この記事では「勤行」について解説する。

端的に言えば勤行の意味は「お坊さんのお勤め」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元予備校校舎長で国語指導歴の長い教育系ライターのみゆなを呼んです。一緒に「勤行」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「勤行」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

勤行」は「ごんぎょう」と読みます。日常で頻繁に使う言葉ではありませんね。「勤行」は仏教で使われる言葉です。今回は「勤行」の意味や語源・使い方を見ていきます。具体的にどんなことをするのか、また宗派によって違いはあるのかなど、深く理解していきましょう。

「勤行」の意味は?

「勤行」には、次のような意味があります。

1.仏道を修行すること。
2.仏前で、一定の時を定めて行う読経・回向など。お勤め。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「勤行」

「勤行」とは宗派の経典に合わせて「おつとめ」を行うことを指します。仏教徒として善い行いをすることが目的であり、お坊さんが仏前でお経を読むことも含まれますし、家庭で仏壇に手を合わせることも「勤行」です。一周忌などの法要も「勤行」に含まれます。宗派によって細かく違いはありますが、一般的には「仏教徒としての善行」全てを含むと理解していて構いません。

「勤行」の宗派ごとの違いは?

厳密には仏教の宗派によって「勤行」の内容は変わります。代表的なものを見てみましょう。

【天台宗】
朝夕2回。懺悔文・般若心経・開経偈などの念仏や経典を使って行う。焼香が必要。

【真言宗】
手と口を水でゆすいで清らかにしてから、懺悔文、般若心経、三帰、などの経典を使って行う。

【浄土宗】
朝夕の2回。三宝礼、懺悔偈、十念などの念仏や経を御本尊である阿弥陀如来の前で唱える。

【曹洞宗】
朝夕の2回。勤行の前に仏前で正座し、深呼吸する。三尊礼文・修証義・四弘誓願などを唱える。

【臨済宗】
1日に1回。坐禅和讃・舎利礼文・宗門安心章といった経典や念仏を唱える。

【日蓮宗】
勧請・妙法蓮華経方便品第二・同如来寿量品第十六・お題目などを唱える。

\次のページで「「勤行」の語源は?」を解説!/

「勤行」の語源は?

次に「勤行」の語源を確認しておきましょう。

」は「つとめる」という意味ですね。この漢字は「働く、仕事をする」という意味のほかに、「仏道に励む」という意味を持っています。「」は「おこなう」という意味ですね。古典文学の時代から、「仏道をおこなう」という意味で用いられてきました。

つまり「勤行」の文字はいずれも「仏道に励む」という意味を持っているのです。この2つの文字が重なることで、「勤行」は「仏教のおつとめをする」という意味になりました。

「勤行」の使い方・例文

「勤行」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.信州の善光寺はお朝の勤行に当たる「御朝事法要」を毎日行っている。善光寺住職が本堂においでになる道すがら、参道に並ぶ一般の人の頭を数珠で触れ功徳を分け与える光景は「お数珠頂戴」として有名だ。
2.人生も折り返しを過ぎた。これまでいろいろあったが、無事に生きていられるのもご先祖のおかげだと思う。これからは毎朝夕、私も仏前に手を合わせ勤行にいそしもう。

例文1はお坊さんたちの「おつとめ」について触れた文章です。長野県にある善光寺では、毎朝本堂で行われる「勤行」に向かう住職さんたちが、道に並ぶ一般の人に功徳を分け与えてくださいます。「お数珠頂戴(おじゅずちょうだい)」と言って、観光名物にもなっている光景です。

例文2は家庭でできる「勤行」の例をあげました。草葉の陰から見守ってくれているご先祖様に手を合わせ感謝する気持ちは、どんな世の中になっても忘れたくないものですね。

「勤行」の類義語は?違いは?

image by iStockphoto

「勤行」と同じ意味を持つ言葉は非常に数多くあります。その中から「無言で祈る」「声を上げて経典を読む」というそれぞれの意味に合わせて類義語を4つご紹介しましょう。

その1「黙祷」

1つ目は「黙祷(もくとう)」です。「無言のまま心の中で祈ること」という意味ですね。原爆の日や終戦記念日にサイレンともに黙祷をささげた経験がある人も多いでしょう。仏教に限らず「無言で祈ること」全般に使える言葉です。

\次のページで「その2「合掌」」を解説!/

その2「合掌」

2つ目は「合掌(がっしょう)」です。「仏教徒が、顔や胸の前で両の手のひらと指を合わせて、仏・菩薩 (ぼさつ) などを拝むこと」という意味ですね。インドから仏教と共に伝来しました。したがって「合掌」して祈念するのはお寺です。神社では拍手はしますが、「合掌」はしません。

その3「読経」

3つ目は「読経(どきょう)」です。「声を出してお経を読むこと」という意味ですね。元々は経典を人々に広めるために行っていたものでした。最近は読経の行為自体が宗教的な意味合いを持つようになっています。

その4「諷誦」

4つ目は「諷誦(ふうしょう・ふうじゅ)」です。聞き慣れない言葉ですが、こちらも「声を上げて読むこと。特に、経文を読み唱えること」という意味を持っています。

「勤行」の対義語は?

残念ながら「勤行」に対義語はありません。「仏道のお勤め、読経」という意味には反対言葉が存在しようがないですよね。

「勤行」の英訳は?

image by iStockphoto

「勤行」は仏教の言葉であり、とても日本的な意味合いを持っています。英語で表現したい場合は、どのように言えば良いのでしょうか。

その1「a religious service」

まず「a religious service」という表現を見てみましょう。「religious」は「宗教的な」という意味、「service」は「サービス、行動、おこない」という意味です。「勤行」が仏教という宗教特有の行動であることを直訳的に表現した言葉になります。

A chief priest went to a religious service held in the morning.
「住職は朝の勤行に向かわれた」

\次のページで「その2「a gongyo」」を解説!/

その2「a gongyo」

英語に訳しにくい「勤行」をそのまま「a gongyo」として用いる例もあります。日本語がそのまま英語になった例ですね。他には「karoshi(過労死)」「tsunami(津波)」などがあります。

Should be read in the evening gongyo on the 12th of every month.
「毎月12日夕の勤行で拝読する」

「勤行」を使いこなそう

この記事では「勤行」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「勤行」はお坊さんや住職さんだけが行うものではありません。仏さまに感謝し手を合わせ、心の中で知っているお経のワンフレーズを唱えるだけでも「勤行」です。仏教は日本人の心に古来からあるもの。ふとしたときに心を寄り添わせるひと時が、生きづらい世の中でほっとした時間を与えてくれるかもしれませんよ。

" /> 「勤行」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校校舎長がわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「勤行」の意味や使い方は?例文や類語を元予備校校舎長がわかりやすく解説!

この記事では「勤行」について解説する。

端的に言えば勤行の意味は「お坊さんのお勤め」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

元予備校校舎長で国語指導歴の長い教育系ライターのみゆなを呼んです。一緒に「勤行」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/みゆな

元大手予備校校舎長、現在は教育系のライター。国語、特に現代文の指導経験が豊富。難解な言葉や表現を中高生がスラスラ理解できるように解説するのが大得意。

「勤行」の意味や語源・使い方まとめ

image by iStockphoto

勤行」は「ごんぎょう」と読みます。日常で頻繁に使う言葉ではありませんね。「勤行」は仏教で使われる言葉です。今回は「勤行」の意味や語源・使い方を見ていきます。具体的にどんなことをするのか、また宗派によって違いはあるのかなど、深く理解していきましょう。

「勤行」の意味は?

「勤行」には、次のような意味があります。

1.仏道を修行すること。
2.仏前で、一定の時を定めて行う読経・回向など。お勤め。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「勤行」

「勤行」とは宗派の経典に合わせて「おつとめ」を行うことを指します。仏教徒として善い行いをすることが目的であり、お坊さんが仏前でお経を読むことも含まれますし、家庭で仏壇に手を合わせることも「勤行」です。一周忌などの法要も「勤行」に含まれます。宗派によって細かく違いはありますが、一般的には「仏教徒としての善行」全てを含むと理解していて構いません。

「勤行」の宗派ごとの違いは?

厳密には仏教の宗派によって「勤行」の内容は変わります。代表的なものを見てみましょう。

【天台宗】
朝夕2回。懺悔文・般若心経・開経偈などの念仏や経典を使って行う。焼香が必要。

【真言宗】
手と口を水でゆすいで清らかにしてから、懺悔文、般若心経、三帰、などの経典を使って行う。

【浄土宗】
朝夕の2回。三宝礼、懺悔偈、十念などの念仏や経を御本尊である阿弥陀如来の前で唱える。

【曹洞宗】
朝夕の2回。勤行の前に仏前で正座し、深呼吸する。三尊礼文・修証義・四弘誓願などを唱える。

【臨済宗】
1日に1回。坐禅和讃・舎利礼文・宗門安心章といった経典や念仏を唱える。

【日蓮宗】
勧請・妙法蓮華経方便品第二・同如来寿量品第十六・お題目などを唱える。

\次のページで「「勤行」の語源は?」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: