

端的に言えば取り繕うの意味は「うわべを飾ってごまかす」だが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。
さまざまな分野の本に触れ、知識を培ってきた「つゆと」を呼んだ。一緒に「取り繕う」の意味や例文、類語などを見ていくぞ。

解説/桜木建二
「ドラゴン桜」主人公の桜木建二。物語内では落ちこぼれ高校・龍山高校を進学校に立て直した手腕を持つ。学生から社会人まで幅広く、学びのナビゲート役を務める。

ライター/つゆと
子供の頃からの筋金入り読書好きライター。むずかしい言葉や複雑な描写に出会っても、ねばり強く読みこんで理解することをポリシーとする。言葉の意味も、妥協なくていねいに解説していく。
「取り繕う」の意味は?
「取り繕う」には、次のような意味があります。
1.ととのえて見よくする。
2.不都合などを隠そうとしてうわべを飾る。
3.間に合わせに修繕する。
出典:デジタル大辞泉(小学館)「取り繕う」
「取り繕う」の読み方は「とりつくろう」。「取り繕う」とは、うわべを飾ってごまかすことです。「ごまかす」というと悪いことのようですが、礼儀としてちょっと「ごまかす」ことから、うそをつくような「ごまかす」まで、やはり「ごまかす」というニュアンスをもってこそ正しく使える言葉といえます。
上の1の意味は、外見をととのえて「ごまかす」こと。「汗でメイクが落ちたがパウダーを乗せて取り繕う」「人の通り道だけは取り繕ってきれいにした」のように使います。2の意味は、知られたくない真実や失敗を「ごまかす」ことです。「実は課題には手をつけていないのだが、やっているように取り繕ってその場をしのいだ」のように使います。
3は、ちょこっと修繕すること。「ごまかし」程度に、という感じでしょうか。「壁に刺した画鋲のあとを、補修テープで取り繕う」のように使います。完全に直すときは「取り繕う」とは言いません。
「取り繕う」の語源は?
次に「取り繕う」の語源を確認しておきましょう。「取り繕う」の言葉は「取り」と「繕う」に分けられます。「取り」の部分は接頭語です。特に意味は持たず、「繕う」の意味を強調する働きがあります。「取り扱う」の「取り」と同じですね。
「繕う」はメインの意味を担う言葉です。その意味は「衣服などのやぶれたところを直す」「身なりなどの見た目や体裁をととのえる」「過失をかくしてうまくやる」と、「取り繕う」とほぼ同じ。「取り繕う」の言葉は「繕う」が元になっているのです。
「繕う」の古語である「繕ふ(つくろふ)」は、平安時代の作品にはすでに登場しています。古文では「直す(修理)」以外に「治す(治療)」の意味でも使われますよ。現代では「治療する」の意味で「繕う」が使われることはありません。
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