1.彼女の度重なる要求についに絆されて、お金を工面してあげることとなった。
2.子供たちがあまりにも純粋な笑顔でお願いしてくるので、情に絆されて週末のお出かけを承諾してしまった。
3.子犬の健気な表情に絆されて、家で飼うことになった。
「絆される」は、相手の強い熱意や必死な状況に気持ちを動かされてしまい、結局相手の要求をのむことになる場合に使われます。その場合には、例文1のように少し不本意なニュアンスを含むこともあるでしょう。また、素朴な言動などに触れて思わず相手に共感してしまったことによって気持ちが動かされたような場合にも使うことができます。例文3のように、良い意味で気持ちが繋ぎ止められるさまを表現することもできるのです。
その1「身につまされる」
「身につまされる」は、「他人の不幸などが、自分の境遇・立場と思い合わさって切実に感じられる」ことを表す言葉です。相手のありさまが自分の体をつねるようであるといった意味で、相手の状況が全く他人事ではなく、自分の身に起こっていることのように痛みを感じることを表現しています。「絆される」のように、相手の熱意や情に動かされるというニュアンスは持っていませんが、相手の状況に心動かされるといった点では似たような意味を持つ言葉であるといえるでしょう。
その2「押し切られる」
「押し切られる」は、「反対・抵抗・困難などを退けて目的を達しようとする」という意味を持つ「押し切る」を受け身の形にした言葉です。こちらが抵抗したり反対したりしているにも関わらず、相手の強引さに負けて要望をのまされるような時に使います。「絆される」のように情にひきつけられるというよりは、無理を通そうとする相手の力に負けたというニュアンスを持っていますね。
その3「吞まれる」
「吞まれる」は、「引き込まれる、取り込まれる」「相手や雰囲気に圧倒される、威圧される」という意味を持つ言葉です。「雰囲気に呑まれる」「感情に呑まれる」などというように使います。相手の強い力に気圧(けお)されるという意味ですから「絆される」とは少し違ったニュアンスですが、相手に動かされて思っていたのとは違う行動をとることになってしまうというところに共通点がありますね。
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