「平凡」「凡庸」
「至極」が「これ以上ない、他よりも優れた」といった意味もあることは前述しました。よって、「至極」の対義語は、「他より優れていることはない」というような意味になります。
であるならば、「平凡」や「凡庸」が対義語としてふさわしいでしょう。どちらも「これといった取り柄がなくて当たり前なこと」という意味があります。
ちなみにですが、「平凡」をさらに強調した「平々凡々」という言葉があることも付け加えておきましょう。他にも「平々たる」「凡々たる」「坦々たる」も同じような意味を持ちます。「至極」の対義語に、「何事もない、ありふれた」という意味を強調するため同じ漢字を重ねた言葉が多いのは、とても興味深いことではないでしょうか。
「extremely」「very」
「至極」の意味の1つである「この上ない」を英語で表現するには、「extremely」が1つの方法でしょう。技の華麗さとはうらはらに危険も付きまとうスポーツ競技を「extreme sports」(エクストリームスポーツ)と呼びますが、この「extreme」には「極端な、過激な」という意味があります。「extremely」はその副詞型です。
しかし、「至極」には「きわめて、まったく」という意味もあります。その場合は「very」という簡単な単語でもかまいません。たとえば、「至極幸せ」は「very happy」で十分通じます。
ただし、すべての「至極」が「extremely」や「very」で表すわけではないということも補足しなければなりません。「至極ごもっともだ」は「be quite right」と表現しますし、「〜は至極当然だ」は「it is reasonable that〜」などとなります。
「至極」を使いこなそう
この記事では「至極」の意味・使い方・類語などを説明しました。
多くの言葉を上手に使い分けられるということは、それは「至極便利」です。しかし、日本語の語彙数はとても多く、すべてを覚えようとすると「至極大変」でしょう。だからといって、言葉をないがしろにしてしまうのは「残念至極」と言えます。「至極」という言葉1つ取っても、使いこなすのは「至極難しい」ですが、スピーチの場面などでうまく使えばあなたへの印象がさらに良くなるでしょう。「至極のスピーチ」などと言ってもらえるかもしれません。