この記事では「辱める」について解説する。

端的に言えば辱めるの意味は「恥をかかせる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元国語科教員のminを呼んです。一緒に「辱める」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/min

高等学校の国語科教員として、授業や受験対策、小論文の講座を3年間経験。主に現代文を担当し、言葉に関する指導を幅広く経験してきた。現在はWebライターを目指して勉強中。

「辱める」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「辱める」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「辱める」の意味は?

「辱める」には、次のような意味があります。

はずかし・める〔はづかしめる〕【辱める】

1 恥をかかせる。恥辱を与える。

2 地位や名誉などを傷つける。けがす。また、自分の力量以上の地位や役職につく。

3 女性を犯す。凌辱する。

出典:デジタル大辞泉(小学館)

はずかしめる」という読む言葉は、難読漢字として扱われることも多いです。また送りがなにも注意しましょう。

辞書の意味を大きく捉えると「恥をかかせる、恥を与える」「名誉・地位を傷つける」ということを意味します。女子、女性に対して使用する場合には、3の意味で解釈されることも多いため、使う文脈には注意するようにしてください。

ここでは主に使われる1、2の意味を中心に解説していきます。より詳しい内容を以下にて確認していきましょう。

「辱める」の語源は?

語源は「辱める」という漢字を軸にして説明します。

この「」という漢字は、「屈辱」「侮辱」といった熟語でも使われている漢字です。分解すると「辰」と「寸」に分られ、「辰」は草刈りの道具を、「寸」は手を表します。

もともとは「草刈り具で草を刈る」という意味でしたが、そこから転じて「せっかく芽生えたものを刈り取って恥をかかせる」ことまで意味するようになり、そこから「恥をかかせる」という意味で「辱」という漢字になったと言われているのです。確かに、自分が苦労して植えたものを勝手に刈り取られるなんて、屈辱的ですよね。

この漢字を覚えておけば、「屈辱」などの熟語の意味を把握するヒントになりますので、ぜひ頭に入れておきましょう。

\次のページで「「辱める」の使い方・例文」を解説!/

「辱める」の使い方・例文

「辱める」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.店長から、何人かの客の前で叱られるという辱めを受けた。
2.同志だと信じていた相手から辱められるのはショックが大きい。
3.悪気のない正直な評価が結果として、彼を辱めることになってしまった。

基本的には「人に恥ずかしい思いをさせられた」「名誉を傷つけられた」という場合に、受け身の形で使われるのが一般的です。名詞にしたい場合は「辱め」という形に置き換えれば解決します。そうした場合の表現は「辱めを受ける」という表現になりますし、「辱められる」とそのまま受け身の形にしても問題ありません。

「誰かに不名誉な思いをさせた」という場合には、3のような形でそのまま使用することができます。しかし、この表現を使う場面はできるだけ避けたいですね。

「辱める」の類義語は?違いは?

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次に、「辱める」の類義語や、関連する言葉や表現を説明していきます。類義語はニュアンスの違いも含めてぜひチェックしてみてください。

辱めるの類義語「踏みにじる」

「人の思いを踏みにじる」というような表現で、よく耳にしたことがあるのではないでしょうか。

もともとは「ものを踏みつけて荒らす」というところから転じて「相手の立場や考えを無視して傷つける」の意で使われるようになりました。「大切なものを傷つける」という意味で、「辱める」の類義語として挙げられる表現です。

ニュアンスとしては、「辱める」は「名誉や地位、尊厳を傷つける」という意味で用いられるのに対し、「踏みにじる」は「人の気持ち、思い、考え方」を傷つけたり、無下にしたりする行為のことを指します。

完全に同じ意味ではなく、傷つける対象に違いがあるということをしっかり覚えておきましょう。

\次のページで「「辱」を用いたことわざ」を解説!/

「辱」を用いたことわざ

類義語にはならないかもしれませんが、参考に「辱め」の「辱」という漢字を使ったことわざを1つ紹介します。

衣食を足りて栄辱を知る」ということわざをご存知でしょうか。このことわざには、「栄辱」という、「辱」という漢字を含んだ熟語が用いられています。

栄辱」とは「ほまれと辱め」のことを指す言葉です。つまりこのことわざは「人は衣食などの生活に困らなくなって初めて、なにが大切か・なにが恥ずべきことかがわかるようになる」という意味になります。

さらにレベルアップしたいという方は、こちらも合わせてぜひ理解しておきましょう。他にもいくつか「辱」を使ったことわざは存在していますので、ぜひ辞書で検索してみてください。

「辱める」の対義語は?

「恥をかかせる」「地位や名誉を傷つける」という意味の「辱める」の反対語には、どんな言葉があるでしょうか。以下で確認してみましょう。

辱めるの対義語「尊重する」

相手の名誉を傷つけるのが「辱める」であれば、対義語となるのは「相手に敬意をはらう」という意味ではないでしょうか。そうした表現として挙げられるのは「尊重する」や「敬う」という言葉です。

どんなときでもどんな相手にも、敬意をはらうことは忘れないでいたいですね。

「辱める」の英訳は?

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最後に、「辱める」の英語表現について解説していきます。様々な形で英訳が可能ですので、ぜひ理解しておきましょう。

辱めるは英語で「insult」

まずは「insult」という単語が「辱める」と直接訳すことができる動詞として挙げられます。他にも「shame(恥)」という名詞の単語を使って「put 〜 to shame」で「〜を辱める」といった表現も可能です。

また、名詞では「humiliation」という「恥をかかせる・かかされる」という単語も存在しています。どれも「辱める」と訳すことができるだけでなく、英作文を書くときにどの表現が書きやすいか・それまでの文章に合うかまで検討できるようになるといいですね。

以下にそれぞれの例文を用意していますので、最後にチェックしてみてください。

He was insulted by his colleagues.
彼は同僚から辱めを受けた。


I was put to shame in the presence of the guest.
僕は客の面前で辱められた。


I can no longer endure such humiliations. (no longer:もはや endure:耐える)
こんなに辱めを受けたんだ、私はもう黙っていられない。

\次のページで「「辱める」を使いこなそう」を解説!/

「辱める」を使いこなそう

この記事では「辱める」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「侮辱」「屈辱」「恥辱」といった熟語でよく目にする漢字を使った表現です。難読漢字としてよく扱われるので、まずは読み方や送り仮名からしっかり覚えておきたいですね。

意味をみてみると桜木先生のおっしゃる通り、使う場面が少ないこと願うばかりですね。くれぐれも使い方には間違えないように、類義語との使い分け方や英語表現も合わせてしっかりと理解し語彙力アップを目指しましょう。

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国語言葉の意味

「辱める」の意味や使い方は?例文や類語を元国語科教員がわかりやすく解説!

「辱」を用いたことわざ

類義語にはならないかもしれませんが、参考に「辱め」の「辱」という漢字を使ったことわざを1つ紹介します。

衣食を足りて栄辱を知る」ということわざをご存知でしょうか。このことわざには、「栄辱」という、「辱」という漢字を含んだ熟語が用いられています。

栄辱」とは「ほまれと辱め」のことを指す言葉です。つまりこのことわざは「人は衣食などの生活に困らなくなって初めて、なにが大切か・なにが恥ずべきことかがわかるようになる」という意味になります。

さらにレベルアップしたいという方は、こちらも合わせてぜひ理解しておきましょう。他にもいくつか「辱」を使ったことわざは存在していますので、ぜひ辞書で検索してみてください。

「辱める」の対義語は?

「恥をかかせる」「地位や名誉を傷つける」という意味の「辱める」の反対語には、どんな言葉があるでしょうか。以下で確認してみましょう。

辱めるの対義語「尊重する」

相手の名誉を傷つけるのが「辱める」であれば、対義語となるのは「相手に敬意をはらう」という意味ではないでしょうか。そうした表現として挙げられるのは「尊重する」や「敬う」という言葉です。

どんなときでもどんな相手にも、敬意をはらうことは忘れないでいたいですね。

「辱める」の英訳は?

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最後に、「辱める」の英語表現について解説していきます。様々な形で英訳が可能ですので、ぜひ理解しておきましょう。

辱めるは英語で「insult」

まずは「insult」という単語が「辱める」と直接訳すことができる動詞として挙げられます。他にも「shame(恥)」という名詞の単語を使って「put 〜 to shame」で「〜を辱める」といった表現も可能です。

また、名詞では「humiliation」という「恥をかかせる・かかされる」という単語も存在しています。どれも「辱める」と訳すことができるだけでなく、英作文を書くときにどの表現が書きやすいか・それまでの文章に合うかまで検討できるようになるといいですね。

以下にそれぞれの例文を用意していますので、最後にチェックしてみてください。

He was insulted by his colleagues.
彼は同僚から辱めを受けた。


I was put to shame in the presence of the guest.
僕は客の面前で辱められた。


I can no longer endure such humiliations. (no longer:もはや endure:耐える)
こんなに辱めを受けたんだ、私はもう黙っていられない。

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