この記事では「悶々」について解説する。

端的に言えば悶々の意味は「大いに悩み苦しむこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「悶々」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「悶々」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんは悶々という言葉の意味や使い方をご存知ですか?日常生活でも「悶々と考え込む」などと使われることが多いので聞いたことがある人は多いかと思います。しかし、「じゃあ悶々ってどんな意味?」と聞かれると、意外とその詳しい意味を知らない人も多いはず。今回は、そんな「悶々」について解説したいと思います。

それでは早速「悶々」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「悶々」の意味は?

「悶々」には、次のような意味があります。

大いに悩み苦しむこと、またそのさま。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「悶々」は「もんもん」と読み、非常に悩み苦しんでいるという精神状態を表す言葉です。苦しくて身をねじり動かす意味を持つ「悶える」という漢字が使われていることから、その苦しみの程度がとても強いものであることがわかります。

この「悶々」を理解するうえで重要なポイントは、声や態度に出して悩み苦しむのではなく、心の中で悩み苦しむという点にあります。そのため、苦しんでいる人が「悶々」とした状態であるかどうかを見た目で判断することはできません。

「悶々」は、しばしば、語感が似た「もやもや」や「ムラムラ」と混同されることがあります。しかし、「もやもや」はストレスの原因がもやが立ち込めたように事情がはっきりしない、わからないという意味、「ムラムラ」は劣情が激しく起こることを意味しているため「悶々」とは意味が異なるのです。特に、「ムラムラ」は性的欲求に関連付けて使用されることが多いので、「悶々」と間違わないように注意してください。

「悶々」の使い方・例文

「悶々」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「悶々」の類義語は?違いは?」を解説!/

1.悶々とした思いが晴れないまま出社した。
2.彼が浮気しているのではないかと思うのだが、証拠がないので悶々としている。
3.悶々と考え込むだけでは何も解決できないが、そうとわかっていても動き出す気になれない。

ここでは3つの例文を挙げました。いずれも、並々ならない苦しみを胸の内に抱えた状態を表しています。なお、「悶々」はそれ単体で使用されることはあまりありません。例文で挙げている「悶々とした悩み」のように「悶々とした~(名詞)と名詞につなげて使用されたり、「悶々と考える」のように「悶々と~(動詞)」と動詞につなげて使用されたりすることが多いので覚えておきましょう。

「悶々」の類義語は?違いは?

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大いに悩み苦しむことを表す「悶々」の類義語には何があるでしょうか。

その1「鬱々」

「鬱々」は「うつうつ」と読み、「悶々」と似た意味を持つ言葉です。心がふさいで晴れ晴れとしない精神状態を表す際に使用されます。憂鬱な気分を現す「鬱」という漢字が繰り返し使われていることで、心がふさいだ状態の程度がとても強いことを示しているのです。
また、「鬱々」には草木が生い茂る様子を表す意味もあります。この意味は「悶々」にはないので、一緒に覚えておきましょう。

1.仕事で大きいミスをして周りに迷惑をかけてしまい、鬱々とした気持ちになる。
2.清々しい天気なのに、昨夜の彼女との喧嘩が尾を引いて鬱々とした気持ちだ。
3.暗くドロドロしたシーンの多いこの映画は、観た人を必ず鬱々とした気持ちにさせることで有名だ。

\次のページで「その2「煩悶」」を解説!/

その2「煩悶」

「煩悶」は「はんもん」と読み、心理的・身体的な苦しみなど、色々と苦しみ悩むことを意味する言葉です。「悶々」と同様に、「悶」という漢字が使われていることで、その苦しみの度合いが強いということがわかります。
また、「煩悶」は煩わしく悶えるということなので、苦しみが外にまで現れてしまうのがポイント。そのため、胸の内で悩み苦しむ「悶々」とは異なるので使い分けられるように覚えておきましょう。


1.犯した罪の大きさに気づき、罪悪感に煩悶し続ける。
2.身分の違いのせいで報われない彼女との恋に一人煩悶する。
3.いじめられていたあの子に手を差し伸べることができなかったと、今も煩悶たる思いに駆られることがある。

その3「見悶える」

「身悶える」は「みもだえる」と読み、苦しんで体をゆすり動かすことを意味する言葉です。これは、体がねじれてしまうほど苦しみの度合いが強いことを表します。そのため、「悶々」のように内の中で苦しむのではなく外に出るほど苦しい状態なのだと覚えておきましょう。しか

1.彼女の突然の死に、身悶えして嗚咽を漏らし続ける。
2.突然腹痛に襲われ、あまりに激しすぎる痛みに見悶えする。

「悶々」の対義語は?

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「悶々」には明確な対義語はありません。しかし、あえて大いに苦しみ悩むことの反対の意味を挙げるなら以下の言葉が考えられるのではないでしょうか。

その1「ほっこり」

「ほっこり」とは、ホカホカと温かい様子や色艶がよく鮮やか様子、温かく落ち着くさまを意味する言葉です。この言葉は、ものが温かい様子を表す以外に、心が安らいだり癒されたりして落ち着いている心理的な状態を表したり、体がぽかぽかと温まって落ち着くなどの身体的な状態を表したりする際に使用されます。なお、色艶がよく鮮やかという意味は現代ではほとんど使われていないので念のため覚えておきましょう。

\次のページで「その2「安堵」」を解説!/

1.カップルが幸せそうに手をつないで歩いているのを見て、こちらまで心がほっこりした。
2.ゆっくりと温泉に入って心身ともにほっこりした。
3.ほっこりしたスープを飲んで体が温まった。

その2「安堵」

「安堵」は「あんど」と読み、安心すること、心が落ち着くことを意味する言葉です。何か心配事や気がかりなことがあると心がざわざわして落ち着く無いものですよね。そういった問題がなくなってほっと安心したときの精神状態を表すときに使用されます。なお、「安堵」には居所に安住することや土地の所有権や知行権を承認するという意味もありますが、現在は、心が落ち着くという意味で使用するのが一般的です。

1.締め切りギリギリで課題を提出できたので、安堵の胸をなでおろす。
2.交通事故に遭ったと聞いて心配していたが、無事であると知り安堵した。
3.模試で志望大学の合格ラインやっとを越えられて安堵する。

「悶々」を使いこなそう

この記事では「悶々」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「悶々」とは大いに悩み苦しむことで、精神状態を表す際に使用される言葉です。この「悶々」とした苦しみは胸の内にあるものなので、外には見えないということを覚えておきましょう。

また、類義語として「鬱々」「煩悶」「身悶える」を挙げました。これらの意味はいずれも落ち込んでいる状態を表していますが、それが身体的にか精神的にかは言葉によってニュアンスが変わってくるのでしっかり覚えておきましょう。

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国語言葉の意味

「悶々」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒現役ライターライターがわかりやすく解説!

この記事では「悶々」について解説する。

端的に言えば悶々の意味は「大いに悩み苦しむこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「悶々」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「悶々」の意味や語源・使い方まとめ

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皆さんは悶々という言葉の意味や使い方をご存知ですか?日常生活でも「悶々と考え込む」などと使われることが多いので聞いたことがある人は多いかと思います。しかし、「じゃあ悶々ってどんな意味?」と聞かれると、意外とその詳しい意味を知らない人も多いはず。今回は、そんな「悶々」について解説したいと思います。

それでは早速「悶々」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「悶々」の意味は?

「悶々」には、次のような意味があります。

大いに悩み苦しむこと、またそのさま。

出典:大辞林 第3版(三省堂)

「悶々」は「もんもん」と読み、非常に悩み苦しんでいるという精神状態を表す言葉です。苦しくて身をねじり動かす意味を持つ「悶える」という漢字が使われていることから、その苦しみの程度がとても強いものであることがわかります。

この「悶々」を理解するうえで重要なポイントは、声や態度に出して悩み苦しむのではなく、心の中で悩み苦しむという点にあります。そのため、苦しんでいる人が「悶々」とした状態であるかどうかを見た目で判断することはできません。

「悶々」は、しばしば、語感が似た「もやもや」や「ムラムラ」と混同されることがあります。しかし、「もやもや」はストレスの原因がもやが立ち込めたように事情がはっきりしない、わからないという意味、「ムラムラ」は劣情が激しく起こることを意味しているため「悶々」とは意味が異なるのです。特に、「ムラムラ」は性的欲求に関連付けて使用されることが多いので、「悶々」と間違わないように注意してください。

「悶々」の使い方・例文

「悶々」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

\次のページで「「悶々」の類義語は?違いは?」を解説!/

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