今日は「梨の礫」について解説する。
この「梨の礫」、聞いたことはあるかもしれないが意味や語源などを説明できる人は多くはないかもしれませんね。
今日は元外商出身のねことすなを呼んです。「梨の礫」について一緒に確認していこう。

ライター/ねことすな

ホテル・百貨店で多くのお客様と接してきたライター。現在も言葉を最大のコミュニケーションツールとして日々活動しつづけている。元外商出身の経験から「相手の気持ちを創造する」言い回しが得意。

「梨の礫」の意味・語源は?

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「梨の礫」という言葉、知っていますか?何となく聞いたことはあっても意味がわからなかったり語源となると何のことやら…という人も多いかと思います。

ここではまず「梨の礫」の意味と語源について一緒に確認していきましょう。

「梨の礫」の意味は「音沙汰のないこと」

「梨の礫」は「なしのつぶて」と読み「梨」は果物の梨、「礫」は小石や砂利という意味があります。この「梨」と「礫」の意味を組み合わせても「梨の礫」がどのような意味を持つのか、想像するのは難しいですね。

まず辞書で意味を確認していきましょう。

音沙汰のないこと。音信のないこと。投げた礫(つぶて)はかえらないところから、「梨」を「無し」にかけて語呂を合わせていう。「なしの礫もない」の形で、意味をさらに強めていう。

(出典 コトバンク 精選版 日本国語大辞典「梨の礫」)

「梨の礫」の意味は「音沙汰のないこと」「音信のないこと」という意味です。ではなぜ「梨」(果物の梨)と「礫」(小石や砂利)の組み合わせで「音沙汰のないこと」の意味を表現することになったのか、頭の中で考えてもなかなか答えにたどりつくことは難しいですね。語源を見ていくとその意味がわかるかもしれません。なぜ「梨の礫」という言葉が生まれたのか、理由を考えながら一緒に見ていきましょう。

「梨の礫」の語源は「礫」にある!「梨」は語呂合わせ?

「梨の礫」の語源と言われてもすぐには想像しがたいですね。

「梨」と「礫」それぞれ分けて見てみましょう。まず「礫」。ここでは「つぶて」と読みますが他に「れき」「たぶて」「ざれ」とも読み「小さい石」「砂利」などの意味があります。投げた「礫」はかえらないことから「音沙汰のない」という意味を表すようになりました。では「梨」を使う意味はあるのか、他の果物でもいいのではないかという疑問が生まれますが、これには特別な意味はなく「なし」を「無し」にかけて音沙汰のないことを強調しているとされています。

辞書の部分でも触れていましたが「梨」を「無し」にかけて語呂合わせ、「なし」を「無し」にかけて音沙汰のないことを強調しているとは。まさに「梨」が「無くても」いいのではないかと思ってしまいますが、同時に語源のユニークさが表現されていておもしろいですね。

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「梨の礫」どんなふうに使う?

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意味と語源がわかったところで今度は実際「梨の礫」の使い方、そして「梨の礫」の「梨」という文字を含んだ言葉には他にどのようなものがあるのかもあげてみました。順番に確認していきましょう。

「梨の礫」を使った例文

「梨の礫」の例文をあげてみました。「梨の礫」はその言葉単体で使用することはなく、文章に組み込んで使います。例文を見るとどのような場面で使うのか、どのような使い方が正しいのかを理解することができますので一緒に確認していきましょう。

1 遠く離れた国に住んでいる友人に手紙を送ったが梨の礫だ。
2 キャンプ用品の在庫に関して折り返しの連絡を待っているが、人気モデルのせいか梨の礫で困っている。

1は遠く離れた国に住む友人に手紙を送ったが何も返事が来ない、2はキャンプ用品の在庫の問い合わせをしたが人気商品のためか確認に時間がかかり全く回答が来ない、という内容です。どちらもその手段は手紙だったり電話やメールだったりという違いはありますが、自分が手紙を送ったり問い合わせたことに対して返事が来ない、という意味は同じですね。

この例文の中で連絡が来ないことを「連絡が来ない」「返事が来ない」という言い方をしてももちろん意味は伝わります。では「梨の礫」を使った場合はどうでしょうか。同じ「連絡が来ない」「返事が来ない」を表現することに加えて「投げた礫はかえらない」という語源から、返事が来なくてしーんと静まり返っている様子が強調され文章やその意味に深みがでます。

「梨」を含む言葉

果物の名前を使った言葉はいろいろありますが「梨」を含む言葉は他にどのようなものがあるのでしょうか。「日陰の梨」「梨園」などがそうですね。「日陰の梨」はその名の通り、日の当たらない場所の梨は味が良くないことから形が整っていても内容が悪いことの例えで使われ、「梨園」は中国からきている言葉で、唐の玄宗が梨の庭園で音楽を教えたことから一般社会の常識からかけ離れた特殊社会としての歌舞伎の世界をさします。

他の果物でも代用できそうですが「梨の礫」同様、それぞれの言葉には梨でなくてはならない理由がきちんとあるのですね。

\次のページで「「梨の礫」類義語・対義語は?」を解説!/

「梨の礫」類義語・対義語は?

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「梨の礫」の類義語・対義語にはどのようなものがあるのでしょうか。「梨の礫」そのものの言葉を理解するのはもちろん大切ですが類義語・を知ると言葉の理解が深まったり、使い方のイメージが広がります。早速順番に確認していきましょう。

類義語:「無反応」「鉄砲玉」

「梨の礫」の類義語として「無反応」「鉄砲玉」があげられます。「無反応」はその文字のとおりリアクションがない様子、「鉄砲玉」は行ったきりで戻ってこない人間のこと。状況が確認できない状態になるということでは「梨の礫」と同じですが、「梨の礫」は手紙やメールなどの通信が途絶える、「無反応」「鉄砲玉」は通信に限らず人なども対象になりますので文章やその意味を理解して使い分けをする必要があるということがわかります。

対義語:「二つ返事」

「梨の礫」の対義語として「二つ返事」があげられます。「梨の礫」の「音沙汰のないこと」に対して二つ返事」は「快く承諾すること、はいはいとすぐに返事をすること」という意味が。日常生活でも実際に勢いよく「はいはい!」と返事をすることがよくありますが、これはあきらかに「梨の礫」の対義語と言えますね。

「梨の礫」を理解して積極的に使おう!

「梨の礫」についてお話してきました。「梨の礫」の意味や使い方はもちろんのこと、「梨」には特にしっかりとした意味はないけれども他の果物ではなく「梨」でなくてはならない理由があったり「礫」には意味はほぼ同じでも読み方がたくさんあるということもわかりましたね。

言葉だけの話ではありませんが疑問に感じたことを調べていくとそのこと以外にも知らなかったことがでてきて、さらに興味が広がりますね。最近は調べたいと思ったらすぐに調べることができるツールがたくさんあります。それほど時間もかかりませんから是非調べる癖を身に着けて日々知識を増やしていきたいですね。

「梨の礫」、ちょっとした日常会話に使える言葉ですので忘れないように積極的に使っていきましょう!

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国語言葉の意味

「梨の礫」の意味と使い方は?「梨」に意味はあるの?語源・類義語など元外商の筆者がわかりやすく解説!

今日は「梨の礫」について解説する。
この「梨の礫」、聞いたことはあるかもしれないが意味や語源などを説明できる人は多くはないかもしれませんね。
今日は元外商出身のねことすなを呼んです。「梨の礫」について一緒に確認していこう。

ライター/ねことすな

ホテル・百貨店で多くのお客様と接してきたライター。現在も言葉を最大のコミュニケーションツールとして日々活動しつづけている。元外商出身の経験から「相手の気持ちを創造する」言い回しが得意。

「梨の礫」の意味・語源は?

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「梨の礫」という言葉、知っていますか?何となく聞いたことはあっても意味がわからなかったり語源となると何のことやら…という人も多いかと思います。

ここではまず「梨の礫」の意味と語源について一緒に確認していきましょう。

「梨の礫」の意味は「音沙汰のないこと」

「梨の礫」は「なしのつぶて」と読み「梨」は果物の梨、「礫」は小石や砂利という意味があります。この「梨」と「礫」の意味を組み合わせても「梨の礫」がどのような意味を持つのか、想像するのは難しいですね。

まず辞書で意味を確認していきましょう。

音沙汰のないこと。音信のないこと。投げた礫(つぶて)はかえらないところから、「梨」を「無し」にかけて語呂を合わせていう。「なしの礫もない」の形で、意味をさらに強めていう。

(出典 コトバンク 精選版 日本国語大辞典「梨の礫」)

「梨の礫」の意味は「音沙汰のないこと」「音信のないこと」という意味です。ではなぜ「梨」(果物の梨)と「礫」(小石や砂利)の組み合わせで「音沙汰のないこと」の意味を表現することになったのか、頭の中で考えてもなかなか答えにたどりつくことは難しいですね。語源を見ていくとその意味がわかるかもしれません。なぜ「梨の礫」という言葉が生まれたのか、理由を考えながら一緒に見ていきましょう。

「梨の礫」の語源は「礫」にある!「梨」は語呂合わせ?

「梨の礫」の語源と言われてもすぐには想像しがたいですね。

「梨」と「礫」それぞれ分けて見てみましょう。まず「礫」。ここでは「つぶて」と読みますが他に「れき」「たぶて」「ざれ」とも読み「小さい石」「砂利」などの意味があります。投げた「礫」はかえらないことから「音沙汰のない」という意味を表すようになりました。では「梨」を使う意味はあるのか、他の果物でもいいのではないかという疑問が生まれますが、これには特別な意味はなく「なし」を「無し」にかけて音沙汰のないことを強調しているとされています。

辞書の部分でも触れていましたが「梨」を「無し」にかけて語呂合わせ、「なし」を「無し」にかけて音沙汰のないことを強調しているとは。まさに「梨」が「無くても」いいのではないかと思ってしまいますが、同時に語源のユニークさが表現されていておもしろいですね。

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