この記事では「紺屋の白袴」について解説する。

端的に言えば紺屋の白袴の意味は「他人のことに忙しくて、自分自身のことには手が回らないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は難関私大の文学部を卒業し、表現技法にも造詣が深い十木陽来を呼んです。一緒に「紺屋の白袴」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/十木陽来

難関私大の文学部卒ライター。現代文芸の表現技法を学びながら趣味で小説を書いたりもしてきた。その知識を使って様々な言葉の意味をわかりやすく丁寧に解説する記事を書いている。

「紺屋の白袴」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「紺屋の白袴」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「紺屋の白袴」の意味は?

「紺屋の白袴」には、次のような意味があります。

紺屋が、自分の袴は染めないで、いつも白袴をはいていること。他人のことに忙しくて、自分自身のことには手が回らないことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「紺屋の白袴」

「紺屋の白袴」は「他人のことに忙しく自分のことをする暇がない」という意味です。また「専門的な知識を持ちながらそれを自分に対して使わないこと」という意味でも用いられることがあります。これだけを聞くと自分のことよりも他人のことを優先しているので、一見すると他人のために働くほめ言葉のようにも見えてしまうかもしれません。しかし実際にはその道のプロでありながら自分のことを気にかけていない、というようなネガティブなニュアンスで用いられることが多いです。また、白袴を白足袋に変えた「紺屋の白足袋」ということわざもあります。

「紺屋の白袴」の語源は?

次に「紺屋の白袴」の語源を確認しておきましょう。「紺屋」とは藍染め屋のことを指し、のちに染物屋全般を指すようになりました。江戸時代、染物屋は大変に繁盛していました。それに加えて染物の専門知識を身に着け、その時々の流行にも対応していかなければならなかったため、とても忙しい仕事の一つという認識が広くありました。それだけ忙しいと自分の袴を染める時間すらない、ということから「紺屋の白袴」ということわざが生まれました。

\次のページで「「紺屋の白袴」の使い方・例文」を解説!/

「紺屋の白袴」の使い方・例文

「紺屋の白袴」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.あいつは優秀な鍛冶屋だが、よく売れてるからか最近使ってる包丁はスーパーで買ったものらしい。まさに紺屋の白袴だ
2.彼は銀行員として現金や預金口座を扱っているのに、タンス貯金を泥棒に盗まれるなんて紺屋の白袴だ。

例文1は忙しい余りに自分用の包丁を作れていない様子から「紺屋の白袴」ということわざが使われています。一方で例文2はお金を扱う仕事をしているのに自分のお金の管理がなっていないことから「紺屋の白袴」が使われていることがわかるでしょう。

「紺屋の白袴」の類義語は?違いは?

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「紺屋の白袴」と同じような意味を持つことわざは沢山あります。その中のいくつかをご紹介しましょう。

\次のページで「その1「医者の不養生」」を解説!/

その1「医者の不養生」

「医者の不養生」とは「立派なことを言うが実態が伴っていないこと」を表すことわざです。医者として健康に関する知識があるにもかかわらず、健康のための養生をしていない様子からこのことわざが生まれました。専門知識があるにも関わらず自分に対して使っていないことから、「紺屋の白袴」の類義語として扱われています。

その2「易者身の上知らず」

「易者身の上知らず」とは「他人のことはあれこれ言うが、自分のことは何もわからないこと」を表すことわざです。「易者」とは占い師のことを指し、他人の運勢は占えるのに自分の運勢は占えない様子からこのことわざが生まれました。こちらも「医者の不養生」と同様、専門知識に関わることわざで、「紺屋の白袴」と似た意味を持っていることがわかります。

その3「髪結い髪結わず」

「髪結い髪結わず」とは「他人のために技術を使ってばかりで、自分に手が回らないこと」という、「紺屋の白袴」とほぼ同じ意味を持っています。髪結いは他人の髪を結うばかりで、自分は乱れ髪のままであった様子から生まれたことわざです。

その4「大工の掘っ立て」

「大工の掘っ立て」とは「他人の世話ばかりして、自分のことに手が回らない、もしくは無関心なこと」を表すことわざです。大工として他人のために立派な家を建てているにもかかわらず、自分は粗末な掘っ立て小屋に住んでいる様子からこのことわざが生まれました。「紺屋の白袴」「髪結い髪結わず」と似たようなニュアンスであることが伺えますね。

「紺屋の白袴」の対義語は?

「紺屋の白袴」には明確な対義語がありません。ただ「仕事が忙しい」という観点から見ると、あのことわざが浮かんできます。

「閑古鳥が鳴く」

「閑古鳥が鳴く」には「客が来なくて商売がはやらない」という意味があります。自分を気にかけられないほど忙しい「紺屋」とは対照的ですね。

\次のページで「「紺屋の白袴」の英訳は?」を解説!/

「紺屋の白袴」の英訳は?

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英語圏にも「紺屋の白袴」と同じ意味を持つことわざがいくつかあります。仕事が忙しくて自分のことに手が回らない職人というのは、世界各国にいたみたいですね。

その1「The dyer wears white.」

「The dyer wears white.」は直訳すると「染め物師は白い服を着る」となります。もうそのまんま「紺屋の白袴」とほぼ同じニュアンスであることが伝わるでしょう。英語圏でも染物屋は忙しかったようです。

その2「The shoemaker’s children go barefoot.」

「The shoemaker’s children go barefoot.」は直訳すると「靴屋の子供たちは裸足で歩く」という意味になります。靴屋として他人の靴を作るのに忙しく、自分の子供の靴を作る暇もないということで、「紺屋の白袴」と通じるところがあることがわかるでしょう。

その3「Specialists often fail to apply their skills to themselves.」

「Specialists often fail to apply their skills to themselves.」は直訳すると「専門家はよく持っている知識を自分たちに使わない」という意味になります。忙しさよりも知識の方に重きが置かれていますが、「紺屋の白袴」と似た意味を持っていることがわかるでしょう。

「紺屋の白袴」を使いこなそう

この記事では「紺屋の白袴」の意味・使い方・類語などを説明しました。特に類義語に関しては、「紺屋の白袴」と同じような意味を持つことわざが紹介したもの以外にもたくさんあります。興味のある方はぜひ調べてみてくださいね。

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【ことわざ】「紺屋の白袴」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒Webライターがわかりやすく解説!

この記事では「紺屋の白袴」について解説する。

端的に言えば紺屋の白袴の意味は「他人のことに忙しくて、自分自身のことには手が回らないこと」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

今回は難関私大の文学部を卒業し、表現技法にも造詣が深い十木陽来を呼んです。一緒に「紺屋の白袴」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/十木陽来

難関私大の文学部卒ライター。現代文芸の表現技法を学びながら趣味で小説を書いたりもしてきた。その知識を使って様々な言葉の意味をわかりやすく丁寧に解説する記事を書いている。

「紺屋の白袴」の意味や語源・使い方まとめ

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それでは早速「紺屋の白袴」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「紺屋の白袴」の意味は?

「紺屋の白袴」には、次のような意味があります。

紺屋が、自分の袴は染めないで、いつも白袴をはいていること。他人のことに忙しくて、自分自身のことには手が回らないことのたとえ。

出典:デジタル大辞泉(小学館)「紺屋の白袴」

「紺屋の白袴」は「他人のことに忙しく自分のことをする暇がない」という意味です。また「専門的な知識を持ちながらそれを自分に対して使わないこと」という意味でも用いられることがあります。これだけを聞くと自分のことよりも他人のことを優先しているので、一見すると他人のために働くほめ言葉のようにも見えてしまうかもしれません。しかし実際にはその道のプロでありながら自分のことを気にかけていない、というようなネガティブなニュアンスで用いられることが多いです。また、白袴を白足袋に変えた「紺屋の白足袋」ということわざもあります。

「紺屋の白袴」の語源は?

次に「紺屋の白袴」の語源を確認しておきましょう。「紺屋」とは藍染め屋のことを指し、のちに染物屋全般を指すようになりました。江戸時代、染物屋は大変に繁盛していました。それに加えて染物の専門知識を身に着け、その時々の流行にも対応していかなければならなかったため、とても忙しい仕事の一つという認識が広くありました。それだけ忙しいと自分の袴を染める時間すらない、ということから「紺屋の白袴」ということわざが生まれました。

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