントの了解をもらえた」などと使われることもありますね。このように間違った意味で使われるケースがたくさん見かけられます。

「御の字」の類義語は?違いは?

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「御の字」の類義語について見てみましょう。

その1「快哉」

「快哉」(かいさい)とは「胸がすっきりするように気分がいいこと」の意味です。「快哉を叫ぶ」という言い回しで使われ、「あこがれの大学に合格できた。快哉を叫びたい」などと言います。もともとは「快なる哉」(かいなるかな)と言ったものが単語になったものです。「快」は「胸がすっきりするような気持ちよさ」を表し、「哉」は感動、詠嘆を表します。

\次のページで「その2「ありがたい」」を解説!/

その2「ありがたい」

「ありがたい」は、「感謝をしたい」とか「心からうれしい」という意味です。「あなたからの情報提供がありがたい」などと使われます。

漢字で書くと「有難い」で、語源は古語の「有難し」です。字のごとく、「有ることが難しい」ということで、もともとの意味は、「生きていくのがめずらしい」「生きていきにくい」でした。これが転じて、感謝を伝える用語となったのです。ビジネスのシーンでは円滑に業務を進めるにあたっては欠かせない言葉ですね。

その2「万々歳」

「万々歳」(ばんばんざい)とは、「大変おめでたいこと」「非常に望ましいこと」です。「万歳」を繰り返すことで最高の喜びを表現しており、「万万歳」と書くこともあります。「昨日、無理だと思われていた今年度のサービス売上目標が達成され万々歳といった気分だ」などと使わるのです。

「御の字」の対義語は?

「御の字」の対義語について見てみましょう。

「不満」

「御の字」の対義語は「不満」です。「物足りないこと」「満足しない気持ち」の意味になります。「学校のしきたりに不満を持つ生徒が校則を変えようと思っている」などと使われるのです。「不満」は気持ちの状態ですが、これがたまると「文句」といった行動につながります。「不満」や「文句」を口にする人はとってもネガティブなイメージを持たれがちで、特にビジネスシーンでは敬遠されがちですね。

一方、「不満」こそ、品質改善のためのトリガーとなるもので、大いに顧客の不満を取り入れて、顧客満足度を高めようという前向きな考えもあります。

「御の字」の英訳は?

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「御の字」は英語では何と言うのでしょうか。

「best」

「御の字」の英語は「最上」「最もよい」の意味を持つ「best」です。「御の字」を表す熟語としては、「cannot be  better」(このうえない)、「more than enoough」(十分です)、「cannot ask for more than that」(それ以上は求められない)があります。

\次のページで「「御の字」を使いこなそう」を解説!/

If she got accepted into the company ,that would be more than enough.(彼女がその会社に合格できたら御の字だ)

「御の字」を使いこなそう

今回の記事では「御の字」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「御の字」の正しい意味を理解している人は少ないので、誰かが「この前の試験の成績は御の字だ」と言っても、本人は70点でそこそこ喜んでいるのか、満点に近い点でこのうえなく喜んでいるのか言葉だけでは判断がつかないので厄介ですね。一方、あなたが正しい意味を知っていて正しい使い方をしていても、相手はそのように受け取っているかは疑問です。

他人が「御の字」だと言った時は、さらに突っ込んだ質問をして、その人の満足度を確かめるようにしましょう。一方、自分で「御の字」と言った場合は、「いやあ満点目指して猛勉強したかいがあったよ」などと補足するのを忘れないように注意しましょうね。

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国語言葉の意味

「御の字」の意味や使い方は?例文や類語をたくさんの文章を扱ってきたライターがわかりやすく解説!

この記事では「御の字」について解説する。

端的に言えば御の字の意味は「ありがたい」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

大手企業に35年以上勤務し、仕事でたくさんの文章を扱ってきた経験を持つベテランのライターKAIKAIを呼んです。一緒に「御の字」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/KAIKAI

東京の大手企業に35年以上勤務し、仕事でたくさんの文章を扱ってきた経験を持つ。学生時代から国語が得意で、言葉の意味には自信あり。

「御の字」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「御の字」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「御の字」の意味は?

「御の字」には、次のような意味があります。

《江戸時代の遊里語から出た誤。「御」の字を付けて呼ぶべきほどのもの、の意から》

1.非常に結構なこと。望んでいたことがかなって十分満足できること。「出費がこの程度で済めば御の字だ」
2.最上のもの

出典:デジタル大辞泉(小学館)「御の字」

「御の字」(おんのじ)とは、「御」をつけたいほど最高、最上のものということで、「この上なく最高にありがたいもの」という意味になります。ビジネスの世界でも日常生活でも、何かの成績や想定外の幸運な出来事に対してよく使われる言葉ですね。ほとんど1の意味で使われ2の意味で使われることは最近ではめったにありません。

また、「御の字」を「恩の字」と書いている例も見かけます。意味はなんとなく同じのような感じがしますが誤用です。

「御の字」の語源は?

「御の字」は江戸時代の遊里語(遊女の使う言葉)として生まれました。遊女がお客に対してお礼の気持ちをこめてさまざまなことに「御」をつけて語っていたのがつけ始まりということです。「御」は、もともとは天子の行いや所有物に敬意を払う語でした。「からだ」の敬称の「御身」(おんみ)「その方自身」の敬称の「御自ら」(おんみずから)と言った感じで、言葉の頭に尊敬の念をこめて付与する最上という意味の接頭語です。「「御」の字をつけたいほど最上級のもの」という意味で使われるようになりました。

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