この記事では「首ったけ」について解説する。

端的に言えば首ったけの意味は「深く心を奪われる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「首ったけ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「首ったけ」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 61241805

皆さんは「首ったけ」の意味をご存じですか?日常会話で「首ったけ」を使う人はなかなかいません。しかし、漫画や小説などの文章中で「あなたに首ったけ!」などと使われることのある言葉なので、見たり聞いたりしたことがあるという人もいるのではないでしょうか。今回は、そんな「首ったけ」について解説していきたいと思います。

それでは早速「首ったけ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「首ったけ」の意味は?

「首ったけ」には、次のような意味があります。

異性に深く心を奪われ、夢中になっているさま。

出典:出典:大辞林 第3版(三省堂)

「首ったけ」は「くびったけ」と読み、異性に恋愛感情を抱いてメロメロになっている様子を表す言葉です。首までどっぷりと沼にはまったように誰かを好きになることなので、好意を少しだけ持っている程度の気持ちを表す際に使うには適していません。また、辞書には対象が異性と書かれていますが、ジェンダーについて多様化している現在は恋愛対象が異性になるとは限らないので、異性だけでなく同性も対象として使用することができると考えられます。

「首ったけ」の語源は?

次に「首ったけ」の語源を確認しておきましょう。これは「首丈」という名詞の読み方が変化してできた言葉です。「首丈」とは足元から顎までの高さのことで、物事に深く入り込んだ様子を表します。このように、首まで深くはまり込んで抜けないという意味が、首までどっぷり沼るようにほれ込むことを表す「首丈」に変化したのです。

\次のページで「「首ったけ」の使い方・例文」を解説!/

「首ったけ」の使い方・例文

「首ったけ」の使い方を例文を使って見ていきましょう。この言葉は、たとえば以下のように用いられます。

1.たった一度会っただけなのに、私は彼に首ったけになってしまった。

2.あのカップルはお互いがお互いに首ったけで、見ているこっちが恥ずかしくなってくる。

3.昔は喧嘩してばかりだったあいつに、気が付いたら首ったけになっていた。

例文1と2はどちらも、相手にメロメロになっている様子を表す言葉です。特に、例文2では周りに気を回すことができないほどお互いにほれ込んでしまっています。このように「首ったけ」は周りが見えなくなるほど相手のことを好きになるほど程度の強い言葉です。少し気になっている程度の相手に使うのは不適切なので使わないようにしましょう

「首ったけ」の類義語は?違いは?

image by PIXTA / 63564525

ここにライティングを挿入してください。(200字程度まで)

その1「とりこ」

「とりこ」は漢字で「虜」と書き、ある事や人に夢中になって逃げだせない状態になること、心を奪われた状態を意味する、「首ったけ」と似た意味を持つ言葉です。しかし、「とりこ」の対象は芸術や娯楽など多岐に渡り、恋愛に限らないので注意しましょう。また、「とりこ」には戦争で敵に捕らえられた人間、捕虜という意味もあるので覚えておいてください。

\次のページで「その2「骨抜き」」を解説!/

・あまりの美しさに、常に彼女のことを考えてしまうほどとりこになってしまった。

・観客の心の奥に訴えかける彼の演技は、いつだって見る人をとりこにする。

・美術館の隅にひっそりと飾られた絵に、一目見た瞬間からとりこになった。

その2「骨抜き」

「骨抜き」は「ほねぬき」と読み、節操や気骨をなくさせることや、計画や案などから肝心の部分の抜き去って内容のないものにするという意味の言葉です。恋愛においては前者の状態を指し、デレデレと鼻の下を伸ばしてしまって相手中心になり何にも手が付かなくなっていることを表現します。また、後者の意味は大事な企画がダメになってしまった場合などビジネスシーンで使われることが多いです。なお、「骨抜き」には文字通り、魚・鶏料理で骨を抜きとるという意味もあります。

・彼女に言い寄られて骨抜きにならない男がいないはずがない。

・何か月もかけて考え練ってきた企画が、たった一度の会議で骨抜きにされ憤りを隠せない。

・まだ幼い子供のために時間をかけて丁寧に魚の骨抜きをする。

その3「心を奪われる」

「心を奪われる」とは、魅了されて強く心を引き付けられている状態を表す慣用句です。他の物事に注意をむけられないほど強く夢中になっていることを表します。また、「心を奪われる」対象は異性だけに限られておらず、何かの出来事や芸術などに幅広く使うことができるので覚えておきましょう。

・まっすぐに正面を見据える彼女の顔に、思わず心を奪われてしまった。

・小学生の時に読んだあの漫画に心を奪われて以来、漫画家になるために絵を描き続けている。

・冷蔵庫を替えようと家電量販店を訪れたのに、最新家電の便利さに心を奪われて関係ないものまでつい買ってしまいそうになる。

その4「泥沼」

「泥沼」は「どろぬま」と読みます。文字通り泥の沼を表すほか、一度入り込むとなかなか抜け出すことのできない悪い状態を表す言葉です。泥沼は一度足がはまってしまうと身動きを取ることができず、どんどん体が沈んでしまいます。そのような悪い状態のことを「泥沼」と表現するのです。なお、「泥沼」は状態を示すので、「首ったけ」とは違って恋愛以外の状態を説明する際にも使用できます。

\次のページで「「首ったけ」の対義語は?」を解説!/

・二股をしていたことが彼女にばれてしまい泥沼の喧嘩をする。

・両国の均衡が崩れ戦争が再び起こり、事態は泥沼化してしまった。

「首ったけ」の対義語は?

image by PIXTA / 75266471

「首ったけ」には明確な対義語がありません。しいて深く心を奪われることの反対の言葉を挙げるなら、がっかりして興味や面白みがなくなることを表す「興ざめ」や、気持ちが落ちる「萎える」が考えられるのではないでしょうか。

「首ったけ」を使いこなそう

この記事では「首ったけ」の意味・使い方・類語などを説明しました。

「首ったけ」は、恋愛感情を抱いている相手にメロメロになって夢中になるさまを表します。「首丈」という言葉が元になっている通り、首までどっぷりと浸かって簡単に抜け出せないほどの感情です。少しだけ気になっている相手に間違って使用して勘違いされることのないように、自分に合う言葉をしっかり使い分けましょう。

また、類義語として「とりこ」「骨抜き」「心を奪われる」「泥沼」を挙げました。それぞれの意味は似ていても、使用対象やシーンが異なる使い方をするので違いについても覚えておきましょう。

 

" /> 「首ったけ」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒現役ライターがわかりやすく解説! – Study-Z
国語言葉の意味

「首ったけ」の意味や使い方は?例文や類語を文学部卒現役ライターがわかりやすく解説!

この記事では「首ったけ」について解説する。

端的に言えば首ったけの意味は「深く心を奪われる」ですが、もっと幅広い意味やニュアンスを理解すると、使いこなせるシーンが増えるぞ。

高校で国語教師をしていた経歴を持つ、現役ライターのhiyoriを呼んです。一緒に「首ったけ」の意味や例文、類語などを見ていきます。

ライター/hiyori

大学で近現代日本文学を専攻し、その知識を活かして国語教師として教壇に立っていた経歴を持つ。現在はライターとして様々な情報を発信している。難しい言葉もわかりやすい言葉で解説していく。

「首ったけ」の意味や語源・使い方まとめ

image by PIXTA / 61241805

皆さんは「首ったけ」の意味をご存じですか?日常会話で「首ったけ」を使う人はなかなかいません。しかし、漫画や小説などの文章中で「あなたに首ったけ!」などと使われることのある言葉なので、見たり聞いたりしたことがあるという人もいるのではないでしょうか。今回は、そんな「首ったけ」について解説していきたいと思います。

それでは早速「首ったけ」の意味や語源・使い方を見ていきましょう。

「首ったけ」の意味は?

「首ったけ」には、次のような意味があります。

異性に深く心を奪われ、夢中になっているさま。

出典:出典:大辞林 第3版(三省堂)

「首ったけ」は「くびったけ」と読み、異性に恋愛感情を抱いてメロメロになっている様子を表す言葉です。首までどっぷりと沼にはまったように誰かを好きになることなので、好意を少しだけ持っている程度の気持ちを表す際に使うには適していません。また、辞書には対象が異性と書かれていますが、ジェンダーについて多様化している現在は恋愛対象が異性になるとは限らないので、異性だけでなく同性も対象として使用することができると考えられます。

「首ったけ」の語源は?

次に「首ったけ」の語源を確認しておきましょう。これは「首丈」という名詞の読み方が変化してできた言葉です。「首丈」とは足元から顎までの高さのことで、物事に深く入り込んだ様子を表します。このように、首まで深くはまり込んで抜けないという意味が、首までどっぷり沼るようにほれ込むことを表す「首丈」に変化したのです。

\次のページで「「首ったけ」の使い方・例文」を解説!/

次のページを読む
1 2 3 4
Share: